この記事では Horror game (ホラーゲーム) の作り方を解説します。
目次
ゲームの方針を決める
まずはホラーゲームで表現したい怖さを選びます。表現したいものによって適切なフォーマットを選ぶのが作りやすいと思います。
「キャラクター・シナリオ」を中心にする
例えば、“キャラクター” や “シナリオ” に焦点を当てる (シナリオを考えるのが得意な) 場合は、「Visual novel (ノベルゲーム)」が良いです。ノベルゲームの例としては「弟切草」「かまいたちの夜」「ひぐらしのなく頃に」「流行り神」などです。ノベルゲームは長い文章を使って、細かい表現ができるので、人の内面や狂気に至るまでの過程、精神的な葛藤を描くことができます。
「ゲームシステム」で怖さを表現する
“ゲームシステム” で怖さを表現する場合には「探索」型が良いです。例えば「バイオハザード」「クロックタワー」「青鬼」「コープスパーティ」などのマップを移動して探索するタイプのゲームです。こちらはノベルゲームと異なりアクション要素があるので、 Action-adventure game (アクション・アドベンチャーゲーム) と呼ばれるジャンルとなります。
「キャラクター・シナリオ型」か「ゲームシステム型」か?
- “キャラクター” や “シナリオ” に焦点を当てる:ノベルゲーム
- “ゲームシステム” で怖さを表現する:探索型ゲーム
もちろん、どちらかの形式に限定しなければならない…ということはなく、両立も可能です。
例えば、RPGツクールで作られたホラーゲームは基本的に上から見下ろし視点の探索タイプですが、ゲームシステムとキャラクター・シナリオの面白さが両立しているものも多いです。(「青鬼」「Ib」「ゆめにっき」「魔女の家」など)
探索タイプのさらなる細分化
探索型には、プレイヤーを調査して操作する “マップ移動タイプ” と、コマンド選択で移動を行う “コマンド移動タイプ” の2つが考えられます。マップ移動タイプの方が移動の自由度が高く、リアルタイムのアクション要素を付与しやすいです。コマンド移動タイプは選択肢を選ぶことがゲームのコアとなり、また Point-and-click adventure games (ポイントアンドクリックゲーム) と呼ばれる画面をクリックするシステムで探索を行います。この方式は基本的に非リアルタイムとなるためじっくり考えるタイプのゲームとなります。
- マップ移動タイプ:マップの実装コストが高い。アクション要素を付与しやすい
- コマンド移動タイプ:実装コストが比較的低い。ターン性や画面をクリックするゲームになる
マップ移動タイプにはカメラをどう扱うかの問題があります。三人称視点としてカメラを固定するか、一人称視点とするか。
- 三人称視点:わかりやすい操作性
- 一人称視点:迫力がある。没入感が得られやすい
三人称視点は、視界が広くて敵との距離を取りやすいというゲーム性でのメリットがありますが、迫力の面で一人称視点に劣ります。一人称視点(3Dリアルタイムゲームの場合)は没入感を得られやすいメリットがありますが、状況把握が難しいので自分の周りだけミニマップ表示するなど、遊びやすくする工夫が必要になると思います。
一人称視点の良い例として、コマンド移動タイプの類型といえるかもしれませんが「Five Nights at Freddy’s」のように、視点をある程度固定させるのも良いかもしれません。(Five Nights at Freddy’s は基本的に移動はできず、監視カメラの切り替えやどの扉を閉めるのかという視点の切り替えのみ可能としています)
「バイオハザード」は、お化け屋敷のようなアトラクション型で、どこから襲ってくるかわからない敵そのものに怖さを感じることができます。この類型としては「サイレントデバッガーズ」「エネミーゼロ」のような “敵の場所を音で表現する” といったシステムも恐怖を表現するのに有効です。
