・誰も教えてくれないハイパーカジュアルの始め方 – ハイパーカジュアルゲームナイト
という動画を参考に、Hyper-Casual Game (ハイパーカジュアルゲーム) について調べました。
目次
ハイパーカジュアルゲームとは何か?
ハイパーカジュアルゲームとは、ゲームに不慣れな人でも気軽に楽しめる「カジュアルゲーム」をさらに突き詰めたゲームジャンルとなります。
ハイパーカジュアルゲームの特徴
こちらの記事によるとハイパーカジュアルゲームには以下の特徴があるとされています。
- ユニバーサルデザイン:国籍問わず楽しめるデザイン。特定の国(言語)でしか理解されない要素がない
- 広告による集客と収益:無料で遊べるゲーム。課金要素はない
ハイパーカジュアルゲームの作成過程
ハイパーカジュアルゲームは短期間のスピード開発で勝負するゲームです。
ゲームの面白さを最低限理解できるクオリティでゲームをひとまず完成させる
プロトタイプを配信してユーザーの反応を見る
1〜2ヶ月かけて、見た目のクオリティを上げたり、操作のわかりやすさやゲームのテンポなどを向上させる
本リリースを行って、全世界の反応を見る
ただ、多くのハイパーカジュアルゲームが「STEP.2 少数のユーザーの反応を見る」段階で、あまりより反応が得られず脱落するケースが多いとのことです。
ハイパーカジュアルゲームは短期間で作れるので、一見簡単に稼げそうなゲームに見えますが、「プロトタイプの段階で売上が見込めるインストール数が得られる」までは多くのゲームを作り続けることになるため、決して簡単に作れるゲームとは限らないようです。
ハイパーカジュアルゲームで売れるゲームを作るには
この動画によると「自分がなんとなく面白い」と考えるゲームを作り続けて「不合格」を繰り返していたようです。
それでもう少し良く考えてみたところ、自分がなんとなく面白いと感じるものとモチーフに選ぶのではなく、
- 誰が見ても遊び方がわかる
- 誰が見ても面白さを感じられるようにする
ということを心がけたようです。
自動車であれば「走る」
磁石であれば S極 と N極があり、それが磁力で引き寄せられる
決して、ゲームデザインの都合で、見た目に反する・わかりにくいゲームシステムを採用してはいけないということです。
また、ハイパーカジュアルゲームを遊ぶ人は、あまりゲームに詳しくない人となります。そのためゲーマーにしかわからない記号や複雑なルールを採用してはいけないそうです。
- ターゲットは、ゲームで遊ぶことが目的ではなく、楽しい時間を過ごしたいと考えている
- ターゲットは、複雑なゲームシステムや高難易度のゲームを望んでいない
またハイパーカジュアルゲームは「当てるために多くのゲームを作る」となるので、「失敗を恐れず、結果を恐れず、色々な方法を試してみる」というのが重要となるそうです。
- 失敗・結果を恐れず、色々な方法を試してみる
- ハイパーカジュアルは40本作って1本当たればいい、くらいの極端な「数打てば当たる」作戦
さらに、ハイパーカジュアルゲームは広告が導線となるため、広告にしたときにインパクトが出そうな題材を選ぶのも1つの発想法になるとのことです。
売れるハイパーカジュアルゲームを作るためのまとめ
- ゲームの要素をひたすら削って、シンプルな要素に研ぎ澄ませる
- 見た目でわかりやすいゲームルールを採用する(誰でもわかるモチーフを使う)
- レベルクリア型のパズルが向いている傾向がある
ハイパーカジュアルゲームの実体とは
この動画の最後で、ハイパーカジュアルゲームの核となる部分は何か、ということを解説されています。
- 分かりやすさ:広告だけでルールが分かる。普段ゲームをやらない人でも面白さが伝わる
- 親しみやすさ:誰にでも好まれる見た目にする。言語や文化に依存しない
- ユニークさ:それでいて独自性があり、差別化がされている
さらに大切なこととして「ターゲットとなるユーザーはゲーム性を重要視していない」ということです。
- 簡単すぎるという意見をもとに、「新しいゲーム性を追加」したらインストール率が悪化した
ゲーム開発者にありがちな「ゲーマーにしかわからない要素」「難易度を上げる」「ゲーム性を複雑にする」というのは、ハイパーカジュアルゲームの売上には良くない影響を与えるそうです。
- ハイパーカジュアルゲームの「作法」を理解したゲームに仕上げることが大切
動画の中では特に明示されていませんでしたが、「パロディー要素」を持つバカゲーは不快に感じる人もいるので、おそらくハイパーカジュアルゲームには向いていない気がします。
ゲーム開発者からみた「ハイパーカジュアルゲーム」の魅力
- 遊びを作ることの集中できる。遊びがつまらないゲームは受けない
- 圧倒的なスピード感。プロトタイプで1〜2週間、全世界配信まで1〜2ヶ月
