メトロイドヴァニアのゲームデザインまとめ

この記事ではメトロイドヴァニアゲームデザインについてまとめています。

メトロイドヴァニアとは?

狭い意味でのメトロイドヴァニア

Metroidvania (メトロイドヴァニア) とは、MetroidCastlevania を組み合わせた造語というイメージから、メトロイド悪魔城ドラキュラを組み合わせたゲーム性…と考えるかも知れませんが、そうではなくて単に悪魔城ドラキュラシリーズが「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲(Castlevania: Symphony of the Night)」からメトロイドのようなゲーム性になっていたことを揶揄して作られた言葉のようです。

そのためメトロイドヴァニアの狭い意味としては、悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲Castlevania: Symphony of the Night)」のようなゲームを指し示すときに使われます。

広義のメトロイドヴァニア

ただ現在では「メトロイド」や「月下の夜想曲」のような「探索要素のあるアクションゲーム要素」を持っているゲームがメトロイドヴァニアに分類されるようです。

メトロイドヴァニアな要素 メトロイドヴァニアでない例
探索要素(自由な探索) 寄り道要素のないステージクリア型など
2D横スクロールのアクションゲーム 2D見下ろしアクションなど

メトロイドヴァニアを決定づけるわかりやすい要素としては上記の2つです。より詳しい特徴については次の項で見ていきます。

メトロイドヴァニアの特徴

メトロイドヴァニアの2大コンセプト

Nintendo's goal for the title was to create a non-linear adventure game to set it apart from other games at the time, requiring the player to retrace their steps while providing permanent power-ups in contrast to how other adventure games only offered power-ups with temporary effects.

任天堂がこのタイトル (メトロイド) で設定した目標は、当時の他のゲームとは一線を画す非リニアなアドベンチャーゲームを作成することであり、他のアドベンチャーゲーム一時的な効果を持つパワーアップのみを提供するのとは対照的に、恒久的なパワーアップを提供しながら、プレイヤーが自由なルートで探索可能なゲームシステムとなりました。

Metroidvania - Wikipedia より引用

海外のwikipediaを参考に、個人的に考えるメトロイドヴァニアの2大コンセプトは以下のとおりです。

  • 1. Nonlinear progression (非リニア進行) のゲーム性を持ち、プレイヤーは好きな順番でマップを攻略できる
  • 2. ゲーム進行に応じて新しい能力を取得したり成長させることで、探索可能エリアを広げることができる

つまり1本道のゲームであったり、探索可能エリアを広げることを目的としないゲーム、恒久的なパワーアップのないゲームの場合、メトロイドヴァニアとしては要素が薄いと考えています。

この2つの要素について深掘りしていきます。

1. メトロイドヴァニアにおけるマップの特徴

まずメトロイドヴァニアにおけるプレイヤーが行動可能なマップは、通常は閉鎖的な空間が採用されており「部屋」や「エリア」によって区切られています。(注:最近のメトロイドヴァニア、例えば Hollow Knightなどでは1つのエリアが大きく取られていたり、野外であることもよくあります)

そしてプレイヤーは各エリアを自由に探索して、好きなルートで攻略を進めることができます。

マップは一般的なアクションゲームと比較すると広いマップが採用されます。そしてマップのどこかにある別のエリアへの隠された道を見つけるために繰り返し探索する必要があります。

エリアの進行途中には「チェックポイント」が存在し、セーブ回復ファストトラベルなどができます。ゲームオーバー時の復活ポイントとしても使用されます。

エリア内には「雑魚モンスター」が徘徊しており、彼らを倒すと「ライフ回復」「弾薬」「お金」などのアイテムをドロップします。また経験値を得ることでレベルアップやスキルツリーの強化、レリックによるキャラクターの強化などを行うことができます。(注:特殊な能力の強化は限定的にしか登場しないアイテムにより、強化できる回数を制限されることもあります)

なお雑魚モンスターは一定時間が経過する、エリアを出入りする、などの条件により定期的に復活します。これによりRPGのように雑魚狩りをしてレベル上げができます。

マップ内には「ショートカット」が隠されていることもあります。外側からは開かなかった扉を開けて近道できるようにしたり、上からハシゴを下ろして登れるようにする、など。移動系能力によってショートカットできる場合もあります。

簡単なまとめとしては以下のとおりです。

  • 広大なマップを自由に探索(往復)して、別のエリアへの道を見つける
  • チェックポイントは体力の回復やファストトラベルができたり、リトライポイントとなる
  • 雑魚モンスターを倒すことでアイテムを回収したり、キャラクターを強化できる
  • 広大なマップの移動時間を短縮するために、ショートカットやファストトラベルが用意されている

悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」のゲームデザインシリーズディレクターの IGA (五十嵐孝司) 氏によると「メトロイド」ではなくゼルダの伝説」から大きな影響を受けたとしています。確かにメトロイドでは「お金」の概念がなく、またキーアイテムを取得するために「ボスを倒す」というシチュエーションが少ない気がしています。

よって、メトロイドメトロイドヴァニアの違いは以下の点にあると個人的に推測しています。

  • お金の概念とキャラクターの成長:ザコ敵を倒すことでキャラクターを強化できる。それに対してメトロイドはマップ上に配置された固定のアイテムを回収することでしか強化できない。
  • ボスとの戦いの比重が大きいゲームデザイン:キーアイテムの入手にはボスを倒す必要がある。メトロイドヴァニアはどちらかというとプレイヤースキル重視(ボスの行動パターンを覚えてそれに反応するなど)のボス戦となっている。

2. 恒久的なパワーアップの能力により障害物を取り除くことができる

メトロイドヴァニアでは、キーとなるアイテムの入手により新しいエリアへ進むことができるシステムを採用しています。例えばモーフボール状態(小さくなる)で狭い通路を移動したり、Double Jump (2段ジャンプ) やハイジャンプブーツにより高い場所に登ることができる、通路を塞ぐ壁を爆弾で壊せる、など。

キーアイテム 障害物 効果
モーフボール 狭い通路 狭い通路を通り抜けできる
ハイジャンプ、2段ジャンプ 高い壁 登ることができる
爆弾 通路を塞ぐ壁 壁を壊すことができる

この仕組みは「ロック&キーパズル」と呼ばれていて、パズルゲーム向けのメカニクスです。どちらかというとアクションパズルとも言える「メトロイド」寄りの要素ですが、詳しくは以下の記事に書いています。

さらにメトロイドヴァニアの特徴として、ボスを倒すことにより先に進めることから、キーアイテムによる効果が戦闘用のスキルであったりすることもあります。

  • ロック&キーパズルを解くことで新しいエリアに進むことができる
  • ボスを倒すための戦闘用スキルが得られるキーアイテムが存在する

ソウルライクからの影響

近年のメトロイドヴァニアゲームデザインで人気となっている要素が Souls-like (ソウルライク) です。例えば「Salt and Sanctuary」「Hollow Knight」「ENDER LILIES: Quietus of the Knights」はソウルライクのもととなる「デモンズソウル」「ダークソウル」の影響を受けたメトロイドヴァニアです。

Hollow Knight (出典: Team Cherry Games)

ソウルライクの特徴

メトロイドヴァニアから少し離れてしまいますが、ソウルライクの特徴は以下のとおりです。

  • 難易度の高いレベル設計。死を繰り返す戦闘
  • チェックポイントに到達していない場合は、一部またはすべての進捗を失う
  • 敵を倒して得られるお金(アイテム)により能力強化が可能

ソウルライクは「探索」「戦闘」の失敗を繰り返すことで学び、次のゲームプレイの改善を求めます。また同じマップを繰り返し移動することでより最適なルートを見つけたり、敵を倒して経験値を得たり、アイテム収集によりキャラクター性能を強化します。

このようにソウルライクの特徴はメトロイドヴァニアと似た部分が多く、ゲームジャンルの相性が良いです。また「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」はどちらかといえば難易度の低いゲームでしたが、ソウルライクは高難易度なプレイをいかに楽しませるかに特化したジャンルとも言えます。インディーゲームは高難易度のゲームを求める傾向がありますので、ソウルライクとメトロイドヴァニアを組み合わせたゲームが生まれたのも必然だったのかも知れません。

それと細かいこととしては、世界観やストーリーが会話イベントで語るよりもマップ内に配置された断片的なアイテムや情報から理解していく…という語らないストーリー」という表現方法が用いられます。

ソウルライク系メトロイドヴァニアの特徴

ここではさらに踏み込んでソウルライク系メトロイドヴァニアの特徴について説明します。

1. ミスによる被ダメージが多い

これはソウルライクの特徴ですが、1度の被ダメージ量が多めです。特にボス戦などでは2〜3回のダメージで死亡する…ということもあります。

2. 敵の行動には何らかの予兆が用意されている

これは Dodge Roll (ドッジロール) 的な回避行動が用意されているゲームに限られそうですが、攻撃予兆に合わせて回避行動を取るというゲームプレイを要求します。(被ダメージが大きいため基本的に回避が必須)

わかりやすい例として ENDER LILIES: Quietus of the Knights では、ほぼすべての敵が攻撃前の予兆として目が光るという演出が入ります。

ENDER LILIES: Quietus of the Knights(出典:Live Wire)

目が光るタイミングに合わせて攻撃を止めてヘッドスライディングする…、というわかりやすい遊びが用意されています。

  • 敵の行動をよく観察して素早くアクションを起こす
  • 敵の攻撃時は多くがスーパーアーマー持ちなので、攻撃でゴリ押しすることはできない

3. プレイヤーの行動(攻撃)には硬直時間がある

また格闘ゲームのように攻撃時には Recovery frame (硬直時間) が発生し、単なるボタン連打では先に進めないようになっています。

  • 闇雲に攻撃ボタンを連打しているだけだと、硬直時間を狙われて被ダメージが増える
  • 硬直時間を考慮したタイミングで攻撃を行い、回避行動を取れる猶予を残しておく

4. 強敵やボスを倒すことでキーアイテムを入手する

繰り返しになってしまいますが、ボスとの戦闘に勝利するが中心となる構成となっていて、強敵を倒すことで新しい能力がアンロックされます。

5. プレイヤーの工夫次第で強敵やボスを倒すことができる

ボスの種類によっては、プレイヤーが戦い方を工夫することで倒すことができて、それにより攻略ルートを短縮するといういわゆる RTA (スピードラン) の余地が存在します。

これはソウルライクが「ゆるいロック&キーパズル(ボスを倒すことでキーアイテムが手に入る)」を採用しているためで、ボス戦の工夫の余地が少ないメトロイドと大きな違いとも言えます。

6. ロック&キーパズルの比重は低い

メトロイドヴァニア全般に言えることですが、ゼルダの伝説 のようなアクションパズル要素は低いです。そのためマップ内のギミックや障害物の密度は抑えられていて、マップ移動中における探索は見落とした場所がないかを慎重に行うくらいで、どちらかというとザコ敵との戦闘に費やす時間が長くなっています。

これは推測ですが、ロック&キーパズルは解法が見つかると次回以降のプレイは作業となるため「繰り返しのプレイに向いていない」ことと、「パズルや謎解き要素によってアクションゲームとしてのテンポが悪くなるといったことから、解放がガチガチに決まったパズルを排除していることが理由と考えられます。

スーパーメトロイドの分析

メトロイドヴァニアは「ゼルダの伝説」の影響が強い…のですが、探索型アクションゲームとして完成度の高いスーパーメトロイドの構造を分析するのはゲームデザインの勉強になると「20 Essential Games to Study」という本に書いてあります。

スーパーメトロイドが研究に値するのは、メトロイドヴァニアにおけるゲームデザインの最も純粋な例の1つあり、そしてアクションゲームというジャンルの質を高めることに大きく貢献した作品であるためです。

引用:20 Essential Games to Study - 2. Super Metroid

メトロイドヴァニアには様々な要素 (探索やボス戦、キャラの成長など) があるけれども、それは他のゲームジャンルにもある。では、メトロイドヴァニア固有のゲームメカニクスとは何か? それを見つけるためにスーパーメトロイドを分析して、それ以降の探索型アクションに影響を与えるような偉大な発明は何だったのか考えてみよう…、ということです。

以下、この本に書いてあることを自分なりに解釈した内容です。

1. 探索手段の工夫を必要とする

スーパーメトロイドが名作たる理由として、キーアイテムに対するロックが多種多様であること、キーアイテムを複数組み合わせることで解除できるロックが存在することです。

例えば、「モーフボール」は狭い通路を通るためのものであり、また「爆弾」は壁を壊すもの、というのが基本的な用途です。

メトロイドの発明はそういった基本的な用途だけでなく、例えば、狭い通路にブロックを配置することで「能力を組み合わせる(モーフボール状態になって爆弾を使う)ことで新しい障害物(狭い通路のブロック)を排除できる」という遊びを作り出したことにあります。

その他、何もないところで爆弾を使うと壁が壊れることがあります。この体験をプレイヤーに(行き止まりに閉じ込めて強制的に)させることで、爆弾で壊せる場所を探す、という工夫をプレイヤーに学習させる作りとなっています。