また、敵と戦うゲームとする場合、回復アイテムや武器の弾薬やセーブ回数が制限され、限られたリソースで “生き延びる” ことを目的とする Survival horror (サバイバルホラー) ゲームとなります。それに対して“敵から逃げる”、または隠れることを目的とする場合は Stealth game (ステルスゲーム) となります。
- 敵を「倒す」ゲーム:敵を倒すためのリソースを制限することでサバイバルホラーゲームとなる
- 敵から「逃げる」ゲーム:敵に見つからないようにするステルス、またはギミックで回避するパズル
この2つの要素はどちらかに絞る必要はなく、例えば「普通の敵は倒せるけれども、強靭な追跡者は倒すことができない」といったように、メカニクスを両立させることも可能です。
ホラーゲームの分類まとめ
ということで、ホラーゲームをざっくりと分類してみました。 Linear progression (リニア進行) と Nonlinear progression (非リニア進行) という分類ですが、ここではマルチエンドのありなしで分類しています。
あえて操作を不自由にする
アクション要素が強いゲームとする場合、操作方法をあえて不自由にすることで、より恐怖を増すことができます。例えば、バイオハザードは主人公キャラをラジコン操作で行います。これは、おそらくカメラを固定させる仕様にした際、画面によって操作方法の混乱を防ぐために採用されたのではないかと思います。
ただ結果として、ラジコン操作は直感的でないため、敵が突然出現したときに焦ってキャラクターをうまく操作できず、プレイヤーをよりパニック状態に陥らせることができました。
また操作性の悪さは、敵の攻撃回避にも影響を与えるので、ギリギリで回避することが難しく、プレイヤーに慎重にプレイさせる効果もあります。
ですが、2Dゲームでのキャラクターをラジコン操作にするのは、一般的にはあり得ないので「移動速度を遅くする」「ダッシュ移動に制限を持たせる」「攻撃開始までの発動フレームが長く存在する」「攻撃の射程範囲を短くする」など、操作キャラクターの機動性能や攻撃性能を控えめにした方が良いと思います。
視界を暗くする
人は暗い場所を怖がります。そこで明かりのない暗い場所を舞台とし視界を狭くすることで、恐怖感を煽ることができます。
できれば、背景をあらかじめ暗くしたり、暗くするフィルターを適用して、明るいライトで照らして探索させるシステムにすると雰囲気が出て良いと思います。ただ暗くしすぎると遊びにくくなるので注意が必要です。
不自由な操作をプレイヤーに許容させるには?
不自由な操作性は、通常のゲームであれば評価を下げる要素です。ホラーゲームだからそういうもの…としても良いですが「キャラ設定」でごまかす方法があります。ホラーにおけるシナリオの傾向として「か弱い人間を主人公にするとよい」というものがあります。屈強な兵士が怪異に怯える姿は想像しにくいですが「子供や女性、気の弱い人間、怪異が苦手な人間」はホラーの主人公向きです。例えばクロックタワー(1995)の主人公は若い女性で、シザーマンから走って逃げるときにたまに何もないところでつまづいて転ぶ、というシステムが用意されており、それにより敵から逃げる緊張感が高まります。
クロックタワーの主人公の女性は、動作が緩慢だったり、突然転んだりと不自由な操作を強いられますが、キャラ性として許容させている1つの例かもしれない…と思って紹介しました。
即死にするか。体力制にするか
プレイヤーのミスによるペナルティをどのように扱うか、という問題があります。
「プレイヤーのミス=即死」にするとゲームに緊張感が生まれます。また、即死ということは回復アイテムも必要ないので、わかりやすいゲームシステムとなります。ただ、即死がシビアと感じるプレイヤーには厳しいゲームとなるかもしれません。
それに対して、体力制にすると、ゲームっぽさが出てしまい没入感が少し失われますが、体力の低下で危機を演出できる効果があります。
どちらが良いかは以下の基準で考えると良いと思います。
- 即死制:敵のバリエーションは少ない。謎解きや怪異のインパクトを重視する
- 体力制:敵のバリエーションが多い。恐ろしい敵と戦って生き延びることが目的の Survival horror (サバイバルホラー)
