20 Essential Games to Study (ゲームデザインを勉強する価値のある20のゲーム)

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カテゴリー: その他

概要

このページは、「20 Essential Games to Study」という本で紹介されたゲームについて、個人的な考察を含めた簡単なまとめです。

20 Essential Games to Study (ゲームデザインを勉強する価値のある20のゲーム)

1. Star Control II (1992; PC, 3DO) – 自分のスペースを選択 [冒険]

Star Control I and II (出典: Steam)

2. スーパーメトロイド (1994; SFC) – メトロイドヴァニアの設計図 [ゲームデザイン]

3. X-COM: UFO Defense (1994; PC, PS1) – マルチシステムのゲームプレイ

X-COM: UFO Defense (出典: Steam)

4. Logical Journey of the Zoombinis (1996; PC) – やりがいのある経験

Zoombinis は知育ゲームをデザインする見本となるケースで、ロジカルシンキングを身につけることを目的としている。レイトン教授やカジュアルパズルゲームが出現するよりもはるか前に発売されていたが、今なおそのメカニクスは独特であり、研究する価値がある。

ゲームプレイとしては、16のズンビーニを選び、論理的思考や仮説による検証などで攻略し問題解決能力を身につけることを目的としている。

Zoombinis (出典: Steam)

特徴

ゲームデザインの特徴は以下の通り。

  • 同じパズルを繰り返し解くことを目的をしている
  • そのため、パズルはランダムで自動生成される
  • 各パズルはズンビーニを犠牲にしつつも検証を行い、論理的思考により正解を求めることができる

大きな特徴としては、単なるクイズやナゾナゾによる暗記ゲームではなく、能動的な推理を要求すること。そしてパズルをランダム生成することでリプレイバリューを高めることに成功した

また、通常の知育ゲームが退屈なゲームプレイであったのに対して、Zoombinis は楽しいゲームプレイを維持しつつ学習要素を取り入れており、パズルゲームを考える上での大きな参考となる作品。

出題されるパズル (一部)

  1. アレルギーの谷:隠されたアレルギーを見つける推理パズル
  2. 石の冷たい洞窟:アレルギーの谷に類似したパズル。4つのパスのうちの1つの正解を探すパズル
  3. ピザパズ:5種類のピザの具から好みとなる組み合わせを当てる推理パズル
  4. キャプテン・ケイジャンのフェリボート:グラフ理論。隣り合うズンビーニの共通点を求めるパズル
  5. タイタニックの入れ墨のヒキガエル:ゴールまでの一筆書きを探すパズル
  6. ストーンライズ:連続する特徴をつなぎ合わせるパズル
  7. フリーンズ!:グラフ理論と統計学。ズンビーニ対応する3人の組み合わせを探すパズル
  8. ホテル・ディメンシア:ホテルの部屋に入れるパーツを探すパズル
  9. 泥玉の壁:色と形の組み合わせが壁の2次元の表に対応する場所を探すパズル

5. ゴールデンアイ 64 (1997; N64) – コンソール機におけるFPS

6. メタルギアソリッド (1998; PS1) – 「アクション」と「ステルス」の両立

食い合わせの悪いジャンルである「アクションゲーム」と「ステルスゲーム」を融合し、ニッチで一般受けしない大人向けの世界観やストーリーをメジャーにした奇跡のシリーズ。

「アクションゲーム」と「ステルスゲーム」の食い合わせが悪い理由

  • アクションゲーム:走り回って戦い、基本的に敵を殲滅することを目的とする
  • ステルスゲーム:敵に見つからないように慎重に行動し、敵を倒したいという衝動を抑える忍耐強さと几帳面さが求められる

ステルスゲームで「簡単に敵を倒せてしまう」と、敵から隠れる必要がなくなりジャンルとしての面白さが失われてしまう。だからと言って、敵に見つかったら即ゲームオーバーとしてしまうと、制約が多くて不自由な厳しすぎる難易度のゲームとなってしまう。

しかしメタルギアソリッドでは、多彩すぎる武器を用意したことで、プレイスタイルに合わせて武器を使いこなす戦術要素が生まれ、独自のゲームスタイルとなった。

メタルギアソリッドでの発明

  • 1. 戦闘が可能:敵に見つからないことが基本のゲームシステムだが、様々な武器を駆使して敵を倒すことも可能。特にボス戦のプレイフィールは通常のアクションゲームに近い
  • 2. 多彩な武器:あまりにも多彩な武器の種類(※1)
  • 3. バリエーション豊富で魅力的なボス戦:ボスごとに異なるプレイを要求される。ボスの性格が攻撃パターンや攻略に反映されるため非常に個性的な性格のボスが多い
  • 4. 警戒状態の解除:敵に見つかっても一定時間隠れていれば警戒状態が解除されるようになり、ミスに対するリカバリーが可能
  • 5. 大人向けストーリー:秘密結社、核戦争、遺伝学など大人向けのテーマが語られる

