ゲームの寿命を延ばす7つの方法

今回はゲームの寿命(プレイ時間)を増やす方法を紹介したいと思います。

なぜゲームの寿命を伸ばすのか?

ゲームの寿命を伸ばす目的は以下のものがあります。

  • ゲームを長く遊んでもらうことで、ユーザーの満足感を上げる
  • 長く遊ぶことで、作った要素を隅々まで遊んでもらうことができる (面白さに気づかずにゲームをやめて欲しくない

すぐ終わってしまうゲームはそれだけで評価を下げやすいです。例えばプレイ時間が短いと「ボリューム不足」という批判が生まれやすい気がします。昔、仕事で関わったゲームで、子供向けに難易度を低めに抑えたら「1日でクリアしてしまい、子供がすぐに飽きてしまった」という星1つのレビューがついたことがありました。個人的には、プレイ時間が短くても濃縮した楽しい時間が過ごせるならそれで良いと思ったのですが、一般的にはそうではないようです。

そこで、続編ではステージ数を前作よりも多めにしてクリアに時間がかかるようにしました。その中には無理に引き伸ばしたせいで、やや冗長なステージがあり、あまり良いレベルデザインとは思わなかったのですが、結果として「長く楽しめてボリュームがある」という高評価を得ることができました。

ということで、作り手の意図とは離れたところで、「ゲームを ”長く” 楽しめる」というのはそれだけで高い評価を得られやすい、という傾向を感じたりしたわけです。

また長く遊んでもらうことで、色々な遊び方を見つけてもらえる可能性があります。ゲームをクリアするだけであれば、一定のパターンを見つけるだけで攻略が可能ですが、特定の操作を制限する「縛りプレイ」や最速でゲームをクリアする「RTA (リアルタイムアタック)」に挑戦するとまた別の遊び方が生まれて新しい発見と面白さが生まれます。

ゲームの寿命を伸ばすには

ゲームの寿命を伸ばす方法としては以下のものが考えられます。

  1. 要素を増やす:操作キャラクターを増やす。ステージ数を増やす。アイテム数を増加する、敵を増やす
  2. 難易度を上げる:難易度を上げると、障害を乗り越えるために繰り返しプレイする回数が増えるため、クリアに必要な時間が増えます
  3. ゲームクリアの幅を広くする:攻略の自由度を高くする。遊ぶたびに変化が生まれる
  4. 組み合わせを自動生成する:ローグライクなどのレベルのランダム生成
  5. コレクション要素を入れる:アイテムのコレクションやコンプリートなど
  6. 実績を入れる:作り手が推奨する、通常プレイとは異なる遊び方の提案
  7. オンライン要素を入れる: プレイヤー同士が競う・協力することで新しい遊びを提供する

1. 要素を増やす

これは物量勝負で、作れば作るほどその要素数に応じて、プレイ時間が伸びていきます

例えばステージ数を増やす、などです。1ステージあたりのクリアに必要な時間が5分の場合、全10ステージあれば 50分でゲームクリアできます。これを100ステージに増やせば、5分間 x 100ステージ = 500分 = 8.3時間で、クリアするために必要なプレイ時間は約 8時間となります。
しかし単にステージ数を増やすと、その多さにウンザリしてしまうユーザーがいる可能性に注意します。

それ以外にも、操作可能な主人公を増やして繰り返しプレイを楽しめるようにしたり、アイテム数や敵を増やしてゲームプレイの幅を広げる、といった方法もあります。クリア後も何回も遊べるゲームにすると、ユーザーは繰り返し遊んでくれてゲームの寿命が伸びます。

  • ステージ数を増やせば、そのステージの数だけプレイ時間を引き伸ばすことができる
  • 操作可能なキャラクターを複数人用意することで、繰り返し遊べるようにする
  • 超絶強い隠しボス・裏ボスを登場させる

2. 難易度を高くする

難易度を高くすると、プレイヤーが悩む時間や試行錯誤する時間、プレイヤーに求めるスキルが高くなるため、プレイ時間が増えます。逆に難易度を低くすると、あっさりクリアできてしまい「ボリュームの少ないゲーム」という扱いを受けやすいです。

ただ、難易度を高くしすぎると「クリアできない」と諦められしまうリスクがあります。なので、程よいバランスにするか、失敗するたびにポイントがたまってクリアしやすくなるアイテムが手に入るようにするなど、何らかの救済措置を入れたほうが良いかもしれません。

