ゲームアイデア発想法

ここではゲームアイデアの発想法について紹介します。

アイデアとは、以下の5つの過程で得られるものです。

  • 1. 情報収集
  • 2. 情報の咀嚼・抽象化
  • 3. 情報の組み合わせ
  • 4. アイデアを閃く
  • 5. アイデアの実現・フィードバック

この記事ではこれらの過程について詳しく解説します。

情報収集

まずは情報収集です。ゲーム雑誌やネットなどを活用するのがいいと思います。

  • Wikipediaを活用する
  • YouTubeを活用する
  • ゲーム雑誌、ゲームのまとめ記事を活用する
  • ジャンル別にまとめる
  • 昔遊んだゲームを思い出す

コツは、好き嫌いせずにどんな情報でも関連するものは集める、です。

例えばゲームに詳しい人にとって、 Hyper-Casual game (ハイパーカジュアルゲーム) はなんとなく注目されていないゲームジャンルと考えています。やはりゲーマーにとってゲームとは FPS (First person shooter)Survival game (サバイバルゲーム)Metroidvania (メトロイドヴァニア) など、複雑な要素を持つゲームがどうしても注目されがちだからです。ですが、ハイパーカジュアルゲームは今や 約265億円 の市場 (2021年時点) に育っていて、世界中の人が遊ぶゲームとなっています。薄いと思われるゲーム性も「誰にでもわかるようにしている」「シンプルなゲーム性に特化している」など、たとえこういったゲームを作らなくても、どういう工夫をして開発しているのか、どうやって売り出しているのか、といったことを知ることは勉強になるのではないかと思います。

ハイパーカジュアルゲームについては以下の記事でまとめました。

ハイパーカジュアルゲームの作り方 ハイパーカジュアルゲームの作り方

他にも例えば Action game (アクションゲーム) を作る人は、テキストを読むことが中心となる Visual novel (ノベルゲーム) に興味を持たない傾向がありますが、それはもったいないと思います。というのも、ノベルゲームは、選択肢に重みを持たせたり、時間軸を使った遊びキャラクターの魅力を引き出したり、色々な発展を見せているジャンルです。

ということで、たとえ興味のないジャンルであったとしても、そういった深いところまで理解すると、新しい発想が生まれるかもしれません。

例えばYouTubeで「自分が興味ないジャンルだけれど、人気のあるジャンル」の動画を見て「何が原因で人気なのか」を考えてみたり、本屋や図書館をぶらぶらと歩いてみて「読んだことないジャンルの本」を読んでみるのも良いかもしれません。

それと個人的にゲームに関する用語集をまとめていたりするので、興味がある方は以下のリンクをたどってみても良いかと思います。

ゲーム用語集 ゲーム用語集

情報の咀嚼・抽象化

次に集めた情報を分析します。例えば、

  • 何が面白いのかを分析する
  • 要素の分解・細分化・抽象化をする
  • 思想を理解する
  • 手法(ゲームシステム)ではなく「目指しているもの」を見つけ出す
  • ルーツ(元になったゲーム)を探す

ということをします。これにより情報に対する理解が深まります。

なぜこのようなことをするのかというと、集めた情報をそのまま使ってしまうとパクリになってしまうからです。個人的にはゲーム制作になれていない間はパクリでも良いと考えています(もちろん著作権上やモラルに反しない範囲で)。

ただ、やはりパクリはオリジナルを超えることはできません。パクリでもそれなりの評価は得られますが、それは元のゲームの持っていた力であって、そうではなくやはり自分の力で作ったゲームで評価されたいものです。オリジナルを作るには元ネタについて理解し自分だけの解釈を持つことが大切となります。

情報の理解には「ルーツを探る」のがおすすめです。例えば、 Metroidvania (メトロイドヴァニア) を作るのであれば、本家「メトロイド」と「キャッスルヴァニア」を研究するのはもちろんのこと、初代からの進化の歴史を分析するのも良いと思います。その上で現代的なメトロイドヴァニア派生の様々なゲーム(Hollow KnightOriENDER LILIESなど)がどのような構成や狙いになっているのかを調べます。また最近のメトロイドヴァニアは Souls-like (ソウルライク) の要素を取り入れるのがトレンドとなっているので、関連するジャンルを調べてみることで作れるゲームの幅が広がるのではないかと思います。

また Fighting game (格闘ゲーム) を作るのであれば、ジャンルの始祖である「ストリートファイターⅡ」について知っておくと理解が深まります。さらにその元である「ファイナルファイト」を調べます。そしてさらにベルトアクションの元祖である「熱血硬派くにおくん」や「ダブルドラゴン」を調べてみてもいいかもしれません。さらに深堀りして「アーバンチャンピオン」「ケルナグール」などを調べるのもいいと思います。

もう1つは、ゲームシステムの理解だけでなく、開発者の思想を知ることも理解を深める手がかりとなります。

昔はこういった資料を見つけるのが大変でしたが、今の時代ならそれなりに売れたゲームであればインタビュー記事や開発者向けの講演など様々な資料が見つかることが多いので、自分の好きなゲームがどういった思想で作られているかを調べることも大切ではないかと思います。