(※1) メタルギアシリーズのあまりにも多彩な武器については Wikipedia – メタルギアシリーズの装備一覧 を参照

7. ディアブロII (2000; PC) – 芸術的な戦利品

8. Half-Life 2 (2004; PC, 各プラットフォーム) – 複合ジャンルの横断

9. 塊魂 (2004; PS2) – シンプルな美しさ

塊魂のルールはシンプルで、塊を転がして大きくするだけ…というカジュアルなゲームデザインながら、手応えがありやり込む価値があると感じさせるゲーム。

特徴

  • 操作方法」と「ゲームシステム」がとにかくシンプルで直感的
  • 基本の操作方法はツインスティクを倒す方向だけ
  • 玉を転がして落ちているものをくっつけて大きくするだけ
  • ゲーム内容とシンクロした各種楽曲

難易度の上げ方

ゲームの難易度の上げ方として、複雑なルールを導入するのではなくプレイ時間を長くし、レベル内のアイテム配置の記憶やペース配分の戦略を考えさせる方法を採用した。例えば最初のレベルの制限時間は「3分」だが、最終レベルは「25分」となっている。この方式はカジュアル向けゲームの難易度の上げ方として特筆すべき特徴となるが、操作の物理慣性にクセが強く混乱しやすいピーキーな挙動となりやすいから、このルールが成立しているのかもしれない。

また寄り道レベルでは単にサイズを大きくするだけではなく、別の目標を用意するようにしている。

  • 特定のオブジェクトをくっつける:カニ星、ハクチョウ星、カタツムリ星、フタゴ星(2つセット)、オトメ星
  • 特定の大きなオブジェクトをくっつける:オオグマ星、オウシ星
  • 特定のサイズにする:ホッキョク星 (ちょうど10mにする)

個人的な考察

その他、個人的な評価ポイントとメモ

  • ドットイートゲーム:回収可能なアイテムを探して、適切なサイズのアイテムを大量に回収できたときのスッキリ感が効果音を含めて気持ち良い。プレイ感はローラークリーナーで部屋をきれいにする感覚に近く「お掃除ゲーム」の一種と言えるのかもしれない
  • 逆転要素:巻き込めないサイズのアイテムは障害物であり避けなければいけないネガティブな要素。しかし塊のサイズが大きくなることで逆転して自分から衝突をするべきアイテムとなる。そして対象が人や動物の場合は逃げるようになって追いかけるゲームとなる。これは「ドットイート要素」と合わせてパックマンのプレイ感に近い
  • シュールテイストによる利点:ウゴウゴルーガのようなシュールなテイストのアートで、残酷になりそうな描写(人や動物を巻き込む)をうまく覆い隠して受け入れられやすい印象にすり替えている。また巻き込めるアイテムのデザインセンスを自由にしても違和感がない
  • 多彩で楽しい楽曲:世界観やストーリー、ゲーム性は「カオス」そのものであるが、「各楽曲のゲームとのシンクロ率やクオリティが高く、受け入れられやすいテーマ」であり全体として満足度の得られる構成となっている
  • 変な笑いポイント巻き込んでいけないと思われるものを巻き込んだり、そのときのSEやボイスがカオスだったり、塊のサイズが大きなオブジェクトを巻き込めるようになったときに「変な笑い」が生まれる。かなりやりこんだユーザーでも制御不能な塊のおかしな挙動で障害物にクラッシュしたりする。ノルマ達成時には時間切れ間際に徐々に白フェードが入る
  • ランクアップ演出が回転モーションブラー:回転するだけに。この演出中にさり気なくカメラの引きが入る

このゲームの後続となるゲームがあまり出ず、ジャンルとして定着しない理由を個人的に考察。

  • 1. アセットの物量の多さ:このゲームの本質は巻き込む対象となる「アセット」をコレクションする要素である。それをリッチにするには「アセット」を大量生産する必要があり、基本的に低予算で作るカジュアルゲームとしてはコストに見合わない。またサイズを視認で理解できるようなアセットでなければならない。ただ最近はアセットストアなどで大量の素材が簡単に手に入るので、統一感のある調整が可能であれば問題とならないのかもしれない
  • 2. レベル作成コスト:攻略の自由度を高くするために、どの場所でも回収可能なアイテムを配置しなければならず、かつ戦略的な面白さを得られるようなものでなければならない。レベル内にはアイテムを膨大な数を配置する必要があり、この調整にはかなりの時間を要するものと想定される
  • 3. 衝突処理やカメラ制御、処理負荷の軽減の難しさ:単なる物理挙動ではダメで、くっついたオブジェクトを適切に処理する必要がある。そして塊のサイズによりカメラを引いたり、レベル内に大量に存在するオブジェクトの描画負荷や衝突処理の負荷をどのように軽減するのかという難しさがある(みんな大好き塊魂では長めのロードが入るようになっている様子)