初見殺しをするかどうか
ホラーゲームは死の恐怖を前面にフィーチャーしたゲームジャンルです。死の恐怖を最も表現できるゲームの要素は『「ゲームオーバーになるかもしれない…」とプレイヤーに思わせる』ことです。
とはいえ「唐突に死亡イベントを発生させていいのか」という問題があります。
例えば、鏡を調べると手が伸びてきて、プレイヤーを殺すイベントが発生するとします。これはプレイヤーをドキっとさせる効果はありますが、突然ゲームオーバーになるのは理不尽です。もしこのようなイベントを作るのであれば事前に「この鏡は危険だ」ということを感じさせる警告を出すべきです。もちろんあからさまに直接的な危険性を示すと恐怖感が出なくなるので「なんとなく危険かも…」という予兆で十分です。
基本的には「初見殺しはよくない」と考えておいた方が間違いありません。ゲームオーバーはプレイヤーが納得できないと、再びプレイさせる動機を奪いかねません。またゲームオーバーはストーリーへの没頭感を失わせるデメリットもあります。そのため、即死でゲームオーバーにするには正当な理由を用意しておく必要があります。その手間を考えると “初見殺し” は限られた場所だけに使った方が良いと思います。
もし初見殺しを多くしたい場合、どこでもセーブできるようにしたり、ゲームオーバー後、素早くリトライで直前に場所に戻れるようするのも1つの方法です。
例えば「クロックタワー(1995)」は初見殺しの即死トラップが多いですが、ゲームオーバーになっても直前からリトライできる仕組みを用意しています。ただ、これはこれで、死亡に対するリスクが減少しているので、死んでもデメリットは少ないと気づいてしまい、恐怖感が減るかもしれません。
シンプルなゲーム性にする
ホラーゲームはシンプルなゲーム性にした方が、恐怖を演出しやすいです。ルールが複雑だと、ゲームに入り込みづらくなってしまうためです。
例えば「青鬼」は “かくれんぼ“、”鬼ごっこ” ですし、「Five Nights at Freddy’s」は、”だるまさんが転んだ” です。
子供のころの遊びはわかりやすい原始的な欲求であり、これをゲームシステムとして採用すると、世界に入りやすく恐怖を感じられるものになりそうです。
一貫性の原則を破る
通常のゲームは一貫したルールを守るのが基本となります。しかしホラーゲームはあえてこのルールを破ることでプレイヤーに驚きを与えることができます。
例えば、動かない石像。
それまで単なる背景オブジェクトと思っていたものが、ゲーム後半で突然動いてプレイヤーを驚かせる、というのもギミックとしては良いです。ただし、それによりプレイヤーを直ちに殺してはいけません。だまし討ちの初見殺しはユーザーを不快にさせるだけだからです。
探索・パズル要素
探索主体のゲームとする場合、プレイヤーに考えさせるためにパズル要素が入ることが多いです。というのも、敵と戦ったり、敵から逃げたりするだけでは、ゲームとして飽きられやすいからです。
暗号や図形パズルなど、ほどよく頭をつかう要素を入れるとゲームにメリハリが生まれます。ただできればストーリーやキャラクターを理解するためのヒントとなるキーワードを答えにしてその謎が存在する必然性を考慮した方が良いです。
謎解きやパズル要素のあるゲームシステムにおけるUIや作り方については、以下の記事が参考になるかもしれません。
脱出ゲームの謎解きUIの考え方・作り方物語の舞台や世界観・ストーリー
ホラーの舞台としては「人里離れた洋館」や「旧校舎」「だれも住んでいない家」「廃病院」「地下室」「廃墟」「誰も利用していない遊園地などのレジャー施設」などの暗くてジメジメした Closed circle (閉鎖空間) がよく使われます。
もともと多くの人々が生活をしていたり訪れていた空間が「無人」であると、なんとも言えない怖さがあります。また多くの人の感情が交差する場所には、何らかの因縁が溜まりやすい、という理由もあります。
