今回は電子書籍が読み放題になるサービス Kindle Unlimited で読めるゲーム開発に役立つ本についてまとめてみました。
なお、ここで紹介した Kindle本は基本的に Kindle Cloud Reader (Webブラウザ) では読めない本がほとんどなので、Kindle アプリ をインストールする必要があります。
目次
ゲーム開発初心者向け
0から副業でゲームアプリの個人開発をやってみたい初心者が、プログラミング言語の学習を始める前に読むべき超入門書
こちらはゲームを作ったことがない、ゲームプログラムをしたことがない、ゲームで稼ぐにはどうすればよいのか、といった初歩的な疑問に対する答えがまとまっている本です。
「500円の価値がない」かというとそうでもないのですが、レビューにもある通り、確かにネットで調べればわかる情報が多いです。ただ Kindle Unlimited を利用すると実質無料で読めますし、ネットで調べる手間を削減できるので、ゲーム開発初心者には良い本ではないかと思いました。
ゲーム開発を勉強するにあたって必要な情報がまとまっており、おすすめのツールや本が紹介されているので、「ゲームを作りたいけれど何をすればわからない」という人にオススメです。
これからゲームアプリを 作ろうと思っている人へ 伝えたいこと: 「ただなんとなく・・・」ゲームアプリ制作に興味を持った方へ
Hyper-Casual game (ハイパーカジュアルゲーム) を中心に100本以上のゲームを作り、最高月収120万円を達成した著者によるゲーム開発初心者にむけた本となります。
この本では、GameSalad というプログラムコードなしで作れる開発環境を紹介しており、初心者でも入りやすくゲーム開発のきっかけとして良い本だと思いました。
なお「本当に月収100万円もあるのかな…?」と疑問に思って作者さんのアプリを調べてみたのですが、こちらのアプリの開発者のようで、10万〜100万DLを達成しており、たしかにこれだけダウンロードされていれば、それだけの収入がありそう…と思いました。
ゲームプログラム
ゲームを作りながら楽しく学べるPythonプログラミング
Pythonの基礎をゲームを作りながら学べる本です。Pythonは文法がわかりやすく覚えやすいので、プログラム初心者にオススメの言語なのですが、メインとして使わなくても開発を補助するツールとしても使える(データコンバートの自動化など)ので、UnityやUnreal Engineなど他の開発環境を使用していても覚えておいた方が良いと思っています。
また、Unreal Engine のエディタ拡張のスクリプト言語としても Python が採用されています。
この本の前半では Python の文法とプログラムの基礎を学び、後半で実際にパズルやシューティングゲームを作りながらゲームづくりの基礎を学べる本となっています。
ただ注意点として、Pygame を使っており、macOS環境だと環境構築がやや難しいです。Windows環境を使用していれば問題なく構築できると思います。
Unityの寺子屋 定番スマホゲーム開発入門
Unityを使っているなら役に立つ本だと思います。
全くの初心者にはやや少し難しいかもしれませんが、「 Incremental game (放置系ゲーム) 」「 Cookie Clicker (クッキークリッカー) 」「 2D Platformer (プラットフォーマー) 」の作り方を解説した本です。
特に「放置系ゲーム」「クリッカー系ゲーム」はスマートフォン向けのゲームとして人気が高く収益性が高い(継続率が高い)ことで知られていますので、ゲームで生計を立てていきたいと考えている人には良い題材ではないかと思います。
ゲームタイプ | 1DLあたりの収益 | 補足 |
---|---|---|
脱出ゲーム | 3〜12円 | リプレイバリューが低い (繰り返しプレイされない) ので収益率は低め |
カジュアルゲーム | 5〜25円 | |
放置ゲーム | 8〜42円 | |
クリッカー系 | 10〜50円 | アプリ内課金を組み合わせれば 1DLあたり100円を超えることもある |
Unity入門の森シリーズ
初心者向けのUnityのチュートリアル記事を書かれている「Unity入門の森」の方の Kindle本です。
とても丁寧に説明されている良い本なのですが、Webサイトにもほぼ同じ内容の記事を書かれているので、個人的な感想としてはKindle本よりもWebサイトの方が見やすいような気がしました。
プランニング(業界・チーム開発)
