Detective game (探偵ゲーム)

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カテゴリー: ジャンル

概要

探偵ゲームとは、プレイヤーが探偵役となり殺人などの事件の真相を突き止るゲーム。推理ゲーム。

考察

探偵ゲームに必要な5つの要素

  • 1. 情報を収集する
  • 2. 嘘を暴く (Expose lies)
  • 3. 関連性を発見する (Find connections)
  • 4. 手がかりを追う (Follow leads)
  • 5. 推理を行う (Make deduction)
  • 6. 犯人を告発する (Make an accusation)

1と4の要素は「フィールドを探索」したり「キャラクターと会話」することで実現できる。そして、2と3、5の要素を実現するために探偵ゲームは「選択肢」を用意した。

探偵ゲームで「選択肢」を使う問題点

選択肢はプレイヤーに選択を迫り、それに対して正解の判定ができる。しかしそれは「あらかじめ用意された選択肢」からもっともらしい答えを選ぶだけに過ぎない。場合によっては当てずっぽうで正解となることもある。

Sherlock Holmesシリーズでは、答えを間違えると「もう一度やってみろ」とやり直しさせられる。そして、プレイヤーの理解や推理を試す行為により、選択肢から答えがバレてしまうこともある。

たくさんの選択肢を用意する

Detective Grimoire では、「絵」と「文章」を組み合わせて論理的な構造を作り、正解の判定を行う。

下記画像では「Boggy’s Bob? Seems like the middle of nowhere… (ボギーズ・ボブ(沼地の名所)? 辺鄙な土地だったような…)」という問いかけに対しての解答を入力する画面。

Detective Grimoire (出典:Steam)

この画像では「That little girl」「is too stupid for」「my beard」「to murder someone」(あの少女はとても愚かなので、私のあごひげが人を殺すことはない)という文章を組み合わせて解答としているもの(もちろん不正解)。

絵のブロックは 「8種類」文章がそれぞれ「4種類」用意にされているので、”8 x 4 x 7 x 4 = 896パターン” の組み合わせがある。このように組み合わせの数を「掛け算」でふくらませると当てずっぽうでは正解できないシステムとなる。

The Trace: Murder Mystery Game では、画面下に用意されているアイコンをスワイプして正解となる推理を提示する。

The Trace: Murder Mystery Game

このアイコンは捜査によって得られた「手がかり」や「見解」をアイコン化したものだ。そして、上記画像では「Who opened the safe, and why? (金庫を開けたのは誰? そしてその動機は?)」という問いかけに対し、

  • The safe was opened by the deceased. (金庫は被害者によって開けられた)
  • Money is missing from the safe. (お金は金庫からなくなっている)
  • The deceased’s holster is empty. (被害者のホルスターは空になっている)

という推理を展開している。(被害者が金庫を開けたスキを狙って、被害者の拳銃を奪って殺害した、という推理)

このシステムは、複数の問いかけに対して、複数の情報を提示する場合に有効と言える。

また逆転裁判では、複数の証言に対して、複数の証拠品で反証する、というシステムを採用しており、これも「掛け算」による組み合わせの複雑化で、ゴリ押しで正解を当てるのを難しくしてる。(さらに体力ゲージがあり失敗するとゲージが失われるため、総当たりを防ぐシステムとなっている)。

Life is Strange でも選択対象が膨大に用意されているため、直感だけで正解するのを不可能としている。

選択肢の「問いかけ」の問題点

選択肢を選ばせるためには「問いかけ」が必要となる。しかし、この問いかけ」によって、問題となっている対象を示したり、解答への誘導が見えてしまう

(例えば、「ツボが凶器でないという証拠は?」という問いかけは、ツボが凶器でないことを示し、その証拠が存在すると誘導してしまっている)

これは、「能動的な調査」をしたいユーザーに訴求しないし、「答えを導き出すまでの過程を押し付けている」ように感じさせることがある。

この問題を解消するには「疑問点」で催促するのではなく、「矛盾」や「関連性」を指摘するツールを与えるだけにするのが良いのかもしれない。

例えば Contradiction: Spot The Liar では、容疑者を尋問して供述を収集する。それらの供述の矛盾点を突き合わせることで新しい証言を引き出す。

供述を突き合わせるには、証拠品から得られた情報を複数選び組み合わせ、それによって推理を組み立てる方法を採用している。

Contradiction: Spot The Liar (出典: Steam)

例えば、「Kate Vine’s Death (ケイト・ヴァインの死)」という証拠品には以下の4つの情報が付随している。

  • Last saw Kate at the Atlas meeting last Friday.
    • (最後にケイトにあったのは先週の金曜日のアトラスだった)
  • Only known Kate for three months.
    • (ケイトは3ヶ月間しか知られていない)
  • Didn’t socialise with Kate outside Atlas.
    • (アトラスの外ではケイトと交流しなかった)
  • Kate often seemed drunk at Atlas.
    • (ケイトはアトラスで酔っ払っているように見えた)

これと別の証拠品、エマがケイトに渡した「Freedom Necklace」には以下の情報が付随している。

  • Thinks Emma had a similar necklace.
    • (エマも同じようなネックレスを持っていたと思う)
  • Kate wore the necklace at college.
    • (ケイトは大学でネックレスを身に着けていた)