2. 複数の攻略ルートが存在する

単なるステージクリア型のアクションゲームとの大きな違いが「複数の攻略ルートの存在」です。探索可能なエリアを広げるためには、キーとなるアイテムの取得や新しい能力を必要としますが、それらを入手するルートが複数用意されています。

これによりプレイヤーのスキルによって、初心者は時間がかかるけれど簡単でわかりやすいルートを選ぶ、上級者は最短ルートでアイテムを入手するルートを選択できます。

またゲームの進行によって得られるアイテムでショートカットしたり別ルートを選んだりするなど、一本道のゲームとならない工夫がされています。

3. 進化するプレイスタイル

スーパーメトロイドでは、ゲームの序盤、中盤、終盤で「プレイスタイル」が変化します。例えば未知のエリアに到達するために使用した能力やアイテムの使い方は、次のエリアでは必須のテクニックとなり、新たな使い方を見つける必要があります。

スーパーメトロイドでは、この「学習」が自然な形で行われ、無理のない形でプレイヤーは使い方を覚えることができます。

4. キーアイテム・能力が「探索」と「戦闘」で活用できる

スーパーメトロイドでは、ミサイルは特定のゲートを開くために使用されます。またミサイルは通常のビームより威力が高く、特定の敵はミサイルでしか倒せないケースもあります。

また爆弾は通路を塞ぐ壁を壊すためだけでなく、サムスに取り付く敵を引きはがすためにも使用できます。

このようにキーアイテムを「探索」だけに使用するのではなく、「戦闘」でも使用できるようにしている (Dual Purpose Design) のがメトロイドの特徴です。(一点ものの能力を作るのではなく、使い回せるようにする「リサイクル的な思想」がこのあたりにも出ているのかもしれません)

即死系・パズル系

人生オワタの大冒険」「I Wanna Be the Guy」「Super Meat Boy」などの「即死トラップを回避する横アクションゲーム」に探索要素を強めたゲームジャンルがあります。

即死系ゲームの特徴としては「ライフ」の概念がなく、トラップに接触したり奈落に落ちることで即死します。またチェックポイントがかなり細かく設定されているのも特徴です。

対象となるゲームは少なめですが、「VVVVVV」「MicroVania」「ascent」などがあります。

VVVVVV(引用:Terry Cavanagh)

VVVVVについては、日本語Wikipediaでは「メトロイドヴァニアのような」と記載されており、海外Wikipediaでは「パズルプラットフォーマー」という記載がされています。

MircoVaniaは、初期状態は左にしか移動できずジャンプすらもできない…、という極端な低スペックで、そこから各種能力を入手していくメトロイドオマージュが感じられるゲームで、手軽にメトロイドヴァニアを作ってみたい方に参考になる気がしています。

MircoVania(引用: Fruit Basket Games)

PICO-8 で作られた ascent というメトロイドヴァニアがあります。

ascent(引用:Johan Peitz)

見た目の通り、とてもミニマルなマップで作られていながらも、メトロイドヴァニア特有の探索要素がふんだんに取り入れられていてとても良くできています。「メトロイドヴァニアは広大なマップを作らなければならない…」と絶望している人はこの作り方は参考になるかも知れません。

ワールドマップがありステージクリア型に近くパワーアップ要素もないですが、自由な探索ができる「Toki Tori 2+」というゲームがあります。

Toki Tori 2+(引用:Two Tribes)

このゲームもライフの概念がなく即死系のパズルゲームですが、自由な探索はメトロイドヴァニアに通じるものがあります。(前作の Toki Tori は時間制限があるなど一般的なパズルゲームだった)

ソウルライク系のように敵を倒して進むタイプのメトロイドヴァニアが苦手な方、パズル要素を重視したメトロイドヴァニアを作ってみたい方には参考になるかも知れません。

パラダイムシフト」を起こすメカニクス

個人的な意見ですが、良いメトロイドヴァニアは「ゲーム中に『パラダイムシフト』を何度もプレイヤーに起こさせる」と考えています。

パラダイムシフト(英: paradigm shift)とは、その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化することをいう。パラダイムチェンジともいう。
科学史家トーマス・クーンが科学革命で提唱したパラダイム概念の説明で用いられたものが拡大解釈されて一般化したものである。

Wikipedia - パラダイムシフト

メトロイドヴァニアにおけるパラダイムシフトの特徴として、「プレイヤーが "X" だと思っていたものが、新しい能力や組み合わせによって "Y" だということを発見する」ということがあります。

具体的には Ascent というメトロイドヴァニアがあります。このゲームによる「キノコ」は通常のジャンプよりも少しだけ高く飛べるジャンプ台という機能を持っています。

その後、 "Dive" という空中から急降下する能力を手に入れます。

そして、この "Dive" を使って先程のキノコに急降下すると、より高く飛べるようになります。

これがメトロイドヴァニアにおけるパラダイムシフトです。

キノコは「少しだけ高く飛べる」という機能だったのが、新しい能力 "Dive" によって、キノコが別の性能を持ったギミックに見えてくる…。ということです。

もしメトロイドヴァニアを分析するときには、パラダイムシフトが起きたタイミングをしっかりメモしておくと自分だけのメトロイドヴァニアを作るときに参考になるかもしれません。

他にも能力の組み合わせで新しい使い方を見つけるのもパラダイムシフトの1つです。特にソウルライク系では、攻撃系スキルを組み合わせて新しい攻撃方法を生み出す、というのがよくあると思います。

パラダイムシフトを起こすギミックの作り方

パラダイムシフトを起こすようなギミックを作る方法としては、ミステリー小説のトリックを作る方法が参考になるかもしれません。具体的には「本当の使い方」を先に決めておき、ただ最初にプレイヤーに見せるのは「本当の使い方を隠した状態」にしておきます。ゴールを先に決めて、それよりも劣る性能を最初に見せておく…という手順になるかと思います。

序盤に万能な移動系スキルを与えない

プレイヤーの初期の移動能力は、メトロイドヴァニアではとても重要です。性能が高すぎると伸びしろがなくなりますし、低すぎるとストレスになり、序盤で退屈になって飽きられてしまうリスクがあります。特にソウルライク系では、プレイヤーの初期性能が低すぎると敵と戦うストレスが大きすぎるという問題があります。

とはいえ序盤に万能な移動系スキルを与えてしまうと、プレイヤーを邪魔するギミックが作りづらいですし、敵を飛び越して先にどんどん進めてしまいがちです。

具体的には、ジャンプ力アップ2段ジャンプ空中ダッシュといった万能な移動系スキルは、適切なタイミングで与える必要があります(ただソウルライク系は攻撃系スキルの方が重要だったりするので、移動系スキルは序盤に与えてもよいかもしれません)。

では序盤でどのような移動系スキルを与えるかですが、先程の Ascent の例のように「キノコ」があるときだけジャンプ力アップとして使える、というように「限定的な場面」でのみ使えるようにします。

このような限定的な能力にしてしまえば、伸びしろが増えますし、遊ばせ方をある程度制限できますし、ゲームとしてのメリハリもつけやすくなります。

参考

参考にしたサイト

参考になるメトロイドヴァニアのゲームリスト

カテゴリ ゲームタイトル
メトロイド Super Metroid (スーパーメトロイド)
メトロイド Cave Story+ (洞窟物語)
メトロイド Ori and the Blind Forest
メトロイド 深世海 Into the Depths
ヴァニア系 Castlevania: Symphony of the Night
(悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲)
ヴァニア系 ロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンスー
ヴァニア系 Bloodstained: Ritual of the Night
ソウルライク系 Salt and Sanctuary
ソウルライク系 Hollow Knight
ソウルライク系 ENDER LILIES: Quietus of the Knights (エンダーリリーズ)
ローグライク Rogue Legacy 2
ローグライク Dead Cells
即死系 VVVVVV
即死系 MicroVania
即死系 ascent
パズル系 Toki Tori 2+

メトロイド系とヴァニア系の分類はやや不正確です

Youtubeメトロイドヴァニアのゲーム開発関連の動画

Youtube で「metroidvania development game」で検索すると、メトロイドヴァニアのゲーム開発関連の動画がいくつか見つかります。その中からおすすめのものを紹介します。

Game Maker's Toolkit の "Boss Keys" シリーズ

ゲームデザインに関する優れた考察動画を大量に投稿されている「Game Maker's Toolkit (Mark Brown)」。その中から探索系ゲームの考察に特化した再生リスト "Boss Keys" がメトロイドヴァニアの勉強になっておすすめです。

例えば「スーパーメトロイドのワールド設計 | Boss Keys」という動画でスーパーメトロイドの優れている点として以下の項目を紹介しています。

  • キーアイテムがなくて進めない道は、すぐに行き止まりを見せて引き返せるようになっている。(引き返すための時間を短くしている)
  • 新しい操作を入手したときには、探索範囲を限定的にしてそれを使い方を学習させ、しばらくは新しい能力の使い方を学べるようなレベルにする。そしてその後、自由に行動させる
  • オートマップによって攻略本がなくてもゲームを進めることができた。また「メトロイド ゼロミッション」のように過保護な指示を与えてプレイヤーの行動を制限することもない。(ただドアの色がわからないのは不親切)
  • 壊せないブロックはそれに対応するアイコンが表示され、何が必要なのかをさりげなく教えてくれる
  • エリアごとに特徴のある見た目となっていて、マップを覚えやすいようになっている

それとメトロイドヴァニアには直接関係ないですが「「ソウルライク」という様式は必要か? | Game Maker's Toolkit」という動画があります(メトロイドヴァニアについても若干語られています)。

この動画の私なりの要約としては、「特定のジャンル」に従ってゲームを作ることはまとまりのある(方向性が定まった)ゲームになるものの、その反面画一的になりすぎて目新しさが生まれにくいということであるように思いました。

既存のメトロイドヴァニアに似せてゲームを作るのも良いですが、例えば「Toki Tori 2+」のように「パワーアップのないメトロイドヴァニア」といった前例を壊すのも新しいゲームを生み出すには必要であるのかもしれません。

Building a Metroidvania | Saving Princess | Hybrid Plays

Building a Metroidvania (メトロイドヴァニアの構築) という動画では、メトロイドヴァニアレベルデザインを構築するときのポイントについて語られています。

  • Maze-Like Design (迷路にする):部屋と部屋のつながりは、ステージクリア型のアクションゲームのように直線的ではなく、曲がりくねった迷路でなければならない。メトロイドヴァニアのレベルは同じ場所を繰り返し通ることになるので、単なる通路であっても工夫が必要となる。そして単に複数のドアを選ばせるだけではなく、入れないドアをあえて用意することにある。例えば、Cuckoo Castleでは、最初のキャラクターでは通れなかった場所が、別のキャラクターの能力で再び訪れる (revisiting) と通ることが可能となり新しいショートカットを作ることができる。
  • Change Playstyles During Backtraking (同じ道を引き返すときにプレイスタイルが変化する):同じ道を引き返す → Backtrack (バックトラック) ときに、同じことをさせてはいけない。例えばメトロイド ゼロミッションでは、ゲームの序盤に同じ道を3回通ることになるが、最初は「Stealth(ステルス)」、次は「Actction-Exploration(敵との戦闘と探索)」、最後は「Speed Running(制限時間内での脱出)」という3つの異なるプレイスタイルで単なる引き返しと感じさせないゲームデザインとなっている。
  • Unlockable Abilities to Push Progression (ゲームの進行のロックを解除するパワーアップ):能力の強化は「探索」と「戦闘」の両方 (Dual Purpose Design) に活用できること。得られるパワーアップのメカニクスによってレベルデザインが決まってしまうため、パワーアップは最も重要な要素となる。

この動画の最後でメトロイドヴァニアの良いゲームループについてまとめられていたので、図にしてみました。

  • 1. 通行できないもの(障害物または強力な敵)があることに気がつく
  • 2. とりあえず進めそうな道を歩いて探索する
  • 3. 新しい能力を見つける(手に入れる)。通行止めされていたところで使えそうなことに気がつく
  • 4. 通行できないものがあったところまで戻る。この戻り道でプレイスタイルが変化するような遊びを入れること
  • 5. 通行止めの障害物を取り除く(または敵を倒す)ことで先に進めるようになる
  • 6. 1〜5のループを繰り返す

ジャンプアクションゲームで動きを気持ち良くする方法

この記事ではジャンプアクションゲームで動きを気持ち良くする方法について書きます。

ジャンプアクションゲームで動きを気持ち良くする5つの方法

1. ジャンプ・着地するときにスケールを適用する

キャラクターがジャンプ、または地面に着地したときにスケールを適用するとキャラクターの柔らかさが表現できて良い動きとなります。

このスケールはジャンプ開始時には縦の伸ばし、着地時には横に伸ばします。

これは力の作用が「ジャンプ開始時には上に引っ張られ」「着地時には下方向に大きな力がかかっている」ことを誇張表現したものです。

2. 残像の表現

キャラクターの高速な移動を「残像」という効果により表現したものです。

キャラクターの移動した場所にキャラクター画像を透過させて表示します。

なお、単色にして青色を少し入れると残像っぽくなります。

スプライトを単色にするには、基本的にシェーダーを書く必要があります。

3. 慣性をつける

横移動時に、キーを離しても少しだけキャラクターが動き続けるようにすると、キャラクターの動きが柔らかく見えて良いです。

ただ、パズルゲームなどキャラクターの繊細な位置調整が必要となるゲームジャンルの場合、慣性を入れるとゲームバランスが悪くなることがあるので、ジャンルによっては入れない方が良い場合もあります