プランナー一年生のためのゲーム仕様書の書き方
ゲーム開発会社の「サクセス」のプランナー向けの社内教育用資料をまとめた本となります。
内容としては「ゲームの仕様書」の書き方で、プログラマーにゲームの仕様を共有するための資料をどうやって作成するかが書かれており、かなり実践的な本となっており、業界を目指している方は読んでおいて損はないと思います。
ゲームプランナーのチーム運営例: ~ゲーム性以前の問題を発生させないために~ ゲームプランナーの参考例シリーズ
ゲーム業界歴20年以上のキャリアを持つプランナーの方の本となります。
こちらはゲーム開発における「プロジェクトマネジメント」についての本で、炎上するプロジェクトのあるあるがよくまとまっていて、私もマネジメント経験があるので読んでいて胃が痛くなる本でした。
それだけリアリティがあり、マネジメントを任されたときにどういった立ち回りをするべきなのか、どういう準備をすればよいのかがまとまっていて、管理職に就きたい方にはおすすめの本だと思います。
この方は他にも「ゲームプランナーのドキュメント作成例<基本編> ゲームプランナーの参考例シリーズ」「ゲームプランナーのミーティング実践例 ゲームプランナーの参考例シリーズ」という本を書かれおり、どちらも実践的な内容でおすすめです。
ゲーム企画職の歩き方 - ゲーム開発会社に就職してからの手引き
ゲーム開発全般
ゲーム開発者の地図: 20年の個人開発から学んだこと
ゲーム開発を20年以上続けており、RPGを作るエディターとして人気の高い「WOLF RPGエディター」の開発者でもある SmokingWOLF さんのゲーム開発ノウハウをまとめた本です。
ゲーム開発者全員におすすめできる本ですが、特にRPGを作成している方にはRPG特有のパラメータ調整方法や魅力的なキャラクター作りの方法は参考になると思います。
2022.8.6 追記:RPGゲームデザイン奮闘記 ー5つのネイトの作り方 ー
「ねこどらソフト」による、5属性がころころ変化するRPG「5つのネイト」が完成するまでの経緯をまとめた本です。
この本の著者は、RPGを初めて作ってみたということもあり、色々な紆余曲折があって、そのあたりを包み隠さず書かれていて、RPGを作ったことがない方にはとても参考になると思います。
また、5つのネイトを遊んでみるとわかるのですが、ボス戦ごとに遊ばせ方がどんどん変化して、手作りの良さが感じられるゲームとなっていて、ボス戦での専用ギミックの作り込みとバリエーションが多く、バトル中心で進むゲームを作りたい方におすすめなのではないかと思います。
自作ゲーライフ: 個人スマフォゲームアプリのマネタイズ本
スマートフォン向けのゲームを作っている個人ゲーム開発者向けのマネタイズ(収益化する方法)について書かれた本です。実際にゲーム開発で生活できており、収益率の高いアプリや人気のあるアプリを作られている方なので説得力があります。
また、マネタイズやプロモーションだけでなく、ゲームを完成させるための方法や、開発の悩み解決法、はたまた食事について書かれているのが面白いです。
経験ゼロでも作れるフリーホラーゲーム。制作の流れ・ストーリーの構成・ギミックに必要な3要素。20分で読めるシリーズ
最近はホラーっぽいゲームを作っているので参考になるかな…と思って読んでみたのですが、なかなかよい本でした。内容としては初歩的なストーリー作成や企画、謎解き、分岐やギミックについて、テンプレとなる分類がされており、ホラーゲームを作り慣れていなければ参考になるかと思います。
例えば、ホラーゲームのシチュエーションとしては、以下の3つが典型的なパターンとして提示されています。
- 1. モンスターからの逃亡:未知の化け物や猛獣、人間の業より生まれた怪物、快楽殺人者から逃げる
- 2. 環境からの脱出:沈みかけている船、毒ガスが満ちていく閉鎖空間、命がけのゲームからの脱出
- 3. 過去に触れる:過去の忌まわしい出来事の真相を知ってしまい主人公に危機が迫る
またそれぞれのパターンについての作成のコツが書かれており、参考になります。他にもギミックの作り方の注意点など、たしかにそれに注意しないと良くない作りになるなぁ……と勉強になりました。
個人的には最後の「ホラーゲームでやってはいけないこと」が参考になりました。
- “予兆”以外のびっくり系イベントは多用しない:「 Jump scare (ジャンプスケア・ホラーゲーム) =びっくり系イベント」を多用すると飽きられる
- 宗教を否定しない:否定的な主張があると炎上の可能性がある
- 死は控えめに:死亡エンドが多いと怖さがなくなる。BAD ENDが多いと難しいゲームになる