負の感情(憎しみ、怒り、恨み、妬み、悲しみなど)をテーマに入れると陰湿なホラーシナリオになります。「家族」がテーマであれば幼児虐待や引きこもり、「職場」や「学校」がテーマであれば悪質ないじめやパワハラによる自殺、弱みを握られ脅され続けた、将来有望なスポーツ選手が事故で身体能力を失って絶望、私利私欲や汚職のために利用されて口封じに殺された、浮気や不倫や失恋……、などなど。悪霊や怪異はそういった負の感情を媒体に発生しやすいとされています。
そういった、いわくつきの空間に迷い込んだ主人公たちが閉じ込められてしまう…というのがよくあるパターンで、あまり日が当たらなくて誰も訪れないような常に薄暗い雰囲気になっていることが多いです。
そして、その場所には何らかの怪異が住んでいて、何らかの理由で主人公たちに執着したり追いかけ回します。その怪異は「不死身」だったり「強大な力」を持っていて、完全に倒すことができません。そのため、主人公たちはその場所から何とかして脱出しようとします。
ホラーの結末の例
ホラーものの結末としてよくあるのが、以下のパターンではないかと思います
- 解決・ハッピーエンド系
- 怪異(怨霊)は無念を晴らし、成仏して消滅した
- 閉鎖空間の存在理由を破壊したため、その場所が崩壊し消滅した
- 怪異は主人公たちと契約を結び、共生する道を選んだ
- 未解決・不穏系
- 怪異を倒して平和が訪れた…ように見えたが実は生き残っていた(身内に取り付いていた、など)
- 怪異を倒して平和が訪れた…ように見えたが背後には巨大な組織が存在し、新たなる実験を進めようとしていた
- 怪異の存在を世間に公表にしようとしたが、証拠は何も残っていなかった
- 主人公たちは呪いから解放されたが、呪いは伝染病のように世界を侵食しつつある…
- バッドエンド・デッドエンド系
- 邪神が復活を遂げてしまい、世界には狂気が溢れと闇が訪れる…
- 主人公は怪異に身体を乗っ取られてしまう。そして新たなる獲物を探してその場所でさまよい続ける…
作りたい話にもよりますが、ホラーの話としておすすめは「未解決・不穏系」です。結末をぼやかしてスッキリさせないことで、モヤモヤした怖さが残ります。
怖いサウンドを使う
怖さの演出としては、サウンドの使い方がとても重要です。
BGMは控えめにして、怖さを表現する不快なSEを使うと、お手軽に怖さを演出できます。またドアの開閉音をリバーブを深めにすると雰囲気が出ます。
メニューなどのシステムSEも怖さを感じる重めのものを使うとよいかと思います。
効果音作成の参考になる本
FLStudioの無料版を使って効果音を作る方法が紹介されており、効果音づくりの基本が学べる本となっています。
また、ホラー系ゲームで必須となる「生音」の効果音の作成法も紹介されていて、とても勉強になります。
リアルな効果音を使う
リアルな効果音の作り方としては生音を使ったり、有償の素材を使うことですが、それをやると結構なお金と時間がかかります。
個人的にコスパが良いと思ったのが、GameSynthという効果音作成ツールです。
モジュラーを組み合わせることで無限に効果音が作れるツールなのですが、プリセットも数多く用意されており、リアルなドアの開閉音や足音が標準で用意されており、とてもホラー向きな効果音作成ツールなのではないかと思います。
ただ定価が結構いいお値段 (4万円近い) なので、夏や冬あたりの行われる半額セールを狙うのが良いかと思います。
既存の物語を借用する
物語や世界観を構築する場合は、空想上の怪物や、怪談、都市伝説などを借用すると恐怖のイメージが作りやすい気がします。
朝里樹先生の都市伝説に関する本はどれもしっかりまとまっていて、特に以下の本は怪異の入門用としておすすめです。
ただ、個人的には事典から入るよりも物語形式でストーリーを楽しみながら分析するのが良いと思っています。
遊べる環境はかなり制限されてしまうのですが、個人的に「日本一ソフトウェア」の「流行り神」シリーズがおすすめです。
■2023.8.8 追記:なんとSwitchに初代流行り神が移植されていました…! 以下のリンクは全部入りの商品ですが、ダウンロード版であれば個別に購入することも可能となっています。
