カジュアルゲームとして人気がある Tile-matching game (タイルマッチングゲーム) の歴史と特徴的なシステムについてまとめてみました。
目次
タイルマッチングゲームとは
A tile-matching video game is a type of puzzle video game where the player manipulates tiles in order to make them disappear according to a matching criterion. In many tile-matching games, that criterion is to place a given number of tiles of the same type so that they adjoin each other. That number is often three, and these games are called match-three games.
タイル マッチング ビデオ ゲームは、パズル ビデオ ゲームの一種で、プレイヤーがタイルを操作して一致基準に従ってタイルを消していきます。 多くのタイル マッチング ゲームでは、その基準は、同じ種類のタイルを指定された数だけ並べて配置することです。 多くの場合、その数は “3” であり、これらのゲームは “マッチ3ゲーム” と呼ばれます。
WIKIPEDIA – Tile-matching video game
タイルマッチングゲームというのは Puzzle game (パズルゲーム) の一種で、タイルを操作して、一定の「消去ルール」を満たすとタイルが消える……というコアメカニクスを採用しているゲームです。
多くの場合に消去ルールは、「同じ種類」のタイルを「一定の数」揃えて配置するルールが採用されています。そして多くの場合、その数は “3” であり、3つで消えるルールが採用されているゲームを Match-three game (マッチ3ゲーム) と呼びます。
このジャンルをメジャーにしたゲーム「テトリス」「コラムス」「ぷよぷよ」などでタイルが重力で落下していたことから「落ちものパズル」「落ちゲー」とも呼ばれます。
歴史
第一世代
タイルマッチングゲームの由来として、古くはアナログゲームの「麻雀ソリティア」「ソリティアカードゲーム」があります。これらのゲームは「タイルの重なり」「周囲に存在する」などが消去ルールの制約になっていて、その制約を取り除くというゲーム性により成立しています。
例えばソリティアの一種である「クロンダイク」では、「場札」のカードの重なり合う部分は取り除くことができず、手前にあるカードのうちA〜Kまでの昇順という制約で「組札」へ移動することができます。
ソリティアの話が出たところで、タイルマッチングゲームから少し離れてしまいますが、おすすめなソリティアについて書いておきます。(今回の記事に直接関係ないので非表示にしています)
個人的におすすめなソリティアが「シェフィ」「オニリム」ですね。
シェフィは「羊の数を 1000匹」に増やすことを目的としたゲームです。「イベントカード」と呼ばれるカードで、羊を増やしたり減ってしまったりするのですが、カードの組み合わせにより羊の数を大きく増やせる「コンボ」を探すのが楽しくて、何度もプレイしましたね。
オニリムは少しお高めなゲームですが、カードの雰囲気が幻想的で美しく、とても気に入っているソリティアです。
ルールとしては「悪夢カード」でカードを捨てられてしまうのがとてもシビアなのですが、うまく悪夢カードを回避できる方法を見つけられると、このゲームの目的である「悪夢から逃げ出す」という達成感と満足感が得られるゲームデザインが素晴らしいと思います。
それ以外のソリティアは、こちらのページが参考になりそうです
デジタルゲームでのタイルマッチングの始まりは、森辺訓章氏の開発した「CHAIN SHOT! (1985)」(後に “さめがめ” (1992) )が始まりと言われています。
さめがめのルールは以下の通りです。
・プレイヤーが選んだ駒に接する同じ種類の駒は、同時に消える。(逆に言えば、同じ種類の駒が接していない、孤立した駒は消すことができない)
・同時に消える駒が多ければ多いほど、得点が大きくなる。
・消えた駒の上にあった駒は、下に落ちてくる。
・縦一列の駒が消えると、その右隣の列の駒は、左に移動する。
・消せる駒がなくなった時点でゲーム終了となる。
Wikipedia – さめがめ
細かいルールが多いですが、重要な部分としては「2つ以上の同じ色が隣接しているタイルが消去できる」「1つも隣接していないタイルは消せない」というゲームメカニクスです。
そして、さめがめの大きな発明は「タイルが重力で落下する」というルールを採用したことにあるように思います。
タイルマッチングゲームの発展に大きく貢献したのが「テトリス」です。
テトリス (1984) は、テトリミノと呼ばれる4つの正方形を組み合わせたブロックを落下させて、タイルが1列すき間なく埋まると消去されるルールを採用しました。(ビデオゲームでのテトリスの発展はセガ版テトリス (1989) の影響が大きい)
他にも「ブロックを移動・回転できる」「画面上部までブロックが積み上がるとゲームオーバー」などの発明が生まれ、さらにゲームボーイで発売されたテトリス (1989) は、「対戦モード」を採用し、消去したライン数に対応するブロックを互いに送りあうシステムが採用されました。
まとめると以下のテトリスは以下の発明をしています
- ブロックを「移動・回転」する操作をできるようにした
- 「画面上部までブロックが積み上がる」ことでゲームオーバーというルールを採用した
- “対戦モード” では「消去したライン数に対応するブロックをお互いに送り合うシステム」が実装された
