ハイパーカジュアルゲームの作り方

・誰も教えてくれないハイパーカジュアルの始め方 – ハイパーカジュアルゲームナイト

誰も教えてくれないハイパーカジュアルの始め方 – ハイパーカジュアルゲームナイト

という動画を参考に、Hyper-Casual Game (ハイパーカジュアルゲーム) について調べました。

ハイパーカジュアルゲームとは何か?

ハイパーカジュアルゲームとは、ゲームに不慣れな人でも気軽に楽しめる「カジュアルゲーム」をさらに突き詰めたゲームジャンルとなります。

ハイパーカジュアルゲームの特徴

こちらの記事によるとハイパーカジュアルゲームには以下の特徴があるとされています。

  • ユニバーサルデザイン:国籍問わず楽しめるデザイン。特定の国(言語)でしか理解されない要素がない
  • 広告による集客と収益:無料で遊べるゲーム。課金要素はない

ハイパーカジュアルゲームの作成過程

ハイパーカジュアルゲームは短期間のスピード開発で勝負するゲームです。

出典:誰も教えてくれないハイパーカジュアルの始め方 – ハイパーカジュアルゲームナイト
1〜2週間でプロトタイプを作る

ゲームの面白さを最低限理解できるクオリティでゲームをひとまず完成させる

少数のユーザーへインストール広告を配信

プロトタイプを配信してユーザーの反応を見る

見込みがあれば本開発に移り完成を目指す

1〜2ヶ月かけて、見た目のクオリティを上げたり、操作のわかりやすさやゲームのテンポなどを向上させる

インストール広告を全世界に展開してユーザーを流入

本リリースを行って、全世界の反応を見る

ただ、多くのハイパーカジュアルゲームがSTEP.2 少数のユーザーの反応を見る」段階で、あまりより反応が得られず脱落するケースが多いとのことです。

出典:誰も教えてくれないハイパーカジュアルの始め方 – ハイパーカジュアルゲームナイト

ハイパーカジュアルゲームは短期間で作れるので、一見簡単に稼げそうなゲームに見えますが、プロトタイプの段階で売上が見込めるインストール数が得られる」までは多くのゲームを作り続けることになるため、決して簡単に作れるゲームとは限らないようです。

ハイパーカジュアルゲームで売れるゲームを作るには

この動画によると「自分がなんとなく面白い」と考えるゲームを作り続けて「不合格」を繰り返していたようです。

それでもう少し良く考えてみたところ、自分がなんとなく面白いと感じるものとモチーフに選ぶのではなく、

  • 誰が見ても遊び方がわかる
  • 誰が見ても面白さを感じられるようにする

ということを心がけたようです。

誰が見てもわかりやすく面白さを感じられるモチーフの例

自動車であれば「走る」

磁石であれば S極 と N極があり、それが磁力で引き寄せられる

決して、ゲームデザインの都合で、見た目に反する・わかりにくいゲームシステムを採用してはいけないということです。

また、ハイパーカジュアルゲームを遊ぶ人は、あまりゲームに詳しくない人となります。そのためゲーマーにしかわからない記号や複雑なルールを採用してはいけないそうです。

  • ターゲットは、ゲームで遊ぶことが目的ではなく、楽しい時間を過ごしたいと考えている
  • ターゲットは、複雑なゲームシステムや高難易度のゲームを望んでいない

またハイパーカジュアルゲームは「当てるために多くのゲームを作る」となるので、「失敗を恐れず、結果を恐れず、色々な方法を試してみる」というのが重要となるそうです。

  • 失敗・結果を恐れず、色々な方法を試してみる
  • ハイパーカジュアルは40本作って1本当たればいい、くらいの極端な「数打てば当たる」作戦

さらに、ハイパーカジュアルゲームは広告が導線となるため、広告にしたときにインパクトが出そうな題材を選ぶのも1つの発想法になるとのことです。

売れるハイパーカジュアルゲームを作るためのまとめ

  • ゲームの要素をひたすら削って、シンプルな要素に研ぎ澄ませる
  • 見た目でわかりやすいゲームルールを採用する(誰でもわかるモチーフを使う)
  • レベルクリア型のパズルが向いている傾向がある

ハイパーカジュアルゲームの実体とは

この動画の最後で、ハイパーカジュアルゲームの核となる部分は何か、ということを解説されています。

  1. 分かりやすさ:広告だけでルールが分かる。普段ゲームをやらない人でも面白さが伝わる
  2. 親しみやすさ:誰にでも好まれる見た目にする。言語や文化に依存しない
  3. ユニークさ:それでいて独自性があり、差別化がされている

さらに大切なこととして「ターゲットとなるユーザーはゲーム性を重要視していない」ということです。

  • 簡単すぎるという意見をもとに、「新しいゲーム性を追加」したらインストール率が悪化した

ゲーム開発者にありがちな「ゲーマーにしかわからない要素」「難易度を上げる」「ゲーム性を複雑にする」というのは、ハイパーカジュアルゲームの売上には良くない影響を与えるそうです。