このシリーズでは実在(?)の都市伝説がモチーフにされていて、特に初代流行り神の「さとるくん」「カシマレイコ」の話の怖さはなかなかだと思っています。またこのシリーズはゲーム中に「都市伝説のデータベース」みたいなものが見られてとてもためになります。
最新シリーズの「真・流行り神1」は都市伝説の怖さやキャラクターの良さが感じられないゲームなので、あまりおすすめできません。ただ「真・流行り神2」以降は、初代「流行り神」を彷彿させる怖さや、味のあるキャラクターなど、とても良い内容だったのでおすすめです。
もしくは小学生女子向けのホラーですが「ミラクルきょうふ!」。子供向けということもあってシンプルな物語構造となっているため、分類・分析しやすいと思います。
実写画像をホラー素材として使う
実写画像は明度を下げて、色相を青に近づけると、怖い画像になります。
左が加工前で、右が加工後です。本来なら暗くするのであれば照明を消した画像を用意した方が良いですが、細かいことを気にしない場合は、こういった加工もありではないかと思います。
Photoshopのニューラルフィルターで加工する
Photoshopを使う前提となりますが、ニューラルフィルターで加工するとホラーっぽいリアルな絵、配色に加工しやすいのでオススメです。
ホラーゲームを作るのに参考になる記事
名作フリーゲーム制作者が考える「ゲームの作り方」のコツとは? 小麦畑主宰 oumi氏インタビュー
探索型ホラーゲームを作られている方のインタビュー記事です。ホラーに限らずゲーム製作に役立つ話があってとても勉強になります。例えば、マップには物語性を持たせた方が説得力のあるマップが作れる、といった話をされています。
ホラーゲーム制作のノウハウをシェアしよう!
「青鬼2016」に関わった方のホラーゲームの考察がとても参考になります。ルールをシンプルにすること、アイテムの使い方に頭を使う、死んだキャラがそのまま生き返るのはNG、など。
複数のアイテムを組み合わせる
別の場所から見ると使うことができる
一つのアイテムに複数の効果や使い道がある
意外な場面でアイテムが役に立つ、もしくはアイテムを入手できる
怖いホラーゲームとは ~恐怖でアクセス数増加大作戦~
簡単にホラーゲームを作る方法について考察された記事がまとめられています。「怖いBGM」と「怖い顔が迫ってくる」という2つのポイントにより怖いゲームが作れる、という仮定を元に作った「エレベーターの呪い」は確かに怖かったです。
怖さの本質は「怪奇現象が起こりそうだけれど、それがいつ起こるかわからない」という状態が続き、意外なタイミングで怪奇現象が起こった時に恐怖を感じる、としています。
[GDC 2019]解像度192×160ドットのレトロ調ホラーゲーム「FAITH」はなぜ恐いのか。開発者が語るセッションをレポート
こちらの記事では、低解像度、単色といったチープなグラフィックが逆に想像力を掻き立てられ「未知のものに対する怖さ」の演出に向いている、ということを主張しています。
あと、「ロトスコープ」という表現方法も、手軽に怖い映像が作れてとても良いと思いました。
もう1つ,アニメーション手法の1つ「ロトスコープ」を取り入れたこともポイントであるという。ようは写真や動画をPCに取り込み,画像編集ソフトを使って15fpsで動く手書き風のアニメーションを作ったというわけだ。
トレイラー動画にも出てきたが,このアニメーションシーンは低解像度で色数も少ないグラフィックスによって,実に気持ち悪いものに仕上がっている。
ちなみに,アニメーションのもとになった実写の動画は,Smith氏自身がモデルとなって作ったものとのこと。いかにもインディーズゲームらしい手作り感といったところか。
[GDC 2019]解像度192×160ドットのレトロ調ホラーゲーム「FAITH」はなぜ恐いのか。開発者が語るセッションをレポート
外遊び・集団遊び 57種類まとめ
子供の遊びがまとまっています。ここからホラー向きのゲームシステムを考えてみるのも良いかもしれません。