おそらくカジュアルでコアユーザー向けのゲームを作るとしたら、塊魂よりもPowerWash Simulatorの方が遥かに簡単かもしれない。もしくはおまえらバランスとってふたご塔を作るゲームといった「くっつける」という要素をほんのり使った Physics puzzle game (物理パズルゲーム) にするなど。

10. デビルメイクライ3 (2005; PS3) – アクションにスタイルをもたらす

11. ワンダと巨像 (2005; PS2) – ボス重視のゲームデザイン

12. Team Fortress 2 (2007; PC、複数のプラットフォーム) – 終わりのない運営型ゲーム

13. すばらしきこのせかい – (2007; NDS, Switch) – JRPGの異端児

14. Left 4 Dead (2008; PC, Xbox 360, macOS) – 協力ゲームの最良の例

15. Spelunky (2008; PC, 複数のプラットフォーム) – プロシージャルなプラットフォーマー

Spelunkyはプロシージャルで自動生成されるレベルを攻略する2Dサイドビューの Platformer (プラットフォーマー)

Spelunky (出典: Steam)

Spelunky の果たした役割

ローグライクジャンルの持つリプレイバリューの高さを、ターン制RPG以外のゲームで実現した最初の作品。またプロシージャルの持つ自動生成のパワフルな力を引き出すことに成功している。

プレイヤーの性能

プレイヤーが操作するキャラクターと基本アイテムは以下の特徴・性能を持つ

  • 視界は「20 x 11 ± 0.2タイル」
    • 上キーまたは下キーを長押しすることで「4タイル」ぶんの視点を移動できる
  • 上方向への移動について
    • ジャンプで登れる高さは「1.5タイル」のみ
      • 1.5タイルあるので、2タイル上にあるハシゴに捕まることが可能
    • ただし壁に手を引っ掛けることで「2タイル」まで登ることができる
    • 「ロープ」アイテムを使用することで「7.5タイル」ぶんの上下移動ができるようになる
      • 通常は上に現在のプレイヤーの高さから発射する
      • 下キーを押しながら発射することで、前方2タイル先から現在の高さから下に伸ばすことができる
      • ロープの根本には攻撃判定があるので上方向への攻撃として使うこともできる
  • 左右方向の移動について
    • 通常ジャンプの場合は、同じ高さの「2タイル」まで飛び移ることが可能
    • ダッシュジャンプの場合は「5タイル」先まで飛び移ることが可能(ダッシュはおおよそ2.5倍の速度になる?)
  • 爆弾について
    • 爆弾で壊せる壁は、爆弾を中心に「1.5タイル」ほど
      • 「中心」からなので上方向へは通常「1タイル」しか破壊できない

特徴

Spelunky の設計思想は「プラットフォーマー」を暗記によるレベルの攻略が好みでない、として「ローグライク」の自動生成を取り入れて暗記要素を排除している。

レベルの暗記ではなく、メカニクスの理解が攻略につながる設計となっている。

デイリーランの採用

1日に1回だけ挑戦可能なチャレンジ。スコアに基づいてランク付けされることで、その日のベストプレイヤーを確認できる。

これは Spelunky のリプレイバリューをさらに向上させる人気のプレイモードで、ローグライクでは標準機能となった。

16. デモンズソウル (2009; PS3) – ローグライクアクション

17. Plants vs. Zombies (2009; PC, 複数のプラットフォーム) – 究極のハードコアカジュアルゲーム

18. The Binding of Issac (2011; PC, 複数のプラットフォーム) – 完璧な持続性

19. Infinifactory (2015; PC) – 創発パズルのゲームデザイン

Infinifactory (出典:Steam)

20. Doom (2016; PC, 複数のプラットフォーム) – ノンストップバトル

DOOM (2016) は、DOOMシリーズ第四作目となるFPS。ホラー要素の強かった前作から路線変更し敵を倒すこと」を中心とした限定回帰のアプローチで設計されている。

DOOM (2016) 出典:Steam

もともとDOOMは広い迷宮をさまようなど、探索要素」を重視する傾向があった。その一方、常にプレイヤーは高速移動し、豊富な武器を使ってリロードなし高速に敵を射撃することができた

それに対して、現代的なFPSは、カバーアクションで「回避」を行いその間に HP自動回復やリロードを行うというタイプが一般的である。

DOOM (2016) では、そういった事情から「探索要素」を排除してほぼ一本道のレベルにし、敵を高速で倒す」「ピンチでも隠れるよりも敵を倒すことを評価する」という設計に変化している。

グローリーキル

その方針が色濃く反映されているのが Glory Kill (グローリーキル) である。グローリーキルは、敵を瀕死状態にすることで発動可能で、グローリーキルで倒すことで体力回復アイテムをドロップすることができる。またDOOM (2016) には Regenerating Health (HPの自動回復) が存在せずほぼ一本道であるため、回復アイテムを探して歩き回るという必要がなく、敵をグローリーキルでとどめを刺すことが多くの場合有効となる。

それにより、バトルの繰り返しを高速で行うことを中心としたゲームプレイとなった。

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