- ゲームの面白さだけでアピールできる。ゲームに関係ない要素でプロモーションする必要がない
- 世界中の人に遊んでもらえる
売れるハイパーカジュアルゲームの作り方
ハイパーカジュアルゲームの発想法
面白いと思うゲームのステップ
- その「アイデアを聞いただけ」で面白いと思える
- そのゲームの「映像」を見て面白いと思える
- そのゲームを「触ってみたくなる」
- そのゲームの面白さを「他の人に伝えたくなる」
個人的な感想
ハイパーカジュアルゲームを調べていて気になった点です。
- ヒットするゲームを作るまでに「数ヶ月から1年以上」かかる
- 作りたいゲームが作れない可能性がある
- 最終的なクオリティが中途半端だとパクられやすい
ヒットするゲームを作るまでに「数ヶ月から1年以上」かかる
ここは人によって基準は変動しそうですが、「40本作って1本当たればいい」という考えを基準にすると、ヒットするゲームを作るまでにはおおよそ「数ヶ月から1年以上」かかることになります。
- 1本あたりのプロトタイプ開発期間が「1〜2週間」
- 40本作って当たればいい
- → 1〜2週間 x 40本 = 10ヶ月〜20ヶ月(1年8ヶ月)
そうなると、カジュアルゲームとはいえ、1年近くかけて1本のゲームを作る労力とあまり違いがないように感じました。
ですので、「こんなシンプルなゲーム誰でも作れる」という甘い考えでハイパーカジュアルゲームを作ろうとすると、おそらく失敗するような気がします。
作りたいゲームを作れない可能性がある
ハイパーカジュアルゲームは「ゲームに詳しくない人」を対象にしたゲームのため、「メトロイドヴァニア」や「ローグライク」のようなゲームファンに人気のゲームを作ることができません。またハイパーカジュアルゲームを売っていくためには、結局は数ヶ月以上の時間を費やす必要があるため、それだけの時間をかけてまで作りたくなる動機が必要となります。
そうなるとプロジェクトを継続して行うには「カジュアルゲームが大好きかどうか」が判断基準となりそうです。作っていて楽しくないと感じるようであれば、継続して作り続けるのはかなり難しいという印象です。具体的には「ストアの上位ランキングに入っているハイパーカジュアルゲームを一通り遊んでいる、遊び続けてしまう」ぐらいの興味を持っていることが求められます。
このあたり判断が難しい場合は、試しに3ヶ月ほどかけて10本ほど作ってみて「作るの楽しい!」「これなら続けられそう」と思えたら継続しても良いかもしれません。
パクられやすい
ハイパーカジュアルゲームはゲームシステムがシンプルで、多くのユーザーを獲得しやすいため、お金だけが目的の開発者にパクられやすいです。
そのため最終的なバージョンのクオリティが低いと、見た目を良くしただけの、ゲームシステムは丸パクリで遊びやすくなっただけのゲームに上位ランキングを取られてしまう可能性があります。
そのため「これはイケる!」と思ったら、これ以上の見た目のわかりやすさのクオリティは出せない、というところまで突き詰めてリリースする、ということが必要になりそうです。
追記:ハイパーカジュアルゲームの市場
改めて調べたところ、ハイパーカジュアルゲームの市場はとんでもないことになっているようですね……。
App Annie Japanの調査では、ダウンロード数が最も多かったゲームのトップ10のうち、4つが「ハイパーカジュアル」に属し、「パズル」と「アクション」はそれぞれ前年同期比16%、37%も伸びています。
さらに、ハイパーカジュアルゲームの代表格である「Happy Glass」が2018年に打ち立てた、62日間で1億回ダウンロードとう記録は未だ破られていません。同社の担当者は「ゲーム市場で新しいプレイヤーが急成長することはますます難しくなっている」と話しています。
ハイパーカジュアルゲームが市場を牽引! 2021年モバイルゲーム最新レポートが公開
参考になりそうなページ
参考になった本
ハイパーカジュアルゲームについて解説している日本唯一の本……?(2021.11現在)
開発期間は3日〜2週間、関連する指標であるCPI(ゲームが1インストールされるためのコスト)、LTV(1ユーザーのゲームの継続率)などの紹介がされていて勉強になります。
- CPI(コスト[主に広告費])を下げて、LTV(利益[プレイ時間])を上げることが目標
ハイパーカジュアルゲームで人気のジャンル
- Puzzle game (パズルゲーム) :ステージクリア型のパズル
- レース系:オンラインのタイムアタックレース
- Escape the room game (脱出ゲーム) 、謎解き系:イラストパズル、なぞなぞ、ストーリーが少しある
- io系:オンライン対戦して1位を目指すゲーム