特に「鬼ごっこ」遊びはゲームに使いやすいと思います。個人的には、影ふみ、ひょうたん鬼、靴取り、魚捕りはよいゲームシステムだと思いました。
参考になるホラーゲーム
入手困難なものも含まれていますが、おすすめのホラーゲームを一通り紹介します。
都市伝説やクトゥルフ神話などをベースに、グロテスク&エロティックなホラー作品となっています。もともとダンジョンRPGゲームにするつもりだったらしく、3DダンジョンRPGっぽい探索パートやゲーム性も面白いです。
死印の開発・販売元である「EXPERIENCE」は最近ホラーを主力製品にしようとしているのか、他にもホラー作品を発売していて、こちらもおすすめです。
これは怪奇現象を調査するゲームです。
都市伝説のデータベースがあったり、都市伝説をモチーフにした話が満載で、都市伝説を知るためにはとてもよいゲームだと思います。
また登場人物の相関関係を推理するパートは、パズルっぽい推理が楽しめて推理ゲームが好きな人にもおすすめです。
真・流行り神は「1」は今ひとつですが、「2」以降はとても良い内容なのでおすすめです。
説明不要な気がしますが、サウンドノベルの黎明期を支えた名作ゲームです。選択肢によりストーリー展開が大きく変わり、なおかつ本格ミステリーの推理要素と連続惨殺事件の恐怖とのバランスがとても良くできたゲームです。
ランダムで謎やストーリーが変化するという少し変わった探索ホラーゲームです。選んだ行動によってストーリーの結末が変化するマルチシナリオも当時としては斬新だったように思います。
現在プレイは困難なゲームですが、シザーマンの恐怖をぜひとも味わってほしい……。PlayStationの実機か、PS Vita (PSアーカイブ) などで遊ぶことができます。
少し変わり種のホラーゲームとして「ドキドキ文芸部!」を紹介しておきます。
見た目は恋愛ビジュアルノベルゲームで、ホラーと評価することはややネタバレとなりますが、人の心の内面に迫る描写やシチュエーションには、精神的なダメージを与えられ背筋が凍りました。
ジャンルとしては、 Psychological horror game (サイコホラーゲーム) と呼ばれるもので、精神的・心理的なダメージを与えてくるホラーゲームです。 Dating sim (恋愛ゲーム) の要素があったりショッキングなシーンも多いので、人を選ぶ内容ですが、少し変わったホラーを体験してみたい方にはとても参考になるかと思います。
参考になる映画
あまりホラー映画には詳しくないですが、個人的に参考になった映画を紹介します。
悪魔のいけにえ (1974)
サイコな殺人鬼を登場させるなら、殺人鬼「レザーフェイス」はとても参考になると思います。不気味なお面をつけてチェーンソーを振り回す姿はまさに狂気の殺人鬼! レザーフェイスは人間を殺すことに全く躊躇がなく、殺した後も、まるで魚を食料にするかのように、鉄のフックに吊るしたり、冷蔵庫に保管していたりします。
特に、狂気を感じさせる「ディナーシーン」はすごく秀逸ですので、イカれた殺人鬼を出すのであれば、一度は見ておいた方が良いのかなと思います
エクソシスト (1973)
こちらは悪魔に侵食される少女を描いたホラー作品です。悪魔に身体を乗っ取られることで「スパイダーウォーク」で階段を降りるシーン、「首が180度回転」するシーンなど、とにかくインパクトのあるホラー映像が観られるのが特徴です。
少しずつ精神を侵食される描写は、スプラッタホラーとはまた違った、精神的にゾクゾクくる独特なホラー感が得られますね。
シャイニング (1980)
個人的にあまり怖さは感じなかったのですが、スタンリー・キューブリック監督の独特の解釈によるホラー表現は、一度観ることをおすすめしたいです。
原作ではヒューマンドラマ的なストーリーでしたが、映画ではそういったものを排除して、ひたすら狂った男から逃げまとう奥さんとその子供、という得体のしれない怖さを描いていた印象です。
有名な「Here’s Johnny!」のシーン、とシンメトリー構図で描かれる「双子の少女のシーン」は今見ても異様な不気味さを持っているので、これだけでも見てもらいたいですね…!