一生忘れない怖い話の語り方 すぐ話せる「実話怪談」入門
こちらはホラーゲームのような「創作系」ではなく、現実にあった「実話系」の語り方の本ですが、創作系ホラーを作る場合にも怖さにリアリティを持たせるためにとても役に立ちます。
ハイパーカジュアルゲーム入門: アプリリリースまでの考え方
Hyper-Casual game (ハイパーカジュアルゲーム) の基本について書かれた本です。ざっくりとハイパーカジュアルゲームについて知りたい、という方には参考になると思います。
以下の記事で参考にさせてもらいました。
ハイパーカジュアルゲームの作り方ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ
前半部分は、ゲームの企画書を作る上で基本となる構成要素、企画が成立するまでのプロセス、オンラインゲームの運営方法などについて書かれています。
前半部分はどちらかと言えば、ゲーム業界に入りたい人向けの内容であると感じました。
そして、後半部分は実際にリリースされたゲームの企画がどうやって通ったのか、制作の過程はどのようなものだったか、どうやって売り出して運用したのか、といったことが書かれています。
取り上げられたタイトルは「ファンタシースターオンライン2」「ダービースタリオンマスターズ」「魔界戦記ディスガイア5」「CIRCLE of SAVIORS」「ソードアート・オンライン メモリー・デフラグ」「ダンガンロンパシリーズ」「Strange Telephone」「GUILTY GEAR Xrd REV 2」といった有名どころのタイトルばかりで読み応えがあったです。
個人的には、斜陽となっているアドベンチャーというジャンルを新しい切り口で売り出した「ダンガンロンパ」、独自の世界観と設定で話題になった「Strange Telephone」の制作過程についての記事は興味深かったです。
このプレゼンテーションが転機になりました。企画書を何度も作り直したとしても、アドベンチャーゲームというジャンルでは通らない。そう判断し、新しいジャンルを考えることからリスタートしました。話し合いを進める中で閃いたのが、アクション要素を入れること。そこで思いついたのが “ハイスピード推理アクション” という言葉です。そこからは、アドベンチャーゲームではなく、ハイスピード推理アクションと言い切るにはどうすればよいのかを考えながら、ゲーム内容を詰めていきました
ダンガンロンパ:アドベンチャーではなくハイスピード推理アクション
グラフィックがいまいちだと、ダウンロード数が伸びないですね。特に日本のユーザーの場合は顕著です。ゲーム内容がよいからといってグラフィックスをおろそかにしてしまうと、ダウンロード数が落ちてしまう。今ヒットしているゲームを見ると、グラフィックスに、オリジナリティやクオリティが高いものが多いですね。特にゲームアプリのアイコンには気をつけないといけないと思っています。ほかにはないような独特のアイコンのデザインだと、端末に入れておくだけでもよいというファンもいます。ほかと差別化できるようなデザインのアイコンの付いたアプリは強いです。
Strange Telephone:ゲームにおけるグラフィックスの重要性
当たり前ですが、グラフィックで手を抜いてはダメですね。ストアでのスクリーンショットが、他のゲームよりも見劣りしてしまうとなかなか興味を持ってもらえないのではないかと思います。
2022.11.23 追記:ゲームデザイン力を育てる50の講義
ゲームデザイン初心者向けに書かれた本で、ゲームとして成立させるための基本となるスコアシステムやドットイート、アーケードゲームといった、シンプルなアイデアを中心したゲームデザインについて書かれた本です。
参考としているゲームのいくつかが90年代のニッチなゲームで、考え方が少し古いのが気になりますが、初心者向けとしては悪くないように思いました。
開発者インタビュー
石井ぜんじ「ゲームクリエイター」インタビュー集 ゲームに人生を捧げた男たち
元カプコンの「岡本吉起」さん、元SNKの「足立靖」さん、ハムスターの「濱田愉」さん、Game in えびせんの「えび店長」さん、レイジングループの「amphibian」さん、千里の棋譜の「宮下英尚」さん、AIのスペシャリスト「三宅陽一郎」さん、プロ棋士でありコンピュータ将棋に詳しい「西尾明」さんのインタビュー本となります。
これらの方々に興味があるかどうかにもよりますが、興味があればゲームの作り方や考え方が学べるよい本だと思います。
イラスト関連