このように証拠品とそれに付随する情報を組み合わせて推理するシステムとなっている。また情報に矛盾があれば、どちらかが間違っているかウソの証言であると疑うこととなる。

さらに Contradiction: Spot The Liar の場合、証言を聞きに行く人の順番や尋問する人を「自由」に決めることができる。これは 逆転裁判 が矛盾を指摘する対象や人物が「限定的」になっていたのと比べて遥かに自由度が高い

Paper, Please の2つを組み合わせるシステム

Paper, Please は入国審査官となって、移民や観光客のパスポートなどの書類をチェックして入国の是非を判断するゲーム。

特筆すべきは、2つの書類を比較し偽造を見抜いたり、有効期限が切れているなどを指摘するシステム

組み合わせの数が膨大に存在することで、すべてのパターンを試すというゴリ押しができなくなっている。

持ち物を絞り込むことなく、すべての証拠品の可能性を考えなければならない。

推理を行う (Make deduction)

Discworld Noirでは、犯行現場に書かれていた奇妙な言葉「AZILE」の謎を解く場面がある。この場面では「①AZILE」という言葉と「②被害者は逆さに吊らされていた」という情報の組み合わせで「被害者は逆さ吊りにされた状態でこの文字を書いたのでは?」という推理を導くのが正解となる。つまり「AZILE」の文字を逆さにした「3712V」がダイイングメッセージだ。

ただ問題は、Discworld Noirは情報の組み合わせで答えを導くシステムであるため、当てずっぽうでも正解できてしまうことにある。

得られた情報を組み合わせて推理する (Discworld Noir)

つまり、例え選択肢を膨大に用意しても、結局はそれらの中に「答え」があるため、厳密には推理力をあまり要求しなくなってしまう。なおここで言う「推理力」とは「ある事実をもとにして、別の事実を推測する力」を意味する。

よって問いかけ」も「選択肢」も与えないのが、真の意味で推理力を要求するゲームシステムとなる。

例えば The Shivah では、死んだ男の生前のメールを確認して、怪しい人物に目星をつける。しかしその人物の本名がわからず、やりとりから推測される特徴から職業と所属会社を推測する。そしてその会社のリストからめぼしい人物を見つけ、「検索窓」にその名前を入力する

The Shivah (出典:Steam)

この「推測に推測を結びつけ推理を行う」のが、真の意味で推理を試されていると言える。

  • 1. プレイヤーはゲーム世界から、必要な「情報」を選んで取得する
  • 2. それらの「情報」を頭で記憶したり、メモ帳に書いてまとめる
  • 3. 推測を繰り返して何らかの仮説が得られたら、ゲームでその「推理が正しいかどうか」試す

また Her Story は、ある男の殺人の真相を解き明かすゲームで、得られる情報はすべてその男の妻の事情徴収の動画のみとなっている。

特筆すべきは、動画から得られたキーワードを「検索窓」で入力して調査するシステムを採用している。

  • インタビュー動画は合計 “300本” と膨大な数が存在している
  • 視聴方法は検索する単語を入力する。しかし時系列順で “5本” までしか表示されない
  • 見たい動画にヒットするための検索ワードを見つけなければならない

つまり入力すべき単語をプレイヤーが能動的に推理して考えないと、目的の情報に辿り着けない構造となっている。

Her Story (出典:Steam)

手がかりを追う (Follow leads)

Her Storyの動画検索システムは、真相に近づくための「手がかりを追う」要素も兼ねている。通常の探偵ゲームは、手がかりを得られる「新たな場所」や「目撃者」は、証拠を見つけたり人と会話すると「自動的」に追加されてしまう。しかしHer Storyではプレイヤーがちゃんと考えて行動範囲をアンロックさせる必要がある、としている。

The Blackwell Legacy では、新しい移動先を検索して見つけるというシステムを採用している。

The Blackwell Legacy

Sherlock Holmes Consulting Detective では、膨大な情報量の新聞や動画を見て、手がかりとなる人物や場所を調べることとなる。

Sherlock Holmes Consulting Detective: The Case of the Mummy’s Curse (出典:Steam)

目的の人物を探すには “200” 以上ある項目を調べる必要があり、当てずっぽうでは辿り着けないようになっている。

犯人を告発する (Make an accusation)

真相にたどり着いたら、「あなたが犯人だ」というファイナルアンサーが必要となる。

選択肢の組合せ爆発で理解度を試す

Eagle Eye Mysteries では、得られた記録の中から最も重要と思われる「5つの証言」と「容疑者の経歴」を選ぶ。

容疑を特定できる証言を5つ選ぶ
容疑者の経歴を選ぶ

「選択肢を増やす」で紹介したように「選択肢の掛け算」による組合せ爆発は、当てずっぽうの推理を困難にする効果がある

同様に Return of the Obra Dinn でも、船員の名前や死因を特定するために、膨大な選択肢の組み合わせを用意することで、正解を分かっていなければゲームが進まないようになっている。

Return of the Obra Dinn (出典:Steam)

出来事の理解度を試す

また犯行の理解度をプレイヤーに試させる方法として、起きた出来事を時系列順に並べる方法もある。

例えば The Vanishing of Ethan Carter では、幽霊に殺された順番の番号を割り当てるという方法で理解度を試している。

参考

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