ノベルゲームのシナリオの書き方(初心者向け)

この記事では、 Visual novel (ノベルゲーム) を作りたいけれどもシナリオがなかなか書けない…という人のために、最初のステップとしてどのようにシナリオを書いていくのが良いのかを書いていきます。

なお注意点として、ここで紹介している方法は、あくまで私がシナリオを作れるようになったものなので、1つの参考例としていただければと思います。

シンプルな構成のストーリーにする

シナリオを書きなれないうちは、シンプルな構成のシナリオやテーマ、ジャンルを選ぶのが良いと思います。
ここで言うシンプルな構成とは以下のものです。

  • 直線的に進む話にする
  • 重厚な世界設定などはなく、シンプルでわかりやすい世界観にする
  • シリアスよりもコメディを選ぶ
  • キャラクター同士が、あまり相互に関わり合わない話にする
  • 状況説明や伏線などがあまり必要でないジャンルにする

直線的に進む話にする

「直線的に話が進む」というのは、ゲームシステムで言えば、「選択肢による分岐」が存在しないものです。

「分岐」はそれが存在する数だけ、ストーリーが必要になりシナリオの分量が増え、いわゆる Multi ending (マルチエンド) の話を作る必要があります。また分岐した話の整合性、分岐した話が十分に魅力的になるかどうかなど、求められる技量がどうしても大きくなりがちです。

ですので、まずは分岐が存在しないシナリオを考えるのが良いです。

もし分岐を入れたい場合は、枝分かれした分岐がすぐに合流するものや、バッドエンドで分岐をすぐに終わらせる、正解の選択肢を選ぶまで先に進めなくくする、あたりが良いのかなと思います。

シンプルな世界観にする

これは作りたいものによりますが、あまり世界設定を作るのが得意でない場合は、「現代もの」か「王道ファンタジー」にして、世界観の説明をあまりしなくても伝わるものが良いと思います。

また舞台を「学校」や「王道ファンタジー」にすると人気のテーマであるため、背景素材が多くて素材を作る手間が削減できる、というメリットもあります。

シリアスよりもコメディを選ぶ

「シリアス」とは、「真面目」「本格的」「重大で深刻な」ということを意味します。

シリアスな話とは、例えば、「社会に対する問題提起」「キャラクターの複雑な内面の問題を解決する」「人生で最も大切なものとは?」といったものでしょうか。こういった、シリアスな題材を作ろうとすると、どうしても世界設定やテーマ、キャラクターに対する深い作り込みが必要となります。そして、そのあたりが浅いとリアリティに欠け、どうしても嘘っぽく見えてしまいます。また、重たいテーマは受け手に「難しそうだな……」と敬遠されやすく、そのあたり親しみを持って楽しんでもらえる工夫が必要……などなど、考えることが多いです。

それに対してコメディであれば、茶番やパロディネタ、テンプレ的な世界観でもある程度は許容されやすいです。

ということで、表現したいものにもよりますが、まずはコメディの軽いノリでお話作りをしてみると、気負わずに作れておすすめなのではないかと思います。

キャラクター同士が、あまり相互に関わり合わないものにする

これはキャラクターをどれだけ動かせるかにもよりますが、慣れないうちはプレイヤーが操作する主人公と話をするキャラクター(ヒロインなど)の二人だけの会話で進む話が楽です。

複雑な人間関係を構築する場合には、キャラクターの行動原理をその人数分だけでなく、関わる人に対しても作る必要がありますので、最初はあまり相互に関わらない話にしたほうが良いかと思います。

ただそうなると、ストーリーが二人の関係性のみとなってすぐに話が収束してしまいゲームとしてのボリュームが少なくなる、という問題が発生します。二人だけで話を展開させることもできますが、その場合にはお互いのキャラクターの過去や環境、行動原理などを深堀りして納得が得られる話にする必要があり、結構難易度の高いストーリーとなってしまいます。

なので初心者には二人だけの会話で長い話を作るのは、避けたほうが良いかなと思っています(実際に私もそういった話を作ろうとして挫折したことが多々あります)

この問題の解決方法としては、例えば最初に関係性を持つキャラクターを選び、選択したキャラクターとの会話を進めていく「オムニバス形式」の話にするの良いと思います。

私が最初に作ったノベルゲームがまさにこの「オムニバス形式」で、最初にヒロインを選択してミニゲームをクリアするとそのヒロインとの会話が始まる、というものにしました。

ヒロインの数だけ立ち絵や表情差分を作るのがやや大変ですが、ストーリーの作成難易度が下がるので、最初に作るシナリオとしてはオススメです。

複雑な伏線がなくても楽しめる話にする

複雑な伏線があるジャンルと言えば「ミステリー」ですね。ミステリーを作るためには、ネタばらしをするフェーズで、プレイヤーを驚かせる必要がありますが、それをするには綿密な伏線を用意するなど、とてもロジカルな作り方となります。