4. パーティクルを入れる

ジャンプ開始時」「着地時」「走り始め」などのタイミングで地面からパーティクルを発生させると、動かしていて楽しい演出となります。

ジャンプ開始時

着地時

走り始め

演出のコツとしてはパーティクルにかかる力の方向をそれぞれで変えます

  • ジャンプ時:上方向に力を加える
  • 着地時:重力を加える
  • 走り始め:重力+走る方向と逆の力を発生させる

5. 2段ジャンプを入れる

作りたいゲームジャンルにも依存しますが、 Double Jump (2段ジャンプ) を入れると「操作の自由度が上がるため気持ちよく操作できます。

補足として、2段ジャンプを採用するメリットと考慮すべき事柄を書いておきます。

2段ジャンプを採用するメリット

  • 軌道修正しやすい:小さくジャンプしたりや空中で制御したりできる。それにより多彩なジャンプの軌道をコントロールできるようになる
  • ジャンプの飛距離が伸びる:通常、2段ジャンプは重力の働きを打ち消すため飛距離が伸びるケースが多い

特に Platformer (プラットフォーマー) で採用するかどうかで難易度やゲームプレイが大きく変化するため、重要となるメカニクスといえます。

2段ジャンプを採用する際に考慮すべき要素

  • 落下ダメージの回避:高いところから落下した際、着地直前で2段ジャンプすることで回避できてしまう
  • 2段ジャンプできるかどうかが分かりづらい:明確な表示がない限り2段ジャンプできるかどうかがわからないことが多い(※2段ジャンプするとキャラクターが「前方宙返り」を行うなど、見た目を変化させるとわかりやすくなる)
  • タイミング要素を入れるべきではないドラゴンバスターではタイミングよく押さないと2段ジャンプできないようになっていたが、現代的なゲームではそういったタイミング要素は不要
  • 3段以上のジャンプは不要:通常3段以上のジャンプを採用する必要はない。理由はプラットフォーマー要素を無意味にしたり、わかりにくくなってしまうため。ただし、一時的なパワーアップとして無限空中ジャンプできるなどの採用方法であれば問題ない

弾を撃つゲームで見た目を良くする11の方法

今回は弾を撃つ要素があるゲームで見た目を良くする11の方法について書きます。

なお動作サンプルは以下のページから確認できます。

弾を撃つゲームで見た目を良くする11の方法

1. 弾のスプライトを変更する

まずは弾のスプライトを差し替えます。

明るい色の画像に差し替えるだけで印象を変えることができます。

2. 発射位置をずらす

弾をまっすぐに発射していると、数珠つなぎのように見えて見栄えが良くないです。

そこで、数フレーム単位で発射位置をずらします。

フレームレートを固定させる必要がありますが、発射位置をずらすことで弾がうねって見えるようになり、弾の派手さがアップします。

3. 弾の発射方向をバラす

ゲームバランスや方向性に影響しますが、弾の発射方向を少しだけバラすことで見た目が良くなります。

4. ヒットエフェクトを生成する

弾が敵にヒットしたときに、弾の移動方向と反対側にヒットエフェクトを発生させます。

このパーティクルの速度はランダムで、消滅までの時間もバラバラにするとより良い見た目のパーティクルとなります。

5. スクリーンシェイク

弾を発射したときに画面を揺らします。ショットガンなど発射したときの衝撃を表現する場合などに使えます。

6. ヒットシェイク

弾が当たったときに対象を揺らします。

弾が命中したときの激しいインパクトを表現できるようになります。

7. ノックバック

こちらも弾があたったときの衝撃を表現できます。

8. ヒットスロー・ヒットストップ

ゲームの時間の流れを一時的に遅くすることで、衝撃の大きさを表現します。

9. ブラー

弾の移動した場所に残像を残すことで、より派手な見た目にできます。

前の位置になるたびにアルファ値を小さくして描画します。

10. トレイル

ブラーと原理は似ていますが、帯のように軌跡を表示するという違いがあります。

ホーミングミサイルやホーミングレーザーのように、曲線を描いて移動するような弾に使うと効果的です。

11. ポストエフェクト

少し使い所が難しいですが、ポストエフェクトでグロー効果を適用すると見栄えが格段に良くなります。

プロジェクトファイル

今回作成したプロジェクトはGitHubからダウンロードできます。(Godot Engineによる実装です)

 

ゲームジャンルを組み合わせる方法

How To Combine Video Game Genres (ゲームジャンルをどうやって組み合わせるのか?)」という動画が参考になったので、個人的にまとめてみました。

ゲームジャンルを組み合わせる方法

ジャンルを組み合わせると新しいゲームが生まれる?

「アイデアの作り方」という本について

『アイデアのつくり方』の著者「ジェームス・W・ヤング」は以下のように述べています。

イデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない。

アイデアのつくり方

新しいアイデアというのは、何もないところから生まれるのではなく、既存のアイデア新しい組み合わせでしかないとのことです。

なお、「アイデアの作り方」の内容をゲーム作りに活用する方法については以下のページに書いています。

 

インディーゲームで注目されている「ローグライク

新しい組み合わせでしかない」とは実際にそのとおりで、デジタルゲーム黎明期に登場した新しいジャンルも、アナログゲームをデジタル化したものだったり、既存の遊びを簡略化や複雑化することで生まれました。そしてそれらの遊びも何らかのルーツが存在します。

最近のインディーゲームの人気ジャンル Roguelike (ローグライクゲーム) も、伝統的に採用していた RPG要素や Turn-based (ターン制) を排除することで、新しいゲームジャンルを生み出しました。

以下、ローグライクに新しい要素を組み合わせて成功したゲームの一覧です。

ゲームタイトル 組み合わせたジャンル
Spelunky 2D Platformer (プラットフォーマー)
Binding of Issac Action-adventure game (アクション・アドベンチャーゲーム
FTL RTS (Real-Time Strategy)
Crypt of the NecroDancer Rhythm game (リズムゲーム)
Slay the Spire Deck-building game (デッキ構築型ゲーム)

新しい組み合わせを見つければ新しいゲームになるのか?

では、ゲームジャンルをとにかく組み合わせれば良い…というわけではありません。

例えば、敵の攻撃が激しいアクションゲームと、何分も考えないと解けないようなパズルゲームを組み合わせても、じっくり考える時間がなくて難易度が高すぎるゲームとなってうまくいきません。他にも、即死要素の多いアクションゲームに、RPG的な成長要素を入れてHPが増えるとしたら、即死要素が失われゲームとして成立しなくなってしまいます。

ということで、単に「組み合わせ」を行うだけではを面白いゲームにはならない、といえます。

Spelunky が成功した理由

では「どういった組み合わせをすればいいのか」ということについてですが、Spelunky がなぜ成功したのかについて考えるとそのヒントが得られます。

Spelunky (出典: Steam)

Spelunky がうまく行った理由の1つとして、2Dプラットフォーマーで表現したいものと、ローグライクの利点をうまく組み合わせたことにあります。

ゲームジャンル 好きなところ 気に入らないところ
プラットフォーマー 直感的なルール。
リアルタイム処理
レベルを暗記しないと
クリアできない
ローグライク 自動生成による
ゲームプレイの変化
複雑なターン制の
コマンド戦闘

↓ お互いの良いところを組み合わせると…… ↓

  • プラットフォーマーの利点:直感的なルールやリアルタイムのアクション、戦闘
  • ローグライクの利点:自動生成でレベルを毎回変化させてプレイヤースキルを試すゲーム性

開発者の Derek Yu氏 はプラットフォーマーのレベルを覚えるという暗記要素が好きではなく、またリアルタイムゲームが好きだったということで、それぞれの利点を組み合わせたことで、Spelunky は生まれました。

つまり、単に組み合わせれば良い、というわけではなくお互いの欠点を解消するような要素を結合する」組み合わせが好ましい、ということとなります。

あと、これは個人的な考察ですが、Derek Yu氏は、Spelunky の1つ前の作品として「Aquaria」という Metroidvania (メトロイドヴァニア) を発表して IGN の賞を獲得しています。

Aquaria (出典: Steam)

つまり Spelunky を作る前に 2Dプラットフォーマーについて、すでに彼なりの哲学と実績が存在していました。そして試作品としてローグライクをいくつか作ってみてこの結論にたどりついたとのことで、「最初から2Dプラットフォーマーローグライクを組み合わせて作ろうとしたわけではない」という経緯があります。

 
■1. 2Dプラットフォーマーに対する深い知識と実績があった

前作の「Aquaria」は. IGN の 2007年の賞 (Seumas McNally Grand Prize) を取るほどの成功を収め、2Dプラットフォーマーに関する深い知識実績がすでに存在していた。

■2. ローグライクの試作品で実験していた

ローグライクをいくつか試作してみていくつかの結論にたどり着いた。

ローグライクの特性を分析して、自動生成のダイナミックさは好きだが、ターン制の難解なシステムは不満に思っていた。

■3. 結果としてジャンルを組み合わせることになった

ローグライクを試しに作ってみたものの斬新さはなかった。

しかし、自動生成のダイナミックな要素は、2Dプラットフォーマーの不満点を解消する可能性があることに気がついた。

 

これは個人的な印象ですが、1つのジャンルを深く理解すると、どんな要素と組み合わせるのが相性が良いのか、また相性の悪いジャンルは何か、というのをある程度予測しやすくなるのではないかと思っています。そしてゲームジャンルを深く理解するには一度試作品を作ってみて検証するのが一番効率が良く、勉強になるような気がしています。

 

さらに、3の「最初からジャンルを組み合わせようと思って作ったわけではない」ということについて、例えばCrypt of the NecroDancer の Ryan Clark氏 も最初からリズムゲームにしようとは考えていなかったそうです。

Clark氏: 

 「Spelunky」というローグライクなプレイ要素を備えたインディーズゲームにインスパイアされました。Spelunkyは,プレイヤーの死ぬ理由が明確なゲームで,ミスをおかすと死んでしまいます。運が悪かったからというケースは稀でした。

 昔ながらのローグライクゲームは運に左右されることが多く,それは時にストレスの原因となります。そのため,私はSpelunkyのように,“フェアに”遊べるローグライクゲームを作ろうと思ったのです。

 

4Gamer

 フェアな部分はSpelunkyの影響が大きいということですね。

 

Clark氏:

 ええ,Spelunkyを“フェア”なゲームとして遊べる所以は,リアルタイム性の高いゲームプレイにあると思いました。そのリアルタイム性を自分のゲームにも取り込みたかったのと同時に,ローグライクのターンベース要素も失いたくなかったのです。

 ですから,私は各ターンの時間が短い,クイックな思考が必要とされるゲームを作ろうとしました。これも楽しかったのですが,プレイしているうちに,自分がリズムにのってゲームをプレイしていることに気付いたのです。試しにマイケル・ジャクソンの「スリラー」のビートに合わせてプレイしたら,最高におもしろかったんですよ!

「Crypt of the NecroDancer」開発者インタビュー。ダンジョン探索要素とリズムゲームをミックスさせたアイデアの源泉とは

Crypt of the NecroDancer は「運に左右されないフェアなローグライクを作る、しかしターン制要素はなくしたくない」というアイデアを突き詰めて考えたところ、リズムにのってプレイするのが楽しい、ということを発見し、結果としてリズム要素を取り入れるようになったとのことです。

ゲームジャンルを組み合わせる3つの方法

ということで、具体的にジャンルを組み合わせる方法についてです(ここからが参考動画の本題)。

  • 1. HAND-OFF: ジャンルのスイッチング
  • 2. PLAY STYLE: 複数のプレイスタイルの融合
  • 3. BLEND: 新しいジャンルを生み出す

1. HAND-OFF: ジャンルのスイッチング

ジャンルのスイッチングとは、ゲームが場面ごとに色々なジャンルに切り替わる方式です。

これは規模の大きいゲームで採用されやすい方式です。

ゲームタイトル 1stジャンル 2ndジャンル
ペルソナ5 ダンジョン探索時は
一般的なJRPG

学園パート時は
Dating sim (恋愛ゲーム)
Uncharted 銃撃戦の FPS プラットフォーマー
・パズル
・乗り物操作
など大量のミニゲームが存在する
God of War 豪快なアクション 探索・パズル要素
ゼルダの伝説
ブレス オブ ザ ワイルド
オープンワールド
クラフト要素
探索・パズル要素
DOOM (2016) ハードコアな
バトルの FPS
プラットフォーマー

この方式を採用する理由として、同じ種類の遊びが何時間も続くと退屈なので、ジャンルが切り替わることで気持ちが切り替わって疲れずに長い時間遊ぶことができるからです。

特に Uncharted の場合、様々なゲームジャンルが細かく切り替わることで、ユーザーを飽きさせず長く楽しませることに成功しています(遊びのペース配分が絶妙)。

