コンセプト主導のゲームを作るには

今回はコンセプト主導のゲームを作るためにはどうすれば良いのかを考えてみます。

コンセプトとは何か

コンセプトとは企画用語で「全体を貫く基本的な観点・考え方」という意味です。コンセプトを核として、それに沿って物作りをすると一貫性のある商品が生まれるので、コンセプトは重要と言われます。
正確には、コンセプトはテーマ(お題)をどう料理するかという意味なのですが、ここではテーマと同じ意味で扱うものとします。

なぜコンセプト主導にする必要があるのか

ゲーム作りをしていると、その過程で様々な面白そうなアイデアが見つかります。ただそれらを無作為に組み合わせると、方向性がちぐはぐなゲームとなってしまいます。最悪の場合は面白くならないので、ゲームが完成できない、などということにもなりかねません。

なので、作っているうちに次々と面白いアイデアが見つかっても「コンセプトの良さを引き出すのでアリかも」「今回のコンセプトには合わないので、次回作で使おう」といった取捨選択の指針となります。
また、コンセプトを元にしたゲームシステムやゲームバランスの構築を行うことも可能です。

キャラクターや世界観、シナリオなどもコンセプトを元に作った方が、よりゲームへの没入感が上がります。
これを例えば、 “キャラ先行” または “シナリオありき” で作ってしまうと、なかなか方向性が定まらず、「ストーリーは良いけどゲームシステムは微妙……」「キャラは良いけどそれだけのゲーム」などという結果になってしまうかもしれません。

コンセプト主導は、ゲームを構成する各要素の連携を綿密にします。それにより、遊び手が何かそのゲームに「意味」があると考え始め、ただの面白いゲームとは異なる大きなものを感じ取ってくれるかもしれません。

コンセプト主導のゲームを作るには

ゲームにおける良いコンセプトは、遊ぶ人にどのような「体験」をさせるか、です。

例えば「スーパーマリオブラザーズ」のようなアクションゲームの中では、誰もが超人的な身体能力を持ったスーパーヒーローになって、画面内を飛び回ることができます。シューティングゲームでは、戦闘機に乗って世界を滅亡から救う探検を行うことになるかもしれません。はたまた国取りタイプのシミュレーションゲームでは、独裁者となって民衆に圧政を強いることも可能です。

ゲームは「何かになりきって、あり得ない体験をできる」ということができる数少ない娯楽です。なので、子供の頃に「なりたかったもの」「憧れていたもの」を思い出すのが、コンセプト主導のアイデアを見つけるための1つの方法であるのではないかと思います。
例えば「信長の野望」は、戦国武将になりきって内政や戦いを指揮する気分を味わいたい、というところから開発が始まったそうです。

他の方法としては、「動詞」を中心に考えるのも良いです。ゲームはプレイヤーの行動や選択が中心となって進むからです。

  • 指が忍者の刀になって、果物を「斬る」
  • 塔を「建設」し、押し寄せるロボットの大群から「防衛する」
  • 大きな球を「避け」ながら、慣性を使って小さな球を「吸収する」
  • 安全に「着陸する」ために、行き交う飛行機に「指示する」

動詞は複数あっても良いです。この方法はゲームシステムをイメージすることができるので、より具体的なアイデアにしたい場合にオススメします。

最後の方法として「ゲームを作りながらコンセプトを見つける」という方法です。例えば「ピクミン」のアイデアの元は、ゲームキューブのデモで100人のマリオを動かしていたら「これはアリっぽい」と思って、アリにしてみたそうです。そしてゲームを作っているうちに「アリとはいえ、その命を消耗しながらゲームを攻略していくのは可愛そうだ」と思い、「命の大切さを感じられるゲームにしよう」というコンセプトを見つけたそうです。
つまり、作りながらでもコンセプトを見つけることが可能であることを意味しています。

まとめ

コンセプト主導のゲームを作るには以下の方法を試して「核となるアイデア」を見つけるのが良いのではないか……と思います。

  • 1. 子供の頃に憧れていたものを思い出す。それになりきれるアイデアを考える
  • 2. 動詞でアイデアを考える
  • 3. ゲームを作りながら「コンセプト」を見つけ出す