リング
Jホラーの金字塔ともいえる「リング」。映画の内容は知らなくても、呪いのビデオを再生するとテレビから出てくる「貞子」を知っている人は多いのではないかと思います。
ややネタバレですが、実は貞子が人間を襲っているシーンを明確に描写しているのは、最後あたりのシーンとなるのですよね…。そこまでは、噂や伝聞だけで貞子の怖さを表現していて、そのあたりの構成も素晴らしいと思います。
海外のスプラッター的なホラーではなく、得体のしれない身に迫るような恐怖を描きたい人には参考になるかも知れません。
キャビン
小さな山小屋の入り口は、世界の破滅につながっていた
ー 夏休みに山奥へとバカンスに出かけた大学生5人。古ぼけた山小屋の地下で見つけた謎の日記を読んだとき、何者かが目覚め、一人、また一人と殺されていく。しかしその裏には、彼らが「定番のシナリオ通り」死んでいくよう、全てをコントロールしている謎の組織があった。その組織の目的は?若者たちの運命は?
その先には、世界を揺るがす秘密が隠されていた。
Amazon Prime > キャビン(吹替版)
この映画がなぜオススメなのかというと「ホラー映画におけるテンプレ要素が満載」だからとなります。
まず、あらすじでわかるように「山奥の山荘に男女が閉じ込められる」という設定が古典的なテンプレです。
それ以外にもテンプレとなる要素がてんこ盛りで、ホラーを作る参考資料として、とても良いと思いましたので、紹介をしました。
そういったテンプレに対するオマージュがあり、それでいてテンプレを覆すような展開がありホラー映画としても普通に楽しめます。
ただ、後半がややグロいので、グロいのが苦手な人は少し注意です。
面白いB級ホラー映画が分かる本
ホラー映画を6年かけて「2000本」以上観た著者による、優れたB級ホラー映画365本のガイドです。(意図的に駄作ホラーも12本含まれています)。
アジアンホラー(日本、韓国、タイなどのホラー映画)から、スラッシャー映画、モンスターホラー、ヴァンパイア映画、ゾンビ映画など幅広いホラーを紹介されていて、ホラーの本質を理解するのに役立つと思います。
参考になる動画
【Jホラーの作り方】怖い幽霊はこう描け!「女優霊」「リング」の脚本家・高橋洋先生が教えます
- https://www.youtube.com/watch?v=_DFnrMLy5tY
「リング」の脚本家の方による恐怖映画の作り方を解説する動画です
幽霊は何をしたら一番怖いか。襲ってくるのは怖くない。それはアクション映画だ。
結論として、幽霊は何もせずに、ボーと立っているだけが一番怖いという結論が出た。
その発想のヒントとなったのが「心霊写真」「稲川淳二さんの怪談」。
怖い幽霊を表現する方法
1. 顔をはっきり見せない(もしくは顔をぼんやり見せる)
2. 顔を人間に見えないように見せる(瞬きしない、まつげをすべて抜く)
3. 人間が立てない場所に幽霊を出現させる
4. 身体の部位を不自然な配置にする(首の位置を普通の人間より低く、高くするなど)
怖い演出表現
1. 幽霊主観の表現を入れない(幽霊を理解できないものにする)
2. 悲鳴をあげない(わかりやすい演技は観客を安心させてしまう)
3. 不穏な存在をチラ見させてはっきり見せない。意図的に隠す
【Jホラーの作り方】怖い幽霊はこう描け!「女優霊」「リング」の脚本家・高橋洋先生が教えます
ホラー系 YouTubeチャンネル
最近は YouTube で怖い怪談を聞いたり、テレビ番組のような心霊スポット巡りを見れるので、すごく参考になります
- 雨穴 – YouTube:謎の覆面作家「雨穴」氏によるちょっとした違和感がホラーにつながる絶妙な構成が素晴らしい動画をアップロードしています。おすすめは「【不動産ミステリー】変な家」
- 島田秀平のお怪談巡り:ホラーゲームとは異なりますが実話系怪談が好きな人におすすめです
- ヤミツキテレビ:怪談朗読チャンネルで、有名な怪談や効果音の演出がとても良く「創作系ホラー」なので、ホラーゲームを作るときの参考としてかなりおすすめです
- ゾゾゾ:心霊スポットを巡るチャンネルですが、番組の構成が絶妙でホラーゲーム作りの参考になります
- デニスの怖いYouTube:こちらも心霊スポットを巡るチャンネルです
関連記事
ホラー要素を作るときの考え方について、参考になる本を見つけたので、個人的にまとめた記事を書きました
「恐怖の哲学 ホラーで人間を読む」に学ぶホラーの作り方