また、ゲームではないですがバトル漫画でよくある「バトルパート」「日常パート」という仕組みが JRPGではよく使われます。バトルパートはとにかくアクションのカッコよさで読者を引きつけ、日常パートでキャラクターの性格や内面を理解して、より物語に入れるような仕組みです。JRPGでは「バトルパート」でゲームの面白さを感じてもらって、「日常パート」でキャラクターとの会話を楽しめる2重構造となっています。

注意点と解決法

ジャンルのスイッチング方式を採用する場合は以下の3つに気をつける必要があります。

  • 1. ユーザーは組み合わされたジャンルのすべてを気に入るわけではない
  • 2. 曖昧にジャンルを切り替えないようにする
  • 3. サブ要素にとどまる時間を考慮する
✏️【注意点1】ユーザーは組み合わされたジャンルのすべてを気に入るわけではない

ジャンルのスイッチング方式を採用するときのよくある問題は「ユーザーは組み合わされたジャンルのすべてを気に入るわけではない」ということです。

JRPGで特に顕著ですが、ユーザーが「バトル(ストラテジー要素)」と「キャラクター・ストーリー」どちらを求めているかがよく問題となります。例えば「キャラクター・ストーリー」を求めているユーザーの場合、複雑で難易度の高いバトルは敬遠されます。かといって簡単なバトルにしてしまうと、ストラテジー要素を求めているユーザーからは「簡単すぎる」と低評価される原因となってしまいます。キャラクターの会話が長すぎたりしても攻略しがいのあるバトルを求めているユーザーから敬遠されます。

ターゲットユーザー層 求めている要素 ネガティブ要素
キャラクターや
ストーリーに
興味がある
・魅力的なキャラクター
カットシーンや会話
・衝撃的なストーリー
・バトルが難しいと先に進めなくなる
・バトルはスキップして
 話の続きが見たい
バトルに興味がある ・戦略性のあるバトル
・手応えのある難易度
・バトルが簡単なのは物足りない
・長々とキャラが会話するのは嫌
カットシーン演出が長いのは嫌

他にも例えば God of War といったゲームでも、ユーザーの目的が派手なアクションシーンである場合、テンポの遅いパズルは邪魔だと思われるかもしれません。

この問題の解決策の1つは、各ジャンルの特性をほどほどに抑えることです。例えば、Uncharted でのパズル要素は「ほどほどの難易度」で手詰まりになるほどのものではありません。あくまでFPSでのバトルの戦術要素がメインとなるジャンルなので、この要素を楽しませることが中心となるように設計されています。サブとなるジャンルはあくまでメイン要素の「箸休め」「寄り道要素」であるとバランスが良くなります。

もう1つの解決策として、サブ要素を「スキップ可能としても良いです。例えば Shovel Knight ではサブ要素である「カード対戦」は省略できます。JRPGでも会話イベントはスキップや早送りが用意されています。

ただ理想としては、サブ要素であってもメイン要素を好むユーザーが求めるゲームメカニクス (類似性が強いジャンル) を採用することです。例えば XCOM: Enemy Unknow のメイン要素は「ターン制ストラテジー」ですが、サブ要素の「戦略基地を強化する」は経営SLG的なもので、ストラテジー要素を好むユーザーの嗜好とマッチしており、多くのユーザーはどちらも楽しむことができます。

XCOM: Enemy Unknow での基地の強化 (出典: Steam)
📌まとめ

食い合わせの悪いジャンルを組み合わせる場合は、「スキップ可能」もしくは「やってもやらなくても良い」としてしまいます。もしくは難易度を控えめにして、手詰まりにならないようにします。

ただ、できれば類似性の高いジャンルの組み合わせを行うのがベストです。

✏️【注意点2】曖昧なジャンルの切り替えを避ける

次に気をつけるべき点は、切り替えが「曖昧」にならないようにすることです。

例えば Puzzle platform game (パズルプラットフォーマー) は、パズルが解けない原因が「プレイヤーの操作スキルの未熟さ」にあるのか「障害を取り除く手順」に間違いがあるのかが明確に分離できないという問題があります。

そこで、Tomb Raider といったゲームでは、パズル要素で移動することを想定している場所には、明確にジャンプで飛び移れないようなレベル構成となっています。

このような曖昧さによってユーザーのゲームプレイに悪影響を及ぼさないようにするためには、以下の方法があります。

このように「切り替わったジャンルが明確に理解できる」工夫をすることで、遊ばせたい要素をユーザーに示すことができます。

📌まとめ

ジャンルの切り替えが曖昧にならないよう、はっきりと変化を見せることで、ユーザーがジャンルの切り替えに戸惑わないようになります。 

専用のUIを表示したり、ゲームの目的に合わないゲームプレイや操作をしたときに「ミス」としてプレイヤーを罰することで、目的を明確にすることができます。

✏️【注意点3】サブ要素にとどまる時間を考慮する

最後の注意点は、組み合わせたジャンルが互いに主張が強くなりすぎて、プレイヤーが何をやっているのかを忘れたり、ゲームの流れを不自然にしないようにすることです。

Civilizationシリーズで知られる、Sid Meier氏は "Covert Action" というミステリー謎解きゲームを作ったときにこのことに気がついたようです。

Sid Meier's Covert Action (Classic) 出典:Steam

途中で挟まるアクションシーンが結構ハードで長いプレイを要求するものだったため、謎のことをすっかり忘れてしまうプレイヤーが数多く発生してしまったことに発売後、気がつきました。

The mistake I think I made in Covert Action is actually having two games in there kind of competing with each other. There was kind of an action game where you break into a building and do all sorts of picking up clues and things like that, and then there was the story which involved a plot where you had to figure out who the mastermind was and the different roles and what cities they were in, and it was a kind of an involved mystery-type plot.

 私が Covert Action で犯したと思う間違いは、実際に 2 つのゲームを互いに競合させたことです。建物に侵入して手がかりを拾うアクションゲームみたいなのと、黒幕が誰なのか、役割分担を当てていくという筋書きのストーリーとか、そして、彼らがどの都市にいたのか、そしてそれは一種の複雑なミステリータイプのプロットでした.

 

I think, individually, those each could have been good games. Together, they fought with each other. You would have this mystery that you were trying to solve, then you would be facing this action sequence, and you'd do this cool action thing, and you'd get on the building, and you'd say, "What was the mystery I was trying to solve?" Covert Action integrated a story and action poorly, because the action was actually too intense. In Pirates!, you would do a sword fight or a ship battle, and a minute or two later, you were kind of back on your way. In Covert Action, you'd spend ten minutes or so of real time in a mission, and by the time you got out of [the mission], you had no idea of what was going on in the world.

 個人的には、それぞれが良いゲームだったと思います。一緒に、彼らはお互いに戦った。解決しようとしていたミステリーがあり、その後、このアクションシーケンスが開始して、激しくクールで長いアクションで建物に乗り込むことに成功したユーザーはこう言います。

さて、私が解こうとしていた謎は何だったかな?

アクションが実際にはあまりにも強烈だったため、Covert Actionは ストーリー と アクション の統合が不十分でした。 Pirates! では、剣で戦ったり、船で戦ったりして、1、2 分後には元の場所に戻っていました。Covert Actionでは、ミッションに10分ほどリアルタイムで費やし、[ミッション] を終了するまでに、世界で何が起こっているのかまったくわかりませんでした。

 

So I call it the "Covert Action Rule". Don't try to do too many games in one package. And that's actually done me a lot of good. You can look at the games I've done since Civilization, and there's always opportunities to throw in more stuff. When two units get together in Civilization and have a battle, why don't we drop out to a war game and spend ten minutes or so in duking out this battle? Well, the Covert Action Rule. Focus on what the game is.

 だから私はそれを「Covert Action ルール」と呼んでいます。 1つのパッケージであまりにも多くのゲームを実行しようとしないでください。そして、その失敗は実際に私に多くの利益をもたらしました。Civilization以来、私が行ってきたゲームを見ることができます。また、より多くのものを投入する機会が常にあります。Civilizationで 2つのユニットが集まって戦闘を行うときは、戦争ゲームに参加して、この戦闘に10分ほど費やしてみませんか? さて、Covert Action ルール。ゲームが何であるかに焦点を当てます。

 

WIKIPEDIA - Sid Meier's Covert Action

要は、サブ要素に10分も要する関係性の薄いハードなゲームをさせると、メイン要素を忘れてしまう…というリスクがあるといえます。

Bioshock では、ハッキングを成功させるための謎のミニゲームとして「水道管パズル」をさせられますが、1〜2分あれば完了するパズルであり、ゲームの本筋を忘れないようになっています。

Bioshock (出典: Steam)

つまり、サブ要素は「所要時間を短くする」とするのがセオリーとなります。

もしくはメイン要素とサブ要素が「綿密」に連携して影響し合うようにします。

  • XCOM: Enemy Unknow: 基地を発展させることで、バトルでユニットが強化されるメリットがある。さらにバトル中の判断が基地の発展にもフィードバックされる
  • ペルソナ5 ザ・ロイヤル: 友人との関係を深めることで強力なスキルや仲魔が開放される

余談ですが、個人的には推理ゲームの「ダンガンロンパ」の謎のリズムゲームは、ほぼ蛇足ではないかと思っています。

クリアには少し長めの時間のプレイが必要ですし、ユーザー層的にも求められていないゲームジャンルであり、ゲームのテーマ的にもミスマッチ感があるためです。ただ、それほど難しいものではなかったのと統一感のあるスタイリッシュなアートが素晴らしかったので、完全に不要だったのかというとそうでもないのかもしれません(それとゲームのボリュームをふくらませる目的として有効)。

それに対して、同じノベルタイプのゲーム ジャックジャンヌ 《 JACKJEANNE 》は、「歌劇」がテーマでもあり、歌劇の持つ楽しげで華やかな印象をうまく表現できていたので、リズムゲームパートはこのゲームに必要不可欠なものだと思いました。

📌まとめ

サブ要素は、メイン要素を忘れないように所要時間を短くするのがセオリー。

ただ可能であれば、お互いが相互に影響し合う要素や、それぞれが作品のテーマに合う要素であることが好ましい。

2. PLAY STYLE: 複数のプレイスタイルの融合

プレイスタイルを融合したゲームとは、色々なゲームジャンルのスキルやアクションが用意されており、ゲームクリアの方法が複数用意されているゲームのことです。

この方式を採用するメリットは、プレイヤーが「自由に選択」でき、「主体性」を持ったゲームプレイを生むことです。プレイヤーの好みでジャンルやアクション、スタイルを選ぶことができます。また多様性」もあるので、 Replay value (リプレイバリュー) を高める効果もあります。

注意点と解決法

問題点として、1つのジャンルやスタイルに集中した作品と比較されてしまうことです。それらと比べると複合プレイスタイルのゲームは作り込みなどで劣った印象を受けます。また複数のゲームや遊びを同時並行で作ることになるので、開発コストが高くなりがちです。そのため、できるだけシンプルに作れる仕組みやリソースの作り込みなどを減らして、開発コストを下げるようにした方が良さそうです。

もう1つの問題が、ユーザーがあるスタイルに固執して他のスタイルを選ばなくなることです。理由として、プレイヤーは一度ゲームに勝てる方法を見つけたら、そのスキルを強化し続けてさらに勝率を上げようとします。わざわざ限りあるリソースを分散投資して、失敗するかもしれないというリスクを負ってまで別のスタイルを試そうとは思わないためです。

具体的にはJRPGなどで一度強力なパーティを作り上げたら、他にメンバーがいても固定メンバーで戦い続けることがゲームの攻略法としては最適解となります →正の Feedback loops (フィードバックループ)

📌「正のフィードバックループ」とは

正のフィードバックループとは、有利な状況がどんどん加速してヒートアップし、インフレするように、プレイヤーが有利・強力になり続けることです。

 

正のフィードバックループが進行しすぎると、ゲームが簡単になりすぎたり単調な作業の繰り返しになってしまうので、そのインフレを何らかの要素で抑え込む要素(負のフィードバックループ)を発生させる必要があります。

フィードバックループについては以下の記事に書きました。

特定のプレイスタイルに固執しているプレイヤーに別のスタイルを試させるには、以下の方法があります。

  • 汎用的なスキルポイントを与え、別のスタイルを試す機会を与える
  • スキルを振り直して、別のビルドを試せるようにする
  • 特定のビルドが強くなりすぎないようにする
  • Hades のように別の武器を使用することで報酬を得られるようにする

なお解決策として「特定のスタイルでないとクリアできない」「特定のスタイルを禁止する」という方法が思いつくかもしれませんが、これは「主体性」や「多様性」のあるプレイを否定することとなるので、あまり限定的な障害にしてしまうと「複合的なプレイスタイル」という本来の目的が有効に働かなくなるので注意です。

📌Deus Ex: Human Revolution の設計ミス

Deus Ex: Human Revolutionでは、敵を倒さずにステルスで進むこともできたのですが、ボス戦では強制的に戦うことになっていました。そうなると敵を倒すスキルがない場合に苦戦を強いられることとなり、結局を敵を倒すスタイルが有利となってしまいました。

この点は大きな問題となり、後発のDirector's Cut版では「ハッキング」や「ステルス能力」が強化され、攻撃系スキルが強化されていなくてもボスを倒すことができるように調整されています。