以下、インディーゲームに関するインタビュー記事のリンクです。

情報の組み合わせ

情報が揃ったら、それらを組み合わせて何か新しい遊ぶが生まれないか考えます。

漠然と考えるのもいいですが、ツールや手法を試してみるのもいいかと思います。

ここでは、

  • マインドマップ
  • マンダラート
  • アイデアマラソン

という方法を紹介したいと思います。

マインドマップ

マインドマップとはアイデアをツリー上に広げていく手法です。

これは「FreeMind」というツールを使って作成しました。

無料で使えるツールなので、試しに使ってみるのもいいと思います。

FreeMind以外のマインドマップツール

このツールのいいところは、アイデアのつながりをイメージで確認できるところです。そこからどんどんアイデアが広がります。

マンダラート

マンダラートとは、放射状にアイデアを膨らませていく方法です。

例えば、STG とは何か? ということを主題にまとめてみました。

3×3の格子状の中心に主題を置き、それに関連する情報を書き出す方法でExcelなんかを使うとやりやすいと思います。→「目標達成用紙テンプレート

完全に余談ですが、現在メジャーリーグで活躍中の大谷翔平選手が高校生時代の目標管理としてマンダラートを使っていたようです。

出典:スポーツニッポン

ということで目標管理にもマンダラートは使えそうです。

それはさておきマンダラートについてです。マインドマップに似ていますが、3x3の格子を使うというのがポイントです。これを全て埋めるというのが、やってみると分かるのですが結構大変です。

この全て埋める、という作業が自分の中に埋もれている新しいアイデアを引き出す効果がある、というわけです

アイデアマラソン

アイデアマラソンとは、毎日アイデアを考える、というものです。アイデアを組み合わせる力は、ある日突然身に付く、というようなものではなく、少しずつ養われるものだと思います。そういった力をつけるためにもアイデアマラソンはいいトレーニングになるのではないかと思っています。

例えば私は、毎日1つゲームのアイデアを出す、ということを1年ほど続けています。

まあ、このアイデアが実現するかというとそうでもないのですが、いざアイデアが必要となったときに、あらかじめトレーニングしておくと対処がしやすいのかもしれないと思うわけです。

アイデアを閃く

アイデアの閃きはいつ得られるのかというと、確実に言えるのはパソコンの前に座ってウンウン唸っているときではないのは確かです。

私の場合だと、電車の中や歩いているときなど、移動中で色々な情報が入り込んでくるときが多いようです。

そのほかには、友だちが変な遊びをしているときとかですね。

ゲームとは関係がない所で、突然「お、これを組み合わせたら面白いかも!」と思いつくわけです。

人によっては、音楽を聴いているときとか、お風呂でリラックスしているときとか色々なケースがあるようです。

Shoot ‘em up (2Dシューティングゲーム) の知識をベースに、面白いレースゲームのアイデアを思いつく人もいるようです。

―――本作のことを聞く前に、『バーンアウト(以下BO)』について聞きたいんですけど、そもそも『BO』はどうやって生まれてきたんですか?

いい質問だね! 僕のとても好きなシューティングゲームに『斑鳩 IKARUGA』というのがあるんだけど、知っているかな?

―――聞いたことあるような、ないような……。

知らないなんて、ゲーム業界の恥だよ! もう僕、帰らせてもらおうかな。

―――ごめんなさい、勉強不足でした。帰らないでください(汗)。

しかたないなぁ……。『IKARUGA』の面白いところは、弾に当たるっていう普通はネガティブなポイントを、ポジティブな要素にしてあるところ。僕はこの発想がすごく気に入って、レースゲームにも応用できないかと考え始めたんだ。クラッシュという良くないことを、楽しくするにはどうすればいいか。そして考え出した答えが『BO』だったんだよ

http://www.japan.ea.com/bor/interview/alex-cd.html

アイデアの実現・フィードバック

最後にアイデアを形にします。

ですが、大抵の場合、このフェーズで脱落してしまうことが多いです。というのは、

ゲームの形に落とし込むには時間がかかる

アイデアはそのままでは使い物にならず、ゲームのフォーマットに落とし込まないいけない。そのためにはどれが適切なのか組み合わせを試行錯誤する必要があり、とても時間がかかる

長い間悩んでいると「本当にこのアイデアは面白いのだろうか?」と思い始める

面白い形に落とし込めないのは「アイデアが悪いからだ」と考え不安になる

そしてアイデアを放棄して、別のアイデアを試す

行き詰まりを感じて、別のアイデアを1から考え直すことになる

芽の出ないアイデアを放棄することは悪いことではありません。むしろ別のアイデアを考えることでシンプルに解決できることがあるからです。また別のアイデアを考えている間に、前に思いついたアイデアの別の使い方が見つかる可能性もあります。

といった流れで、そのアイデアを実現できなくても、また1から考え直してはアイデアを煮詰めて……ということを繰り返すことで、いつかはアイデアを実現できるようなゲームが見つけられます。

後は作るのみ……!

……ということで無事、形にしたら、フィードバックを得ます。

フィードバックとは、

  • そのゲームをプレイして、感想をもらう
  • 感想をもとによりゲームを良いものにする

です。

アイデアを実現化したら完成ではなく、そのアイデアが本当に面白いのかどうかを検証する必要があります。

「表現したい面白さ」が作れたら、作ったゲームを友達にプレイしてもらいます。その時の感想をもらうときのコツとしては「遊んだ人が得てほしい感情」を明確にして、「それが得られたかどうか」を質問することです。

例えば、「簡単操作で爽快なアクションゲーム」であれば、「システムをすんなり理解できたかどうか」「ゲームを進めていく上での緊張感とそれを押しのける爽快感はあったか?」などの質問をします。

また「泣けるシナリオのゲーム」を目指しているのであれば、ゲームシナリオ内に泣けるポイントがいくつか配置されているはずです。その部分に対して「心に響くものはあった?」とか、「○○と××が対峙して気持ちをぶつけ合うシーンはどうだった?」みたいに具体的なポイントと得られた感情の揺らぎについて聞いてみるのが良いかもしれません。

その結果、わかりにくい部分や少しの調整で直せそうであれば修正をします。あまり反応が良くなければ、あまりそれにこだわらず次の作品に進んでしまうのも1つの方法かと思います。

参考にした本

この記事は、「アイデアのつくり方」という本を参考に書きました。

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