360°どんな角度もカンペキマスター! マンガキャラデッサン入門
こちらはキャラクターデッサンの基礎から学ぶことができる、お絵描き初心者向けの本です。とても説明が丁寧で最初に手に取る本としてもおすすめです。
プロ絵師の技を完全マスター キャラ塗り上達術 決定版
個人的に役に立った本です。キャラの塗り方のパターンがいくつかあって、私自身この本の塗り方を参考にしています。
ただこちらは定期的に見る資料となるので、私の場合はお金を払って購入しました。
絵の上達方法について、キャラクターイラストであれば、この本以外にもKindle Unlimited で読める本は多いので、これらをとりあえずダウンロードしてみて、好みのイラストなら模写してみる……という勉強法が良さそうです。
プロ絵師の技を完全マスター 魅せる背景 上達術 決定版
こちらは背景の塗りついての本となります。
月刊MdN 2014年 10月号(特集:イラスト表現の物理学 爆発+液体+炎+煙+魔法を描く)
参考になるデザインがたくさんある MdN のエフェクト特集です。
この号では、マンガやアニメ的なエフェクトのイラストの作りかたの特集があり、参考になります。この特集だけを目当てにすると高く感じますが、Kindle Unlimited なら読み放題で読めるので、そのあたりを気にせずに読めるのがとても良いです。
シナリオ
初心者でも完成させる 個人でのノベルゲーム制作の流れ: ノベルゲーム「Psychology King」を個人でゲーム開発したときの流れを実際の資料付きで解説
初心者でも必ず完成できるストーリーの作り方: この1冊でストーリーが生み出せるようになる、小説の書き方シリーズ第二弾! 基礎から応用まで!小説の書き方シリーズ
「インディーズ小説家マニュアル」で初心者向けの小説の書き方やストーリーの作り方を解説されていて、その集大成となる本となります。
平易な文章で、できるだけお手軽にストーリーを作る様々な方法を数多く提示されていて「ストーリーが書きたいけど何をしたらいいかわからない…」という方にオススメの本となります。
大どんでん返し創作法: 面白い物語を作るには ストーリーデザインの方法論
物語の結末で読者をあっと驚かせる「どんでん返し」の 10パターンの方法と、その作り方を解説した本となります。
インパクトを与えるストーリー作りをしたい方には、その手法と物語構造を学べておすすめとなります。
ストーリー作家のネタ帳 イベント編1―キャラクターの王道プロット15種
個人的にシナリオ作成の参考にしまくっている「ストーリー作家のネタ帳」シリーズ。
これは「メリットがないのに優しくする」という王道ストーリーの典型的なパターンを図にしたものです。このようなパターンや図がいくつか提示されていてストーリーを作成する手助けになります。これを元に話を作るのは良くない(テンプレになりすぎてつまらない話になる)ですが、自分の作りたいストーリーがどれに分類されていて、何が足りないのかをチェックするのにはすごい役に立ちます。
他にもシナリオのパターンを分類されている方は多いですが、個人的にはこのシリーズが一番ではないかと思っています。
感情から書く脚本術
こちらはシナリオを作る上で知っておくべきことが数多く書かれた本です。個人的には「中級者〜上級者」向けの内容で、ある程度のお話を作れる人が「自分に足りないものは何か?」を知ることができるチェックリストのような本です。
個人的には、知りたいことを調べる「辞書」のような本だと思っていますので紙媒体の方が良いですが、Kindle版も持ち運びしやすいメリットがあるので補助的な資料として使っています。
この本は個人的にもかなりおすすめで、以下の記事でこの本を紹介しています。
シナリオの書き方を学ぶのにオススメな本キャラクターからつくる物語創作再入門
こちらは魅力的なキャラクターの作り方について書かれた本です。ただ最近流行りの「属性」を組み合わせるタイプではなく「ストーリー」の中でキャラクターがどのように変化するのかを中心に書かれたものです。
そういったストーリーがどのように分類され、キャラの変化をどのように描けばいいのかが学べる本です。
資料
二次元世界に強くなる 現代オタクの基礎知識
「アカシックレコード」や「ワルプルギスの夜」、「永久機関」や「タイムリープ」などオタク心をくすぐるキーワードについての資料となっており、ゲームアイデアやシナリオ作成に役立つ本ではないかと思います。
ただ説明は浅く広く、といった感じなので、あくまで用語集といった使い方でより詳しく調べる場合は Wikipedia などを参考にしたほうが良さそうです。