3. BLEND: 新しいジャンルを生み出す

先に説明した項目ではありますが、2つの異なるジャンルの特徴を組み合わせて「新しいジャンル」を作る方法です。

この方法のメリットは、今までに見たことがないゲームを作れる点で、新ジャンルが生まれる可能性があります。

注意点と解決法

この方法の問題点は、2つのジャンルの相性が悪い場合にうまくいかない、ということです。

そのため、Spelunky のように相互補完するジャンル・要素を使うべきです(→ローグライクの自動生成要素を、プラットフォーマーのレベル生成に利用して、プレイヤースキルを挑戦するゲームシステムにした)。

また似た特性を持つ要素を組み合わせるのも有効です。例えば、Shovel Knight Pocket Dungeon を開発した Yacht Club Games は「ローグライク」と「落ちものパズル」に似た要素が多く含まれていることに気が付きました。

Shovel Knight Pocket Dungeon (出典: Steam)

以下、ローグライク落ち物パズルの類似点です。

  • オブジェクトはタイル(マス目)の上を動く
  • 操作方法はシンプル
  • ランダム要素が多い
  • 何もないゼロの状態からゲームが開始する
  • できるだけ長くプレイする(生き残る)ことが目的
  • 数手先を考える必要がある
📌まとめ

ジャンルを組み合わせて新しいジャンルを生み出す場合には、相性の良いジャンルを選ぶ。

選定基準は以下の2つ。

  1. 相互に弱点を補完するような強みを持っていること
  2. 互いに似た特性や要素が多く含まれていること

最後に

ゲームジャンルを組み合わせる場合、好きなジャンルを自由に組み合わせても、面白いゲームができるとは限りません。また新規性のあるゲームは、特定のジャンルに分類できないほどジャンルが混ざり合っている場合もあります。

またそういったゲームは、何か特定のジャンルを組み合わせて作ろうとしたわけではなく、結果として今までなかったジャンルを組み合わせてしまっただけの場合が多いようです。

そのため、ジャンルをミックスすることは新しいゲームを作る手段でしかなく、組み合わせることを目的としてはいけないのかもしれません。

参考

How To Combine Video Game Genres

今回の記事を書くにあたって参考にした動画となります。GameMaker's Toolkit さんの動画はどれも興味深い内容なのでおすすめです。

 

ロック&キーパズルの作り方

今回はWhat Is the Lock and Key Design Pattern?という記事を個人的にまとめたものとなります。

ロック&キーパズルの使い方

ロック&キーパズルとは

ロック&キーパズルとは、プレイヤーの進行を妨げる「ロック」とそれを解除する「キー」の組み合わせで構成されるパズルとなります。これは脱出ゲームのような謎解きパズルが当てはまることもありますし、 Metroidvania (メトロイドヴァニア) に特定スキルより新しい場所に行くことができる、という場合にも当てはまります。

ロック キー 補足
高い場所 Double Jump
(2段ジャンプ)
特別なブーツなどで
2段ジャンプできるようになる、など
亀裂の
ある壁
爆弾  
潜水服
シュノーケル
水深20mを超えるような場所まで
潜れるようになる
警備員 カリスマ オープンワールド系のRPG
特定のパラメータの上昇を持って
交渉可能となるケースが多い。
JRPGであれば、
単に会話フラグやお使いイベントなど
海や山 船や飛行船 古典的JRPGで数多く採用された
スキル レベル レベルアップにより
新しいスキルが開放される

ロック&キーパズルの一般的な用途

ロック&キーパズルの一般的な使われ方について、例をあげて説明します。

プレイヤーの誘導

ロック&キーパズルは、プレイヤーの行動を導くのに有効となるメカニクスです。例えばAからBに進行するためにキー「X」を使わなければならない、とします。

そうすると、キー「X」の使い方や効果を理解するまでプレイヤーの行動は足止めされます。これによりプレイヤーはキー「X」の使い方を強制的に学習させることができます。

以下は、メトロイドでのモーフボールチュートリアルを兼ねたロック&キーパズルです。

シナリオの都合によるロック

主にJRPGではシナリオの都合上進行をロックして先に進めないようにすることがよくあります(人助けイベントをクリアすると新しい仲間が加入するなど)。これはこれで、シナリオを作りやすいというメリットがあります。ただし、この方法は不自由なゲームプレイとなりがちなので、プレイヤーを納得させるだけの理由付けをイベントで説明したり、ある程度自由に依頼を受けられるようにした方が良いかもしれません。

限定的なキーの付与はプレイヤーへの大きな報酬となる

ボスを倒したときなどに得られる特殊なキーアイテム(特殊なポイントなど)によりスキルをアンロックできる場合、キーアイテムは大きな報酬となります。

さらに可能であれば、アンロック可能なスキルはプレイヤーが自由に選択できると良いかもしれません。

考慮すべきポイント

ロック&キーパズルを導入するときに考慮すべきポイントを以下に記述します。

1. アンロックにより得られる報酬を明示的にする

キーを探させる前に、アンロックにより得られる報酬を明示的にしてプレイヤーのモチベーションを上げます。効果がわかりにくいスキルであれば選択の失敗のリスクを減らすために払い戻しや下取りができると良いのかもしれません。

2. ロックとキーを一度に大量に提示しない

プレイヤーを圧倒するほどのロック要素を提示するべきではありません。情報量が多いとプレイヤーを混乱させますし、多すぎる選択肢は悩むのが面倒になって、どれを選んで良いかわからなくなるからです。

多くの情報をまとめて開示するのではなく、徐々に提示することで目標を決めやすくなります。

2. 同じ種類のロックとキーは飽きられやすい

毎回カギを探すだけのロックは飽きられるので、様々な方向性のロックを用意します。

例えば、特定の敵を倒すとキーをドロップする、または特殊な攻撃で敵を倒すとキーをドロップする、もしくは会話による交渉でキーを入手する、パズルを解く、などなど…。他にも特定スキルを使わないなど「縛りプレイ」や「入手難易度」で変化をつけるのも良いと思います。

3. キーは特定のロックを解除するだけの効果としないことが望ましい

使い捨てのキーにするのではなく、別の用途で使用可能なキーとすることが望ましいです。

ゼルダシリーズでは、キーアイテムが複数のアンロックや別のキーアイテムとの組み合わせ対応していたり、攻撃の手段として使用できたりします。(例えば、爆弾は隠し通路を見つけるためのアイテムですが、攻撃アイテムとしても使うこともできます)

4. プレイヤースキルによりアンロックできるキーがより良い

例えば Grappling hook (グラップリングフック) を正しく活用することで到達可能な地点を用意するなどです。グラップリングフックを使用中に、別の場所にグラップリングフックを引っ掛け、より遠くに移動する仕掛けなど、プレイヤースキルで新しい使い方を見つけられると良いです。

5. キーのランク分けは少なければ効果的

異なる色(青、黄、赤)のカギは、白いキー1つよりも面白いし、普通の爆弾と、効果がアップしたスーパー爆弾はより楽しくなります。

ただし、多すぎる色のカギや威力の段階が多すぎる爆弾などは、管理が大変なだけで楽しくないので増やし過ぎには注意です。

参考

 

ゲームデザインにおける「フィードバックループ」の使い方

この記事では、ゲームデザインにおける「フィードバックループ」について説明をします。

フィードバックループとは

Feedback loops (フィードバックループ) というのは、ある行動に対して得られた結果を入力として繰り返し再利用することです。

まず、入出力を持ち、入力に対してある操作を行ったものを出力とするシステム(系)を考える。このとき、その出力が入力や操作に影響を与えるしくみがあるとき、これをフィードバックという。ここで、ある瞬間の入力と出力の関係を増幅率と呼び、特に帰還を行っていない場合の系の増幅率を「裸の増幅率」と呼ぶ。また、帰還として戻ってきた値が、最初の入力に対して何倍になっているかをループ利得という。

Wikipedia - フィードバック

ここでゲームデザインにおいて重要となるのが、「正のフィードバックループ」と「負のフィードバックループ」という概念です。

正のフィードバックループ

正のフィードバックループとは、ループにより値が増大したり減少したりすることです。例えば、RPGでは経験値を得ることでレベルアップして、プレイヤーの性能が強化され、敵を圧倒できるようになります。

これはゲームを不安定・不均衡な状態へと導き、ゲームを進行させたり終了させる効果があります。言い換えると正のフィードバックループは「インフレ」のようなものです。お金持ちはその資産を使ってさらに大きく資産を増やすことができ、指数関数的に資産を増大できます。

また「正の」という言葉のイメージに引っ張られやすいですが、正のフィードバックループはマイナス方向への転落も含みます。

例えば対戦ゲームでは、味方を失うとより不利な状況に追い込まれます。不利な状況になればなるほど通常は逆転が難しくなります。借金が増えると利息によって雪だるま式にさらに借金が増えたりするようなものです。

負のフィードバックループ

では、負のフィードバックループは何かというと、「インフレ」や「負けるほど不利になる」状態を救済するように状態を均衡させることです。

先ほど対戦ゲームでは「負けがこむほど不利」としましたが、例えば4人対戦のゲームの場合、1位が独走状態に入ると、2位以下のプレイヤーが結託して1位から引きずり降ろそう、という行動原理が働くことがあります。このように正のフィードバックループが過剰に機能している場合、負のフィードバックループが適切に働くと良いバランスのゲームとなります。

もちろんゲームメカニクスとして負のフィードバックループを用意することも可能です。

  • マリオカート:下位になるほど有利になる強力なアイテムを入手できる
  • バイオハザード4:うまいプレイヤーほど難しくなる、という難易度の自動調整機能がある
  • サムライスピリッツ:体力が減るほど「怒りゲージ」が増え逆転のチャンスが生まれる

それぞれの効果

ゲームにおけるフィードバックループの効果はそれぞれ以下のとおりです。

  • 正のフィードバックループ:プレイヤースキルによる結果を反映させやすい。カオスな空間を作る。俺TUEEEができる。すごいことが起きて笑いが生まれる
  • 負のフィードバックループ:ゲームバランスを調整する。緊張感を作る。プレイヤースキルへの依存度を減らせるのでパーティゲームに向いている

ゲームにどのように使うか

概念がわかったところで、実際にフィードバックループの仕組みをどのように利用するかについて考えてみます。

ゲームを分析するのに使う

既存のゲームの「正のフィードバックループ」「負のフィードバックループ」がどこで発生しているのかを分析します。まずは概念に慣れることが大切です。

例えば塊魂フィードバックループについて分析してみました。

正のフィードバックループ 負のフィードバックループ
・アイテムをくっつけるほど大きくなる
・それにより、さらに大きいアイテムを
 くっつけられる
・また回収効率が上がる
・探索できる場所が広がる
・探索してちょうどよいサイズのアイテムを
 まとめて回収できた(見つけた)ときの
 スッキリ感がすごい
・大きくなるほど制御が難しくなる
・空間が狭くなるので、
 障害物にぶつかりやすくなる
・拾えるものが少なくなる
・小さいものが隙間に入って
 拾いにくくなる
・時間切れで終了する

 

よくできたゲームは「正と負のフィードバックループが対になっている」ことが多いです。必ずしも1対1で対応しているとは限らず、様々な要素が複合的にループを作っていることも多いですが、このように色々なゲームをこのモノサシで分析することで、良いゲームのメカニクスを取り入れるときに適切な判断をしやすくなるのではないかと思います。

自作ゲームの分析・評価に使う

自作ゲームを評価する際に、どこでフィードバックループが生まれているのかを分析して、適切なフィードバックループがうまれているかどうかを評価します。

例えば特定のアクションを繰り返すことでインフレ的にプレイヤーが強く(有利に)なってしまう場合、それに対する負のフィードバックループが作れないかを考えてみます

負のフィードバックループが入れられない場合

どうしても負のフィードバックループが入れられない場合、「フィードバックループのリセット」という方法を使うのもありです。

例えば対戦格闘ゲームでは、ラウンドごとに状態がリセットされます。これにより全ラウンドでボロ負けしても、次のラウンドで気を取り直してプレイすることが可能です。

または、RPGのバフ・デバフです。通常バフ・デバフはその戦闘時のみ有効で、次の戦闘まで引き継がれず、全体の戦闘バランスを調整する効果があります。例えば Slay the Spire は強力なバフのコンボが決まると敵を瞬殺できますが、次の戦闘ではコンボが決まらずゲームオーバーになる、などということもよくあります。

というように、インフレでゲームが崩壊しないように(ジリ貧でプレイヤーの心を折らないように)、フィードバックループのリセットを入れてみるのも1つの方法となります。

他にも、アクションゲームやRPGなどで、 Regenerating Health (HPの自動回復) を導入するかどうかも、フィードバックループの考え方が使えます。自動回復は戦闘のミスをリセットする「負のフィードバックループ」に近い効果があり、DOOM (2016) における Glory Kill (グローリーキル) のメカニクスは「正のフィードバックループ」に近い考えかたと思われます。

参考

この記事は以下の動画を参考にさせていただきました。

知育ゲームZoombinisの紹介と解説

Zoombinis (ズンビーニズ) とは、教育を目的としたパズルゲームで、1996年に発売されたゲームです。

とても優れた設計を持つパズルゲームであるのにも関わらず、日本では知名度が低い(ような気がする)ので、今回記事にしてみました。

ちなみに過去作が様々なプラットフォームに移植されていて、現在はSteamiOSAndroidで遊ぶことができます。(※注意:日本語化はされていません)

Zoombinis の紹介

優れているところ

Zoombinis の優れているところは以下の2点です。

  • 1. ゲームとして楽しい:従来の知育ゲームが単純なクイズゲームだったり退屈なゲームプレイだったのが、Zoombinis はゲームとして楽しい
  • 2. パズルなのに繰り返し遊べる:従来の固定的な問題を提供するパズルと異なり、繰り返し遊ぶことを目的としたゲームデザイン ( Replay value (リプレイバリュー) が高い ) となっている

なぜゲームとして楽しいのか?