なお、難易度を変化させるパラメータは以下のものがあります。

  • 1. 攻撃の発生率: どれくらいの頻度でプレイヤーを攻撃したり妨害するか
  • 2. AI: プレイヤーのアクションに対する反応の速さ、賢さ、正確さ
  • 3. 複雑さ: 正しい答えに到達するまでに、完了すべき手順の多さ
  • 4. 記憶力: 覚えなければいけない操作方法やルールの数
  • 5. 応用力: 覚えた操作を活用する力。組み合わせて新しい操作を行う数
  • 6. ペナルティ: 失敗に対するペナルティの大きさ。例えば即死ゲームは高難易度になりがち。また死亡により全てを失うPermaDeathもゲームを厳しくする
  • 7. 速度: ゲーム内の要素が物理的にどれくらいの速度で移動するか。もしくはプレイヤーに求める反応速度
  • 8. 時間: 制限時間。パズルを解く、一定の距離を移動する、クリアする、敵を倒すのを一定時間内に行わないと失敗判定となる

3. ゲームクリアの幅を広くする

ゲームデザインに依存しますが、クリア条件を複数用意することで、遊びの幅を広げる方法もあります。例えば、勝利条件を、敵を全滅させる、というものとは別に、一定時間敵の攻撃を耐えられたらクリア、と複数用意する方法です。

複数の勝利条件の例
  • 敵を全滅させる
  • 一定ターン数経過で勝利
  • 司令塔となる敵を倒すと勝利
  • 特定の施設を破壊する

また、パズルゲームを作る場合に、解法が1つのみだとそれが見つからなかった時に先に進めなくなってしまうので、複数の解放を用意するケースもあります。

もしくは難易度曲線の考え方を利用して、ある程度ゆとりを持ってクリアできるレベルデザイン (60〜80%の精度でクリア可能) にします。

そうすると、遊び方に幅が出て様々なプレイスタイルを模索してもらえる余地が生まれます。

攻略の精度の高さ (完璧なプレイに近い) によって、より良い報酬を与えたりするのも良いと思います。

4. 組み合わせを自動生成する

ローグライク的な考え方ですが、地形や敵、アイテムの出現方法や組み合わせをランダムにします。それにより “毎回違ったプレイ” ができてゲーム寿命が伸びます。
画面外から敵がランダムで出現し、それを倒し続けるアクションゲーム・シューティングゲーム(アステロイドなど)もある意味自動生成と言えます。

ただ、タイムアタック的な遊び方をさせる場合に、ランダム性はプレイの最適化を邪魔する要因となるので、その場合は乱数値を固定化するなど、再現可能なレベルを生成するようにした方が良いかもしれません。

5. コレクション要素を入れる

アイテム収集などのコレクション・コンプリート要素を入れると、マップの探索をより隅々まで調査してくれるようになって、プレイ時間を伸ばすことができます

私が過去に作ったアクションゲームでは、ステージ内のアイテムを全て回収するとコンプリートボーナス(1UP)が入るようにし、さらにステージ選択画面でコンプリートしたことを示すマークを表示するようにしました。これにより寄り道してやりこむ要素が生まれるようになります。

またパズルゲームでも、手数が少ないと評価する仕組みを用意すれば(最短手数ボーナスなど)より最適な解放を模索する楽しさが生まれます。

6. 実績を入れる

「実績」もゲームを長く楽しませる方法として有効です。

  • 敵を100体倒した
  • お金を100000円稼いだ
  • 隠しボスを出現させた
  • ノーミスでボスを倒した

実績は「作り手がこういう遊び方をしてほしい」といった主張を入れることが可能なシステムです。例えば「武器を全く使わずにボスを自爆させた」という実績を用意すれば、「武器を全く使わずに敵の攻撃を避け続け、ボスが自爆するまで攻撃を耐え続けた」という、通常では取り柄ないプレイをさせることができます。

ゲームクリアの難易度はほどほどにしておき、本編とは無関係である難易度の高い実績を用意することで、ゲームの寿命を伸ばすことができる、というわけです。

7. オンライン要素を入れる

オンライン要素を入れて、ユーザー同士が協力・競争できるようにするとゲームの寿命が伸びます。例えば海外のFPSでは、一人用のシナリオモードをクリア後もオンライン対戦で延々と遊ぶことができ、ゲームの寿命を延ばすようにしています。

ただ、リアルタイムのオンライン対戦は実装が大変なので、まずはスコアランキングを実装するのが良いかと思います。ランキングであれば評価対象の情報をサーバーに送信して閲覧する時に評価項目をソートして表示するだけです。不正対策を完全に行うのは難しいですが、セーブデータを暗号化する、送信データを暗号化する、という方法であればある程度の不正は防ぐことができると思います。

ちなみに私が過去に作ったローグライクでは、中断セーブデータをテキストで保存してしまい、スコアを改ざんされてしまったことがあります。サーバーへの送信データを暗号化しただけだったので対応が不十分でしたね……。ひとまずはセーブデータを暗号化しておけば、ある程度のチート対策にはなると思います。

まとめ

ここで紹介した方法は、それぞれ作り手側の好みで「入れてみたい」「入れたくない」と考えるものがあると思います。もしくはゲームデザイン上、導入することが難しいかもしれません。

なので、それぞれのメリット・デメリットを考慮して実装していくのが良いかと思います。