それに対してDating sim (恋愛ゲーム) =ラブコメ」なら、キャラクター中心に話を進めていけば、おおよそ破綻せず話を終わらせることができるので比較的作りやすいのかな…と思っています(それが売れるゲームになるのかは別として)

何が作りたいにもよりますが、作りやすいジャンルを選んだほうが良いのかなと思っています。

キャラクター中心に話を作っていく

ということで、私のオススメは「キャラクターを中心としたストーリー」です。
ではそういった話をどうやって作るのか…ということですが、私の場合は以下の本でそれを学びました。

この本ではキャラクターの反応(リアクション)を中心に4コママンガを描いていく…という方法を紹介しています。

2コマで状況を説明し、そのリアクションをどうするかを描くことでキャラクターを理解していきます。
しっくりくるリアクションが描ければキャラクターの方向性が定まってきます。それを繰り返す(リアクションのパターンをいくつか描いていく)ことで、キャラクターが「シナリオの都合で動く」のではなく、キャラクター自身が「意志を持って動く」ことが少しずつできるようになります。

この方法は、「ワンピース」の尾田栄一郎先生も似たことをしているようです。うろ覚えの話ですが、尾田先生の場合は、キャラクターの落書きをしながらキャラクターに話しかけてその反応を考えながらキャラクターを作っていくとのことです。

なお絵が描ければこの方法が使えますが、描けない場合はどうするのか…ということですが、コミPo! というマンガ作成ツールや、World Makerというネーム作成ツールを使っても良いかと思います。

私の場合は、表情パターンぐらいの絵であればひとまず描けるので、これを使ってスクリプトで会話を入れてみて、イメージを掴むという方法をしています。

表情パターンとセリフを組み合わせることで、キャラクターと会話しているような気になれますので、表情が描けるのであればオススメです。

なぜキャラクターから作る必要があるのか。
シナリオの本を読むと、三幕構成やプロットポイント、ターニングポイントなどシナリオ構成の話が出てきますが、シナリオを書けない人は、まずは「キャラクターのリアクション」をしっかり描こう、と私は考えています。

「構成」もシナリオを作る上ではとても重要なのですが、まずは「キャラクター」に興味を持ってもらえないと、話に関心を持ってもらえないからです。
というのも、例えキャラクターが生きるか死ぬかの状況になったとしても、そのキャラクターに興味がなければ、プレイヤーは「どうでもいい」と考えてしまいます。

なので、まずはキャラクターを中心に話を作ってみるのが良いのかなと思います。

ちなみにシナリオの構成を学ぶ本としては以下のものがオススメです。

2022.8.14 追記:ホラーという選択肢もあり

Dating sim (恋愛ゲーム) がどうも好きでない方におすすめなのが、Horror game (ホラーゲーム) です。ホラーゲームなら恋愛要素は不要で、 Jump scare (ジャンプスケア・ホラーゲーム) のように怖い演出が作れれば、後はその怪異が存在する理由を考えて、 Closed circle (閉鎖空間) に主人公を放り込めばストーリーが完成します。

ホラーものの結末としては、以下のものがよくあります

  • 怪異には悲しい過去があって、主人公は怪異を救済することで成仏できた
  • 怪異の正体は昔死んだ兄弟で、主人公のピンチを救って消滅した
  • 怪異に主人公の身体は乗っ取られ、主人公は新たな獲物を探してさまようことになる……
  • 怪異を倒したと思ったら、まだ生きていて別の犠牲者を探していた。次はあなたかもしれない……

ホラー要素については以下の記事で解説していますので、興味があれば読んでみても良いかなと思います。

ホラーゲームの作り方 「恐怖の哲学 ホラーで人間を読む」に学ぶホラーの作り方

妥協も大切

最後に、シナリオを作り慣れていない人がシナリオを完成させるための重要な考え方です。

シナリオを作って、それをゲームに組み込んで実際に形にしてみると、設定やシナリオの矛盾点やキャラクターの行動原理におかしな点が数多く見つかります。

可能な限りそれを直すのが良いですが、あまりにも何回もそれをするのは大変ですし、ストーリーの大筋を変えなければならないような修正をすると、ゲームが完成しない恐れがあります。

そのため、ある程度の段階で作り直しを考えるよりも「どうすれば、ダメージを減らせるのか(違和感のある粗い部分が目立たなくなる修正となるのか)」という消極的な解決方法で完成に近づけていくのが良いのではないかと思います。

私は今までノベルゲームは2本ほど作りましたが、どちらも今見ると矛盾点や気になる点が多く存在しています。ただ完成させて人の評価を得ないとわからない部分も多く、また完成させることで少しずつステップを進めることができました。

ということで、「こんな完成度では人に見せるのは恥ずかしい」という気持ちもよくわかりますが、どこかでそれをかなぐり捨てる覚悟が必要になるのではないか…、などと思っています。

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シナリオの書き方を学ぶのにオススメな本

「SAVE THE CATの法則」や「『感情』から書く脚本術」など、おすすめのシナリオ本の紹介記事となります。