よくある知育ゲームは、教育を目的としているためなのか「遊ばされてる感」が強いデザインとなりがちです。

  • クイズや暗記を要求する:地理や歴史など知識を要求され、知らないと答えられないし興味がないテーマは楽しくない
  • 単純作業脳トレのように単純作業の繰り返しをするだけ
  • 一度解いたら終わり:繰り返し遊ぶモチベーションが生まれない

これらの問題の一番の原因は「一度解いたら終わり」ということです。答えを覚えられるとパズルの魅力は失われます

それに対して、Zoombinis はパズルが「自動生成」されることで繰り返し遊べる設計となっています。

パズルの自動生成とは?

Zoombinis ではパズルをどのように自動生成しているのかを紹介します。ゲームが始まると ズンビーニ という生き物を生成するシーンから始まります。

 

ズンビーニには 4つの部位があり、それぞれに 5つのパーツが存在します。

  • 髪型:ちょんまげや角刈り、帽子など
  • :まぶたの大きい目、メガネ、単眼など
  • :赤・青・緑などの色
  • :バネ、プロペラ、スニーカー、ローラーブレードなど

これらを1つずつ選んでも良いですが、16体も作る必要があるので、通常はランダムで自動生成するボタンでズンビーニを作成します。

なお、この16体が Lives (残機) となり問題を解く際のリソースとなります。

そして最初の課題は「アレルギーの谷」です。

ここでは、あるルールに従って橋を渡ることのできる条件を探す…というパズルゲームではよくある問題です。

この問題の正解は、奥の橋は「ちょんまげ」のズンビーニが通過できて、手前の橋は「それ以外の髪型」のズンビーニが通過できます。

ここで重要となるのが、通過条件がランダムで変化することです。上記画像では「髪型」「ちょんまげ」というルールでしたが、挑戦するたびに「足」や「目」などに別のものに変化します。

数学的に説明すると「アレルギーの谷」の根本にある命題は、どちらかのルールが決定されると、もう片方はそのルールの「補集合」となる構造になっています。

ある集合Aが全体集合Uの部分集合であるとき、ある集合を全体集合から除いたあとの集合

補集合とは - コトバンク

つまりどんなズンビーニが作られたとしても、解くことができる上、答えをランダムにすることができます。

難易度の変化

さらに Zoombinis は繰り返し遊ぶことができるように、難易度の変化により「条件が少しずつ複雑化します。例えば「アレルギーの谷」では、難易度が上昇すると条件に複数の要素が含まれます。

上記画像は「足」のパーツを探すように変化して、さらにパーツの種類の条件が複数含まれるようになっています。

最短の手順でクリアするほど効率が良くなる

Zoombinis は、ズンビーニが理想の場所を求めて冒険するお話です。そしてパズルを失敗すると(または失敗し続けると)、 Lives (残機) であるズンビーニが一人ずつ失われます。なので、失敗をしないように慎重にプレイする必要があります。

通常の場合、パズルゲームに Lives (残機) 制は相性が良くないです。例えば、逆転裁判では「突きつける」に失敗するとライフゲージが減少します。

ですが固定の問題・解答を持つパズル」での Lives (残機) 制 は、直前にセーブして失敗したらロードする…という方法で総当りを行うことで簡単に突破できてしまう欠点があります

それに対して、Zoombinis は問題・解答が自動生成されるため、直前でセーブしてロードする…という方法を無効化しています(問題が変化するのでやり直しても、ちゃんと考える必要がある)。

特に Zoombinis では中間地点があり、そこを経由してズンビーニを移動させるというメカニクスになっています。

残機が分散することで、大事なリソースを失わないように慎重に問題を解く緊張感がそれなりにあります。

各ステージの紹介と解説

最後に各ステージの紹介と解説を行います。ほぼ解答に近いのでネタバレ注意です。(ただ自動生成される問題の性質上、解き方が分かっても考える要素はあります)

1. アレルギーの谷

最初の試練は「アレルギーの谷」と呼ばれる場所です。ここでは「手前の橋」か「奥の橋」をズンビーニが渡ることになります。しかし「ある法則」によって手前と奥で通過可能なズンビーニが異なります。それを見つけるのがここでの目的となります。

よく見ると分かりますが、髪型がちょんまげのズンビーニは奥の橋を渡ることができます。そしてそれ以外の髪型のズンビーニは手前の端を渡ることができます。

この問題は数学的には、ちょんまげをAとした場合に手前の橋はAの補集合であり、集合を求めるパズルと言えます。

 

2. 石の冷たい洞窟

石の冷たい洞窟は、アレルギーの谷の応用問題です。ここではルートが4つ用意されており、それぞれの特性を知っておく必要があります。

左右はアレルギーの谷と同じく、どちらかが A の集合で、もう片方が Aの補集合となる(ちなみに以下の画像の答えは「鼻の色」です)。

ポイントは中央の見張り番にある。今回は下段が正解で上に進むルートを選ぶと必ず通行止めされることになります。ただ難易度が上がると、この条件も複雑化します。

例えば難易度が上がることで中央の条件が変化したのが下の画像です。

 

3. ピザパス

 

ピザパスはトロルの好きなピザの具の組み合わせを当てるパズルです。

下記画像では難易度が上がっているためデザートが追加されていますが、初期難易度は「5種類」の具から「2つ」選ぶというもので、組み合わせパズルとヒット&ブローを組み合わせたパズルとなります。(ちなみに以下の画像での正解は男トロルの方は「パイナップル」「チェリー」のトッピング。女トロルの方は「サラミ」のみ)

 

4. キャプテン・ケイジャンのフェリーボート

 

キャプテン・ケイジャンのフェリーボートは共通するパーツ」を持つズンビーニを連結させて配置するパズル。グラフ理論を要求する問題です。

 

5. タイタニックの入れ墨のヒキガエル

 

タイタニックの入れ墨のヒキガエル「色」「葉の切込みの数」「ゆりの形」にマッチする経路を探すパズルです。

例えば色に注目した場合は、以下のような経路をたどるため、対応する開始地点にヒキガエルを置くことが正解となります。

ゆりの花の形に注目した場合はこのようになります。

ちなみにこういった経路探索系の問題はゴールから逆引きで探索すると見つけやすいことがあります。

なお、ヒキガエルは2回のみ使用可能なので、使用可能なものを間違った場所に配置してしまうと2回分ロスが発生してしまいます。

 

6. ストーンライズ

 

ストーンライズは対応するペア」を探すパズルです。

 

7. フリーンズ!

 

フリーンズ!ではズンビーニの特徴に対応するフリーンズを探すパズルである。例えば青ふちのメガネはサイクロップスのような目に対応しています。

共通点を探し、消去法で候補の対象を消していくことで解くことができます。

 

8. ホテル・ディメンシア

 

ホテル・ディメンシアでは、ホテルの部屋に入れるズンビーニを探すパズルです。このパズルでは、ある共通する要素を持ったズンビーニのみが部屋に入ることができます。

下記画像での正解は「鼻の色」です。

 

9. 泥玉の壁

 

泥玉の壁は」と「記号」の正しい組み合わせの対応を探すパズルです。

発射ボタンを押すと「色」と「記号」に対応する場所に泥玉が発射されます。例えば下記画像では赤は1列目、黄色は3列目、青は5列目となっていて、星が2段目、四角が3段目、三角が5段目となっています。そして壁に刻まれている丸の場所を当てるとその数だけ正解ゾーンに登ることができます。

これは表の対応を探すパズルで、上記画像であれば対応は以下の通りです。

未確定な場所はいくつかあります、A3は赤の四角で確定しているので、まずはこれを埋めていくと手数が無駄にならないです。

次に狙うのは赤か黄色の列で、丸またはひし形の段を確定していくことになります。

 

10. ライオンの隠れ家

 

正しい順番でズンビーニを並べるソートパズルです。

上記画像は足のパーツを、「ばね」→「車輪」→「スニーカー」→「プロペラ」→「ローラーブレード」の順で並べるのが正解です。

 

11. ミラーマシン

 

ミラーマシンは特徴の一致するズンビーニを提示するパズルです。

マッチする対象が存在しない場合は、別のリストに入れ変わることで詰みにならないようになっています。

 

12. バブルワンダー・アビス

 

バブルワンダー・アビスは経路探索と条件式のパズルです。ズンビーニを矢印ボタンの上に配置してその方向に進むことができます。途中にはパーツによる条件分岐がありパーツが一致するとその方向に進むことになります。またトグルで方向が切り替わるタイルも存在します。

 

 

パズルが自動生成されるゲーム

 

Zoombinisのように、パズルが自動生成されるゲームをリストアップしておきます。

Tile-matching game (タイルマッチングゲーム)

いわゆる落ちゲーと呼ばれるジャンルです。パズル要素となるタイルがランダムで生成されます。

他にも Match-three game (マッチ3ゲーム) なども含まれます。タイルマッチングゲームについては以下の記事に書きました。

ただ最近のこの手のジャンルは、考える要素が限りなく減ってきていて「たくさん消えて楽しい」という面白さが重視されています(特にジュエルパズル系)。

タイルマッチングゲームとは異なりますが、BioShock の水道管パズルは、考える要素とリアルタイムの緊張感のバランスが良く個人的に好みです。

BioShock の水道管ゲーム (出典: 2K)

ローグライク

ローグライクではレベルや敵・アイテムの配置が自動生成されます。アクション要素が強い場合はパズル性は低くなりますが、ターン制のローグライクは基本的に自動生成されるパズルに近いのではないかな……と思っています。

グノーシア

グローシアは「人狼ゲーム」をもとにした推理アドベンチャーゲームです。

人狼パートでは、狼役や能力持ちがランダムで決定されるので、自動生成パズル的なのでは…と思って紹介しました。ただ純粋なパズルというよりは「この人は怪しそう…」といったファジーな推理だったり、キャラの相性によるヘイト値による影響で「答えが分かっていても投票で処刑される」こともあって、コミュニケーションのシミュレーター的なゲームであるかもしれません。

個人的な印象としては、人狼ゲームを繰り返すことでキャラクターとの会話イベントやフラグがアンロックされる Visual novel (ノベルゲーム) なのではないか、と思っています。

Into the Breach

Into the Breach は高難易度のストラテジーゲームです。

Into the Breach (出典:Steam)

レベルや敵の配置が自動生成されますが、ゲームバランスが絶妙で「この状況は詰みでは…?」と思っても、10〜20分考えることで打開策が見つかるということから、人によっては「詰将棋の自動生成」と評価されることもあります(ただし本当にどうにもならないこともよくあります)。

参考

ターン制バトルで起こりがちな「3つの問題点」の解決方法

ターン制RPGについて調べていたら、

という面白い動画があったので、その内容を個人的にまとめてみました。

ターン制バトルの問題となるポイントと改善方法

ターン制のバトルとは?