  • ハイパーカジュアルゲームの「作法」を理解したゲームに仕上げることが大切

動画の中では特に明示されていませんでしたが、「パロディー要素」を持つバカゲーは不快に感じる人もいるので、おそらくハイパーカジュアルゲームには向いていない気がします。

ゲーム開発者からみた「ハイパーカジュアルゲーム」の魅力

  • 遊びを作ることの集中できる。遊びがつまらないゲームは受けない
  • 圧倒的なスピード感。プロトタイプで1〜2週間、全世界配信まで1〜2ヶ月
  • ゲームの面白さだけでアピールできる。ゲームに関係ない要素でプロモーションする必要がない
  • 世界中の人に遊んでもらえる

売れるハイパーカジュアルゲームの作り方

既存タイトルを分解しまくる

出典:誰も教えてくれないハイパーカジュアルの始め方 – ハイパーカジュアルゲームナイト

ハイパーカジュアルゲームの発想法

面白いと思うゲームのステップ

  1. その「アイデアを聞いただけ」で面白いと思える
  2. そのゲームの「映像」を見て面白いと思える
  3. そのゲームを「触ってみたくなる
  4. そのゲームの面白さを「他の人に伝えたくなる

個人的な感想

ハイパーカジュアルゲームを調べていて気になった点です。

  • ヒットするゲームを作るまでに「数ヶ月から1年以上」かかる
  • 作りたいゲームが作れない可能性がある
  • 最終的なクオリティが中途半端だとパクられやすい

ヒットするゲームを作るまでに「数ヶ月から1年以上」かかる

ここは人によって基準は変動しそうですが、「40本作って1本当たればいい」という考えを基準にすると、ヒットするゲームを作るまでにはおおよそ「数ヶ月から1年以上」かかることになります。

  • 1本あたりのプロトタイプ開発期間が「1〜2週間」
  • 40本作って当たればいい
  • → 1〜2週間 x 40本 = 10ヶ月〜20ヶ月(1年8ヶ月)

そうなると、カジュアルゲームとはいえ、1年近くかけて1本のゲームを作る労力とあまり違いがないように感じました。

ですので、「こんなシンプルなゲーム誰でも作れる」という甘い考えでハイパーカジュアルゲームを作ろうとすると、おそらく失敗するような気がします。

作りたいゲームを作れない可能性がある

ハイパーカジュアルゲームは「ゲームに詳しくない人」を対象にしたゲームのため、「メトロイドヴァニア」や「ローグライク」のようなゲームファンに人気のゲームを作ることができません。またハイパーカジュアルゲームを売っていくためには、結局は数ヶ月以上の時間を費やす必要があるため、それだけの時間をかけてまで作りたくなる動機が必要となります。

そうなるとプロジェクトを継続して行うには「カジュアルゲームが大好きかどうか」が判断基準となりそうです。作っていて楽しくないと感じるようであれば、継続して作り続けるのはかなり難しいという印象です。具体的には「ストアの上位ランキングに入っているハイパーカジュアルゲームを一通り遊んでいる、遊び続けてしまう」ぐらいの興味を持っていることが求められます。

このあたり判断が難しい場合は、試しに3ヶ月ほどかけて10本ほど作ってみて「作るの楽しい!」「これなら続けられそう」と思えたら継続しても良いかもしれません。

パクられやすい

ハイパーカジュアルゲームはゲームシステムがシンプルで、多くのユーザーを獲得しやすいため、お金だけが目的の開発者にパクられやすいです。

そのため最終的なバージョンのクオリティが低いと、見た目を良くしただけの、ゲームシステムは丸パクリで遊びやすくなっただけのゲームに上位ランキングを取られてしまう可能性があります。

そのため「これはイケる!」と思ったら、これ以上の見た目のわかりやすさのクオリティは出せない、というところまで突き詰めてリリースする、ということが必要になりそうです。

追記:ハイパーカジュアルゲームの市場

改めて調べたところ、ハイパーカジュアルゲームの市場はとんでもないことになっているようですね……。

App Annie Japanの調査では、ダウンロード数が最も多かったゲームのトップ10のうち、4つが「ハイパーカジュアル」に属し、「パズル」と「アクション」はそれぞれ前年同期比16%、37%も伸びています。

さらに、ハイパーカジュアルゲームの代表格である「Happy Glass」が2018年に打ち立てた、62日間で1億回ダウンロードとう記録は未だ破られていません。同社の担当者は「ゲーム市場で新しいプレイヤーが急成長することはますます難しくなっている」と話しています。

ハイパーカジュアルゲームが市場を牽引! 2021年モバイルゲーム最新レポートが公開

参考になりそうなページ

参考になった本

ハイパーカジュアルゲーム入門: アプリリリースまでの考え方
created by Rinker

ハイパーカジュアルゲームについて解説している日本唯一の本……?(2021.11現在)

開発期間は3日〜2週間、関連する指標であるCPI(ゲームが1インストールされるためのコスト)、LTV(1ユーザーのゲームの継続率)などの紹介がされていて勉強になります。

  • CPI(コスト[主に広告費])を下げて、LTV(利益[プレイ時間])を上げることが目標

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