この記事は、ゲームデザイナーのカイル・ゲイブラー氏(「グーの惑星」などを開発。ゲームプロトタイピングについてのプロフェッショナル)が、Global Game Jam 第1回(2009)で行った基調講演の内容を個人的にまとめたものです。
なお、日本語訳がついた動画が YouTube にアップロードされていて、この記事はそれを参考にしています
目次
48時間内にゲームを作る意味
厳しい時間内にゲームを作るやりかたは、斬新なゲーム体験をつくりだすのに一番いい方法です。例えば、ゲームジャムから生まれた作品としては、Audiosurf(音楽ファイルを読み込ませて、その音楽に合わせてステージが自動生成されるパズルレースゲーム。メタスコア:85点)
このゲームはTune Racerという7日間で作ったプロトタイプをもとにしています。
また、Crayon Physics Deluxe(お絵かきパズルゲーム。IGF2008で大賞を獲得)
このゲームはプロトタイプを5日間で作った、とのことです。
さらに、Braid(時間を操作する2Dの横スクロール型プラットフォームアクションパズルゲーム。VGXアワード ベストインディーゲームに選ばれる。2008年のXBLAの売上2位)
これは、次の作品のためにプールしていた小さなプロトタイプの1つでした。
そして、グーの惑星(グーをゴールまで導くパズルゲーム。VGXアワード ベストインディーゲーム。任天堂からWii版が発売されている)
このゲームは、4日間で作ったゲームをもとにしています。
#0: ゲーム開発に必要なもの
- プログラムを書くのにもグラフィックを作るのにもまずは「コンピューター」が必要
- どうやってゲームが作られているのかを知っておく
- それと、ペンと紙。アイデアを書き残すには、アナログのツールを使えば迅速だ
- そして、『想像力』
#7: 何が期待されているのかを自覚しよう (Adjust Expectations)
- 48時間で、大作FPS・RPGの新作を作れるとは誰も期待していない
- 数百万ドルかけた数百人が開発したゲームと正面から競争するのは現実的ではない
- 同じものを作って競争すると、おそらく君よりも上手く作れるチームが勝つだろう
- そのため、「競争してはいけない」
- 競争するのではなく、まったく違うものを作るんだ
- だから、これまで聞いたこともないコンセプト、……たとえば、伝染病を題材にした新作ゲームとか、自己増殖ロボットの群れが恋に落ちる新作とかを、48時間で作ることはぜんぜん可能だろう
#6: 簡単にゲームに入れるようにしよう (Create a Low Barrier of Entry)
- 48時間で作るゲームに、説明のテキストを長々と読ませる必要はない
- 壮大な背景設定や、瀕死の王様の最後の願いとか、戦争とか仇討ちなどの説明は不要
- ゲーム説明は、タイトル画面の後に、遊び方を1行で表示するだけでよい
- タイトル画面にゲームの遊び方を含めてもいい
#5: アーティスティックなテーマを絞ろう (Feel Something)
- アートなゲームを作るなら、たとえば、ゲームで使う音楽を先に決めてしまうんだ
- そして、グラフィックス・サウンド・ゲームデザインすべてをこの音楽にあわせる
- いいアートゲームを作るには、見た目だけではなく、別の要素も必要
- テーマを持たせたり、隠された意味を感じさせるものにする
- アート系ゲームを作ったことがなければ、まずはアートっぽいゲームの名前をつけてもいいかもね
- 「孤独」とか、「揺るぎない運命の恩恵」とか……
#4: まずゲームをプレイテストできるようにする (Make the TOY First)
- 今までとは違うゲームを作るのであれば、早い段階で、ゲームのコンセプトが楽しいかどうかを確認しなければならない
- それには、グラフィックもサウンドも作らず、新しいゲームの仕掛けを、丸や三角の絵でテストするんだ
- 最初の段階で、ビジュアルやサウンドエフェクトに時間をかけてはいけない
- 新しいアイデアが本当に楽しいと確信してから、肉づけをしていくんだ
#3: 効果的なオーディオも忘れずに (shhh..)
#2: ゲーム要素の調和 (harmony)
- 「イリーガル・コミュニケーション」というゲームは、簡単な線と円、色も2色しかないけど、よくできている
- 映像も、音楽も、動きもすべて完璧に「調和」していて、見た目よりもずっと楽しくて深いアドベンチャーゲームだ
- 48時間ではゲーム素材をたくさん準備することはできない
- どうすれば素材に時間を浪費せずに「調和」をとれるのか考えよう
#1: 自分が開発するゲームにほれこむな (Never Fall in Love)
- 新作を作るときに、こだわって作ると結果はいつもボロボロだった
- 一方、「失敗しても構わない」と思ったらいいものが作れた
- 破壊の第2法則: 「愛と努力が増せば増すほど、自爆する確率が100%に近づく」