まず、ターン制のバトルの定義です。

  • リアルタイム制と異なり、敵と味方は基本的に停止していて、何か行動を起こさないとゲームが進行しないバトルシステム
  • この行動は「コマンド」「アクション」と呼ばれる
  • 行動は敵と味方で「交互に」順番が回ってくる。または素早さなどのパラメータで順番が決定される
📌ターン制コマンドバトル

「ターン制バトル」というジャンルの呼び名として、特に日本では "ターン制コマンドバトル" と言われることが多いです。なぜ "コマンド" と呼ばれるかは、初代ドラクエにおいて戦闘での選択肢を「コマンド」と呼んでいた影響が大きいのではないかと思われます。

なお "コマンドバトル" と呼ぶ場合、SRPG的なストラテジーゲームは含まれないようです。

代表的なターン制バトルのゲーム

ターン制バトルのメリット

次にターン制バトルのメリットです。

  • 時間が停止しているので、「長い時間」考えて行動を選ぶことができる
  • 時間の経過が「不連続」的なので、1つの行動の「重み」が大きく、1つの行動で「複数の問題を解決する」ことが求められるメカニクスとなる
  • それにより、選択可能なそれぞれの行動に「異なった軸のメリット・デメリットがある」ことが望ましい

ターン制バトルのデメリット

  • わかりにくいルール:不連続な時間の扱いを処理するために「直感的でないルール」が存在しがち
  • 不自由さ:不連続な時間によるプレイヤーの「ゲームへの介入が限定的」となる
  • 単純作業になりやすい:攻略パターンを見つけると「同じ方法の繰り返し (レベル上げなど)」の単純作業に陥りやすい

ターン制バトルの問題となりがちなポイント

これらを踏まえて、ターン制バトルの問題となりやすいポイントは以下の3つです。

  • 1. バトルの「テンポが悪い」 (何もせず見ている時間が長い)
  • 2. 同じコマンドを繰り返すだけの「単純な戦闘」になりやすい
  • 3. 「レベル上げ」という単調な作業が発生しやすい

これらの問題の詳細と解決策について説明していきます。

問題点1. バトルの「テンポが悪い」

ターン制バトルの問題点の1つは、入力してから「何かが起こるのを待つ時間」が長いことですメカニクスの都合上、不連続な時間を扱うので行動結果を反映・確認するタイミングが必要なのですが、そこをわかりやすくしようと必要以上に演出を長くしてしまうと、ユーザーにとって退屈な時間が長くなってしまうので注意が必要です。

以下、長くなりがちなポイントをリストアップします。

  • 戦闘開始演出:エンカウント演出や敵の出現演出。必要なリソースを読み込むロード時間など
  • キャラクターの行動演出:プレイヤーや敵の行動開始演出。攻撃アニメーション。テキストなど
  • その他の演出:特殊スキル演出、敵を倒した演出、逃走演出、メニューの入場退場演出、勝利・敗北演出など

ワーストケース:「ポケットモンスター ダイヤモンド・パールのテンポが悪い例

バトルのテンポの悪さのワーストケースとして、ニンテンドーDSで発売された「ポケットモンスター ダイヤモンド・パール」は以下の場面のテンポがかなり悪いです。

  • 戦闘への移行演出
  • 戦闘開始テキスト
  • メニューの操作(とメニューのアニメーション)
  • 攻撃アニメーション
  • 攻撃ヒット演出
  • 亀のような遅さの体力ゲージの減少。その他ステータスエフェクト
  • すべてのテキストの確認(メッセージ送りボタンを押さないと先に進まない)

ポケットモンスター ソード・シールド」ではバトルアニメーションをOFFにする「高速化モード」があります。ですが、これを有効にすると魅力的なアニメーションがすべてOFFとなりゲーム体験を大きく低下させてしまい、根本的な解決となっていません

高速化モードがあるから演出は長くても良い」という考え方ではなく、標準のゲーム設定でテンポよく遊べるシステムであるのが理想となります。

📌戦闘が長引くのが悪いのか?

テンポが悪い」というのは、必ずしも長時間のバトルが問題となるわけではありません。長時間のバトルでしか出せない緊張感もありますし、頭を悩ます選択の連続が発生するバトルであれば、たとえ長時間のバトルでもユーザー体験は魅力的なものとなります。

例えばターン制のストラテジーゲーム「Into the Breachでは、1手に10〜20分以上も悩むこともある高難易度ゲームですが、最適な解法を見つけたときの達成感はとても高く、上質なゲーム体験を得られます。

Into the Breach (出典:Steam)

解決法1: アクションに対する演出を同時実行できるかを検討する

連続攻撃」による多段ヒットや「範囲攻撃 (AoE)」によるエフェクトなど、同時再生できないかどうかを検討します。特に連続攻撃であれば、ヒット演出のみを連続再生することで高速化が可能となります。

種別 テンポが悪い演出 改善後
連続攻撃 1. 「○○の攻撃!」 (攻撃開始演出)
2. 「XXダメージ」(ヒット演出)
3. 「○○の攻撃!」 (攻撃開始演出)
4. 「XXダメージ」(ヒット演出)
5. 以下、ヒット回数だけ繰り返す
1. 「○○の攻撃!」 (攻撃開始演出)
2. ダメージ演出を攻撃回数だけ連続再生
3. トータルダメージを表示する
範囲攻撃 1. 「○○スキル発動!」(スキル演出)
2. 「XXダメージ」(ヒット演出)
3. 「○○スキル発動」(スキル演出)
4. 「XXダメージ」(ヒット演出)
5. 以下、敵の体数だけ繰り返す
1. 「○○スキル発動!」(スキル演出)
2. 効果がある敵全体にヒット演出を同時再生

解決法2: ATB / CTB の導入

目指すべきバトルシステムにもよりますが、ATB / CTB を採用すると体感的な待ち時間が減り、ターン制バトルのテンポの悪さが軽減されます。

ファイナルファンタジーシリーズで伝統的に採用されている、ターンの順番を ATB ゲージと呼ばれるゲージが満たされたときに行動可能とするシステム。

コマンド選択中も時間経過が行われ、コマンド選択に時間をかけすぎると敵からの攻撃で割り込まれることもある「アクティブ」モードと、コマンド選択中には時間が停止する「ウェイト」モードがある(「アクティブ」の方が難易度は高いがメリットはない)。

また選んだコマンドによる「待機時間」が設定されており、待機時間中は ATBゲージは上昇しない。

待機時間の長さは、選んだコマンドの種類やそのキャラクターの速度、能力値などに依存するため、ストラテジー要素が強めのシステムとなっている。

 

📌CTB (カウントタイムバトル)

「待機時間」が "0" になったキャラクターから行動可能となるシステム。待機時間はキャラクターの速度値に直前の行動を乗算した値で求められる。

特筆すべきは、行動順がリスト表示され割り込みタイミングが発生した場合には即座に入れ替わるようになっていること。これにより敵の強力な攻撃の発生を遅らせたり、対処行動を先回りして行うなどの戦略性が生まれるようになった。

解決法3: アニメーション中にインタラクティブな (割り込み) 要素を入れる

これも目指すべきバトルシステムによりますが、アニメーション再生中に特定ボタンを入力することで良い効果が得られるシステムを採用すると、ただ待っているだけよりもプレイヤーが介入できるバトルとなります。

これらは使い所が難しいですが、Undertale敵によって弾幕パターンや遊びが異なりキャラクターの個性を表現するのに一役買っているという狙いもあり、とてもうまく活用されているメカニクスだと思います。

Undertale (出典:Steam)

解決策4: メニュー操作の高速化

ターン制ゲームで最も繰り返し行う操作が「コマンドリストからコマンドを選択」することです。この時間をわずかでも減らすことで、テンポの悪さを改善できます。

例えばペルソナ5では、各サブメニューへ入るためのショートカットキーが用意されていて、高速で目的の項目へアクセスできるようになっています。

またメニューの階層移動は一瞬で行われ、待ち時間を最小限に減らしているという点も参考にすべきポイントだと思います。

解決策5: 演出スキップ

根本的な解決ではありませんが、決定ボタンなどで「演出」や「ボイス再生完了待ち」をスキップできるようにしても良いかもしれません。

問題点2. 単純な戦闘になりやすい

ターン制バトルは、戦略が固定化すると単純で退屈(予測可能で同じことの繰り返し)になりやすいです。それを崩すには戦闘の流れを変えるシステムが必要となります。

解決策:  予測調和を崩したり、最適化の余地があるバトルシステムにする

ターン制バトルでは、使い勝手の良いスキルやキャラクターが手に入ると、そればかりを繰り返してしまいがちになります。ターン制バトルのコアメカニクスはストラテジー要素であり、それを強めるために予測が難しい要素や必勝パターンを崩すシステムの導入を行います。

  • バフやデバフ:行動順の入れ替え、睡眠や麻痺などでターンを止めたりする
  • プレスターン:弱点を突くことで相手のターンをスキップ、自分のターンを増やす
  • Brave and Default:デフォルト (防御) でターンを増やすことができる。またターンの前借りも可能(最大±4ターンまで。マイナスの場合は行動不可となる)
  • タイムラインATB / CTBの発展型。グランディアシリーズや Child of Light で採用されている
📌グランディアの戦闘システム

グランディアは独特なターン制の戦闘システムを採用している。以下、簡単に特徴を紹介する。

■戦闘フィールドでの「キャラの位置」が重要となる

遠くの敵に近接攻撃を仕掛ける場合には、移動コストが必要となる。またキャラ同士が固まった状態でいると範囲攻撃の餌食にされたりと、一般的なストラテジーゲームの要素が入っている。

■IP (イニシアティブ・ポイント) システム

行動可能になるには、時間経過に応じて増える「IP (イニシアティブ・ポイント)」が一定値に達する必要がある。この上昇率はキャラクターによって様々で、基本的に素早さの高いキャラほど速い。

そして相手にダメージや状態異常を与えることで、IP増加を止めることが可能となる。

またターンが回って (COM) 、行動実行 (ACT) にはラグ (≒詠唱時間、キャストタイム) が存在し、スキルによっては COM〜ACT に長い時間を必要とする場合もある。 さらに COM〜ACT の間にクリティカルや特殊スキルをヒットさせると COM 以前までキャンセルさせることも可能。

なおグランディアにインスパイアされたターン制RPGChild of Light」 では、ほぼ同様のシステムが採用されている。(WAITが IP、CASTが COM〜ACT)

Child of Light (出典Steam)

問題点3. レベル上げという単純作業

ターン制バトルは報酬として「XP (経験値)」や「アイテム」「装備品」などを獲得できますが、ゲームによって適切な報酬となりえないことがあります。

というのも「レベルアップ」や「スキルアンロック」「レアアイテム」というお目当ての報酬を入手するには、数多くの戦闘を繰り返す必要があり、これらは単純な作業となりやすいです。

この問題はアクションRPGなどのリアルタイムゲームでも発生しやすいですが、アクション要素があると単調さが軽減されることが多いです。それはターン制バトルの面白さが「頭を考えて戦う」というストラテジー要素に依存するため、頭を使わずに同じパターンの繰り返しが発生すると、その単調作業に退屈して飽きてしまうからです。

解決策1: 小さなアップグレードを繰り返し行えるようにする

単調な作業の解決策の1つとしては、小さな変化を繰り返し行うことです。

ファイナルファンタジー5 では、戦闘勝利時に経験値だけでなくジョブレベルを上げる ABP を獲得することができますABPを使ってどのジョブを強化するのはプレイヤーの自由な選択で、それにより新しいスキルを得たり、スキル同士を組み合わせてより強力な組み合わせを見つける面白さが得られます。ジョブレベルの成長速度は様々で小さなアンロックが細かく繰り返され、そのたびにゲームプレイに変化が生まれるわけです。

これはRPGに限らず、ストラテジーゲームでも同じ例が見つかります。ストラテジーゲームでは、各キャラクターの成長速度が様々で、クラスの選択や装備品や特性の違いなどで、キャラクターの構成について考える楽しさが得られます。

また Hack ’n’ slash (ハック&スラッシュ) のような「素材の獲得」による強力な武器の入手や、 アイテムを合成する Crafting (クラフト) 要素などもゲームに小さな変化を発生させるメカニクスとして検討の価値があります。

解決策2: バトルの目的を「勝利」以外のものにする

真・女神転生シリーズでは、敵との会話を通じて味方(仲魔)にすることができます。戦闘の目的を「戦って敵を倒すこと」だけを目的とするのではなく、お目当ての悪魔を入手する探索要素や交渉要素が生まれます。

また、これは問題2の「単調なバトル」の解消にも適用できる項目ですが、交渉に失敗した場合は敵の先制攻撃でバトルが開始されてリスクの高い戦闘となり、緊張感のある戦いととなります。

解決策3: バトルシステムをゲームの物語に織り込む

ファイアーエムブレム 風花雪月では、キャラクター同士の連携レベルの強化(バトルや会話)により戦闘を有利に進めることが可能となるシステムが採用されています。これにより強力な連携を探したり、お気に入りのキャラを強化する楽しみが生まれます。

さらに連携レベルによってストーリのルート分岐が発生するようになっており、キャラクター強化のモチベーションを押し上げる要因となっています。

📌恋愛ゲーム の要素を取り入れる

JRPGで有効な「ゲームシステム」と「物語」の融合が Dating sim (恋愛ゲーム) です。

古くは「サクラ大戦シリーズ」でキャラクターとの会話により「信頼度」を上げることでバトルを有利に進めることが可能となりました。

またペルソナシリーズ (ペルソナ3以降) では、お目当てのキャラクターと親密になることで強力なペルソナ (悪魔) を召喚できるメリットを享受できます。

解決策4: プレイヤーのレベルに合わせて敵を強化する

やや扱いが難しいですが、プレイヤーレベルに合わせて敵のレベルを自動で変動させることで、常に均衡の取れたバトルとなります

ファイナルファンタジー8 では、プレイヤーレベルが上がると敵も強化され、手詰まりになったときの救済要素として「ジャンクション」により、「召喚獣」や「魔法」を装備してプレイヤーを強化することができます。

クロノクロスでは、「レベルスター・システム (キャラクターのレベルを強化するスターに上限がある)」により、常に緊張感のあるバトルとなり、さらに戦闘はすべて逃走可能です。

ただこの方法は、負のフィードバックループの問題が発生するので取り扱いに注意が必要です。

負の Feedback loops (フィードバックループ) とは、常にゲームのパワーバランスを均衡させることで、パワーインフレによる単調化を防ぐメリットがあります。

ただし、常に均衡化するとプレイヤーの成長を感じにくくなる(「俺TUEEE」ができない)ので、正のフィードバックループ(インフレ化)を部分的に取り入れる必要がありそうです。

解決策5: ストーリーとレベル上げを分離する

ディスガイアシリーズでは、シナリオ進行とは別にキャラクター強化の場が用意されており、どこまでもキャラクターを育成することが可能となっています。

ストーリーの進行をロックしてレベル上げさせるのではなく、レベル上げを楽しむステージとストーリーを進めるステージを分けることで、プレイヤーは常に楽しい戦闘ができます。

参考

How Do You Improve Turn Based Combat?