コラムス (1990) や Dr. MARIO (1990) では、3つ以上同じ色を並べることでタイルが消去できるルールが採用されます。このルールが後の世代の「 Match-three game (マッチ3ゲーム) 」につながります。
また、消去したタイルの上に落下先の消去条件を満たすタイルを配置することで、一度の消去で連続してタイルをまとめて消すこと(連鎖消し)が可能となり、それを評価するシステムが生まれました。
第二世代 (1992〜)
第一世代で生まれた「対戦」要素(お互いにブロックを送り合う)と、「連鎖消し」が組み合わされたゲーム「ぷよぷよ (1991)」「ばくばくアニマル (1995)」「スーパーパズルファイターII X (1996)」などが誕生し、対戦ゲームのジャンルとしての人気が広がり、いわゆる「落ちものパズル」というジャンルを確立します。
特に「ぷよぷよ通」では、相手が送り込んだブロックを自分の連鎖で打ち消すことができる「相殺」システムが実装され、連鎖するタイミングが重要となる駆け引きが生まれます。
パズルボブル (1994) では、プレイヤーは画面下部に配置された砲台から球を発射する。ビリヤード的な反射を利用し、うまく同じ色を3つつなげると消去できるルールを採用。一定ターンが経過すると天井が下に迫り、画面下のラインを超えるとゲームオーバーとなります。
おはじきパズルである「パズループ (1998)」もこの方式に近いルールと言えます。
この「ビリヤードパズル」は「落ちものパズル」と比較してメジャーではありませんが、根強いファンを持つジャンルでもあります。
ヨッシーのクッキー (1992)では「タイルをスライド」するルールが採用されました。
またパネルでポン (1995)では「左右のタイルを交換する」ルールを採用し。さらに消去・連鎖中でもカーソルの移動やタイル交換ができる「アクティブ連鎖」が発明されます。アクティブ連鎖は、タイルマッチングゲームのアクション性をさらに強く推し進めたと言えるかもしれません。
第三世代 (2001〜)
この時期から、グリッド上のタイルの色を3つ揃えることで消去可能な Match-three game (マッチ3ゲーム) というジャンルが明確に定義されるようになります。
Bejeweled (2001) をマッチ3ゲームの元祖として、「ズーキーパー (2002)」や「JEWEL QUEST (2004)」などが誕生しました。
これらのゲームの誕生はPCのブラウザから無料で遊べる「ブラウザゲーム」「Flashゲーム」として、よりカジュアルなユーザーを取り込んでいきます。
マッチ3ゲームでの変化としては、「パネルでポン」のタイル交換システムに加えて、消したタイルの数だけタイルが自動で降る、というシステムに変化しています。
第四世代 (2007〜)
「パズルクエスト〜アガリアの騎士〜 (2007)」 は RPG (Role-playing game) とタイルマッチングを組み合わせたゲームです。多くのタイルを消すことで、敵にダメージを与え、敵を倒すことで XP を得ることができます。成長により新しい呪文を覚えてより有利にゲームを進めることが可能となります。
一筆書き+ローグライク
「Dungeon Raid (2009)」はタイルの消去判定に「一筆書きできるかどうか」というルールを採用した Roguelike (ローグライクゲーム) です。敵タイルとして「ドクロ」が出現し、これを倒すには剣のタイルが必要となる。そしてドクロを倒すことでレベルアップするゲームシステムとなっています。
そして、この「Dungeon Raid」の影響を受けたソーシャルゲーム「パズル&ドラゴンズ (2012)」が登場しています。
ゲーム物理の導入
「ツムツム (2013)」(正式名称: “LINE:ディズニー ツムツム“) では、「一筆書き消し」の要素に「ゲーム物理 (球体の落下や衝突)」を導入することで、より動的なパズルへと変化しました。
こちらは物理的な挙動を使用していることから、 Physics puzzle game (物理パズルゲーム) に近い印象です。
第五世代 (2014〜)
「Threes! (2014)」 は「タイルをスライド」して、「ルールに従ってタイルを合体」させるゲームシステムを生み出しました。
「Threes!」の登場直後にクローンゲームとして「2048 (2014)」が登場。こちらは「“2の倍数” の同じ数字のタイルを合体」させるゲームとなり、Threes! とややルールが異なります。ただ、タイルが2の倍数のみなので、Threes! よりもルールがシンプルでわかりやすく、個人的な印象としては、このルールの派生ゲームが広がっている印象です(このルールを採用した Physics puzzle game (物理パズルゲーム) など)
第六世代
「テトリス99 (2019)」では「99人同時対戦」を行い消去ブロックに応じて任意の相手にブロックを送り込む。そして最後の1人になるまで生き延びると勝利する「バトルロワイヤル」の要素を発明しました。
その他
その他、歴史的には大きな影響はないものの、個人的に気になった要素をまとめていきます。
消去ルール
タイルマッチングゲームで重要なのは、コア要素となるタイルの「消去ルール」ですね。紹介できなかったルールをリストアップしていきます。
- 四角形になると消える:「クォース」「ルミネス」
- 連結させて直線になると消える:「ゴルビーのパイプライン大作戦」「GUNPEY」
- 囲むと消える:「クレオパトラフォーチュン (宝石とミイラをブロックで囲むと消える)」
- 起爆ブロックをつなげる:「スーパーパズルファイターIIX」「くるりんPA!」
- 特定位置までブロックを移動:「メテオス (同色ブロックを連結させると浮力が発生して一番上まで持ち上げる)」
操作対象
- キャラクターを操作する:「ワリオの森」「ミスタードリラー」