今回の記事を書くにあたって参考にした動画です。

www.youtube.com

JRPGとは何か

戦略 (ストラテジー) 性とは何か、という考察が興味深いです。戦略性を高めるための3要素として以下のものを提示しています。

  • 1. 未来が予想できること:世界観や設定による確実性のある「情報の開示
  • 2. 未来が完全には予想できないこと:開示する情報と「非開示情報」の取捨選択。不確実 (ランダム) 性の導入
  • 3. 未来を自分で変えられること:受動的でなく「能動的」なプレイヤーのゲームメカニクスへの介入

その他

関連記事

バトルに特化した RPG を作る方法については、以下の記事に書きました。

レトロ風ゲームを現代的なゲームに作り変える方法

今回は「Shovel Knight and Nailing Nostalgia (ショベルナイトと完璧なノスタルジア)」という動画の内容を個人的にまとめた記事となります。

2Dドット絵のレトロ風(ファミコンスーパーファミコン風)のゲームを作るときに、単に懐かしいだけではない魅力」を感じられるものにするためにはどうすればいいのか…、ということが理解できると思います。

昔懐かしのデザインを成功させるための4つの原則

レトロ風ゲームを成功させる原則は以下の4つです。

  1. 複数のゲーム」を元ネタにすること
  2. 元ネタの「良いところを使うこと
  3. 昔のゲームのダメな部分」を現代的にすることを恐れない
  4. レトロな雰囲気」を残しつつも「美しい表現」にすること

1. 「複数のゲーム」を元ネタにすること

例えば、Shovel Knight は 8ビット時代のゲームを彷彿とさせるレトロなアクションゲームです。

Shovel Knight (出典:Steam

特徴として、グラフィックやサウンド、ゲームシステムに「複数」のレトロゲームへのオマージュがあります。

何か1つのゲームだけではなく「ファミコン作品全体」からアイデアを借りているのがポイントです。というのも、1つのゲームに固執してアイデアを借用すると「ある作品に似ている」「似ているが再現度が足りていない」といったパクリに対する批判が発生しやすいためです。

そこで複数」のゲームのアイデアを組み合わせることで、それらの批判をある程度回避することができます。また複数のゲームアイデアを組み合わせることは、独自のシステムやゲームプレイが生まれたり、懐かしいながらも目新しい印象を与えることもできます。

2. 過去の名作ゲームの単なる模倣をしない

単に昔のゲームを模倣するのは危険です。というのも昔のゲームは、今の感覚では理不尽な高難易度や遊びづらさ、 Insta-death (即死ゲーム) さえも美化されています。それをそのまま今の時代で作っても、受け入れられにくい作品となってしまいます。

  • 3分間でゲームオーバー」にしなければならないアーケードスタイルの難易度設計
  • やたらと多い即死要素
  • 厳しい死亡ペナルティ。 Permadeath (恒久的な死) やステージの最初からのやり直し、Lives (残機) 制など
  • 理不尽な敵の動き(回避が困難な攻撃など)
  • ジャンプ中に空中制御できない
  • ノックバックで谷底に落下させられる
  • 不便で使いづらいUI
  • わかりにくい隠し要素や攻略方法

これらの極端に難しい要素は攻略したときに高い達成感を得られます。ですが、こういった理不尽な要素は拒絶される可能性があるので、注意して取り入れることが必要です。

ただ、過去の名作を名作たらしめている部分は、積極的に模倣すべきです。

  • シンプルなシステム」にゲームプレイを集中させる
  • 想像力豊かな」ステージデザイン
  • ぎこちないゆえに「わかりやすい」キャラの動き
  • 明確に分割」されて「一貫性」のあるステージ構成
  • ステージ内に巧みに用意された「隠し要素
  • 繰り返し挑みたくなる」手応えのあるボス戦
  • 文章によるチュートリアルが存在せず、ゲームシステムを「ステージデザインで学ばせる」方式
  • 瞬時にゲームを起動」してすぐに遊べる

3. 昔のゲームの「ダメな部分」を現代的にすることを恐れない

たとえレトロ風のゲームであっても、現代的なゲームで優れたシステム、応用できそうな部分があれば積極的に取り入れます。例えばShovel Knight では Insta-death (即死ゲーム) の要素を取り入れつつも、現代的なゲームシステムを取り入れています。

レトロなシステム 改良
死んだらお金を失う
(死の緊張感が生まれるが
 シビアな難易度となる)
死亡時にその場にお金をばらまき、
その場所に戻れれば回収できるようにした
DARK SOULS から借用したシステム)
死んだらチェックポイント
へ戻される
チェックポイントを破壊可能にし、
破壊すると大金を得られるようにした

4. 「レトロな雰囲気」を残しつつも「美しい表現」にする

グラフィックはレトロな雰囲気は残しつつも、当時のゲームハードの制約は気にせず豪華な見た目にする。MIGHTY GUNVOLT BURSTのように過去のハードを忠実に再現する必要はありません。

  • オブジェクト数やサイズは無制限とする
  • 背景の多重スクロールは惜しみなく使用する
  • 色数も惜しみなく使う
  • サウンドも音源やチャンネル数の制約はなし

Hyper Light Drifterスーパーファミコン風のゲームデザインながらも、色数は多く美しいアートワークとなっており、IGFを受賞するほど絶賛されました。

Hyper Light Drifter での 4つの原則を取り入れた例

Hyper Light Drifter はこの原則をうまく取り入れることで成功しました。(IGFのビジュアルアートとサウンド・オーディオ賞(2016年)、Apple iPadベストゲーム(2019年))

Hyper Light Drifter (出典:Steam
原則 表現方法
1. 複数のゲームを
元ネタにすること
ゼルダの伝説 神々のトライフォース
ロックマンゼロ」「ジブリ作品
新世紀エヴァンゲリオン」「Diablo」「ダークソウル
など様々な作品を元ネタにしている
2. 元ネタの「良いところ」
を使うこと
ゼルダの伝説 をベースにした操作方法や
キャラクターの成長や謎解きや探索要素。
高難易度アクション。
隠しアイテムでのキャラクターの強化
3. ダメな部分を現代的に
することを恐れない
ダッシュを駆使したスピード感ある
テンポ良いアクション。
レトロ風ながらも現代的なサウンドトラック
4. レトロな雰囲気を
残しつつも、
美しい表現を取り入れる
16bit風のドット絵だが、
色使いが独特で幻想的かつ退廃的。
オブジェクトも大量に配置されている

しかし、Hyper Light Drifter と異なり、 Mighty No.9ロックマンの悪い点(難易度はそのままで、理不尽な即死や残機制限、ひどい声優の演技など)をそのまま真似てしまっています。さらにロックマンらしさのないアートワークは原作の雰囲気を再現できず、中途半端なものとなってしまいました。

Mighty No.9 (出典:Steam)

それに対して、Shovel Knight は、開発者が元WayForward (Shantae: Half-Genie Heroなど優れた2Dアクションを開発)所属で2Dアクションの制作の長い経験があり、ステージデザインは一流で、はやりネタやリファレンスに頼ることなく独自のユーモアセンスが光る作品です。何よりも懐かしさを正しく利用しています。

参考

脱出ゲームの記事まとめ

この記事は、Escape the room game (脱出ゲーム) に関する情報のまとめとなります。

脱出ゲームの記事まとめ

脱出ゲームばかり作り続けると危ないと思うワケ

こちらの記事は脱出ゲームを作るメリットとデメリットを紹介しています。

脱出ゲームを作るメリット

  • 複雑なプログラム技術が必要ない:リアルタイム計算が不要で、決まった謎を解くだけなのでバグが発生しにくくデバッグしやすい
  • 素材が用意しやすい:UIが簡素なのでUI素材が少なくて済む。またゲーム内の背景やオブジェクトの画像は3DCGの良質なフリー素材で作れてしまう
  • 遊ばれやすい:繰り返し遊ばれるジャンルではないので、ユーザーは常に新作を求めている

デメリット

  • 収益性が低い:一度クリアしたら終わりなので、継続率が低い。1DLあたりの収益は 3〜4円 で、 Incremental game (放置系ゲーム) が 10円/DL であるとの比べて低い
  • 量産は危険iOSの場合は脱出ゲームを大量にリリースすると、「似たアプリなので1本にまとめてください」とリジェクトされることがある
  • 高いDL数を出すにはセンスが必要:「ママにゲームを隠された」のようなセンスがないと 100万〜1000万DLされない

収益性が低いので、脱出ゲームを作って生活するには「他のジャンルも作る」「放置ゲーム」など単価の高いアプリも作る必要がある、とのこと。

「これならアプリで食っていける」世界2300万ダウンロードの脱出ゲーム「DOOORS」作者がデザイナーからアプリ開発者へ転身したワケ。

オリジナリティのある謎解きで 2300万DL を達成した「DOOORS」の作者の方へのインタビュー記事です。

DOORS (出典:58 WORKS)

元々はデザインの仕事をしていたんですね。いま15期目で、僕ひとりではあるのですがデザイン会社をやっていまして。

それで、その仕事のかたわら、アプリをつくりはじめたのが、そもそものきっかけでした。今はアプリブランド「58WORKS」として、自社アプリ1本で仕事をしています。

「これならアプリで食っていける」世界2300万ダウンロードの脱出ゲーム「DOOORS」作者がデザイナーからアプリ開発者へ転身したワケ。

もともとデザイン関連のお仕事をされている方で、公式サイトを見ると Flash 時代から脱出ゲームを作っているようで、そのあたりの経験がヒットにつながったのかもしれません。

Flashで作られた脱出ゲーム (出典:58 WORKS

言葉がなくても楽しめるゲームを目指した

アプリ内は単純に「ローカライズがめんどくさい」ということもあって、そもそもローカライズの必要のない「言葉がなくても楽しめるゲーム」にしていました。

「これならアプリで食っていける」世界2300万ダウンロードの脱出ゲーム「DOOORS」作者がデザイナーからアプリ開発者へ転身したワケ。

脱出ゲームの作り方、気をつけていること

  • イデア:謎解きを考えるとき「半分くらいはボツになる」ので、ステージが25あるなら、50くらい考える
  • 発想法:忘れないように iPad にメモする。ホームセンターは色々な工具があるのでネタを思いつきやすい
  • 難易度小学校卒業程度の知識」でもクリアできるくらいを目指した

収益性

おおよそ、1ダウンロードあたり「5円」とのこと。

続編を出すメリット

続編は前作よりもダウンロード数は下がるが、新規ユーザーの獲得につながるので、トータルとしてはプラスになる

「脱出ゲーム Underground」をリリース!作り方と感想など【Unity】

この方は、絵の教本を出版できるほど絵のうまい方。「脱出ゲーム Underground」もなかなか美しいアートワークとなっています。

脱出ゲーム Underground(出典:高原工房

脱出ゲームを作るにあたって、コンセプトアート、イメージアートを 200枚ほど描いたとのこと。

データの保存は Jsonで、脱出ゲームを作ることで、UnityとBlenderに使い慣れたそうです。

【個人開発ゲームを斬る】絶妙なヒントで最後まで必ず楽しめる脱出ゲーム

謎はどうやって考えているのか

  • 1. 汎用的な謎解きを考え、部屋に合わせてカスタマイズする
  • 2. 部屋にとりあえず物を置いて、それを謎解きに結びつける

脱出ゲームって本当にダウンロードされて収益性が低いのか実際にリリースして試してみた

ユーザーの客層

  • 不具合について細かく指摘されやすい
  • ゲームシステムやゲームバランスについてとやかく言われやすい
  • 広告を入れすぎると、それを批判されやすい

脱出ゲームは厳しめのレビューがつきやすいので、あまり重く受け止めすぎないのが大切かも知れません

難易度や収益性

  • 難易度:簡単すぎず難しすぎない難易度が求められる
  • 広告収益:1ダウンロードあたり3~5円

収益性が低いので基本的に儲からないが、短期間で作れて大きく外すことはないので、ゲーム制作初心者に向いている

これぞ開発者愛! 『無人島からの脱出』は謎解き以外つまずかないようシステム面に注力!【電撃インディー#87】

苦労したこと・気をつけていること

  • 難易度:難易度調整が一番難しい。他の人がどこでつまづくかわからない。配信後のレビューを見て、アップデートで調整する
  • 遊びやすさ:謎解き以外ではつまづかないように、UIの使いやすさには気をつける

謎解き作成に使えるツール・フリー素材・サイト【9つご紹介】

脱出ゲームの謎解きを作るために役立つツールが多数紹介されています

謎解き作成に役立つツール

まとめ

  • 脱出ゲームの収益性は、「1ダウンロードあたり 3〜5円」くらいと、他のジャンルに比べて低い
  • ただしゲーム制作初心者向きで、ネット上に素材が見つかりやすく作りやすい
  • 見た目の良さが重要
  • 謎解きの「難易度は低め」にして解きやすくした方が良い