この記事では、個人ゲーム開発をされている方が YouTube を始めるべきか、ということについて解説します。
先に結論を書くと「プロモーション目的ならTwitterでも十分だけれども、YouTubeの特性を見極めて、得られるものがあるならやってもいい」となります。
以下、その理由を書いていきます。
目次
YouTubeを始めるメリット
まず個人ゲーム開発者が YouTube を始めるメリットは、大きく分けて以下の2つになると思われます。
- 自作ゲームをアピールできる
- 収益化
まず「自作ゲームをアピールできる」についてですが、YouTube を使うメリットとして長時間の映像を見せることができます。
また開発者が面白いキャラだったり面白いトークができれば、それをきっかけにゲームを知ってもらうことができます。
次に「収益化」ですが、YouTubeでは2021年11月現在、
- チャンネル登録者数1000人以上
- トータル再生4000時間
を達成できれば、広告収入を得ることができます。
なお、YouTubeの収益の推定金額ですが、おおよそ「チャンネル登録者x10円」の月収を得られるようです。つまり、登録者数が1000人いれば、月収1万円を得られます。
これは安定した収入を得るのが難しい個人ゲーム開発者にとっては、それなりに魅力的なのではないかと思います。
YouTubeの特性
他のSNS・コンテンツとの比較です。
SNS | 投稿するもの | 投稿のコスト |
---|---|---|
短いテキスト、または短い動画、イラスト スクリーンショット | (比較的) 低い | |
ブログ | 長めのテキスト、スクリーンショット | 中 |
YouTube | 長めの動画 | かなり高い |
YouTubeは長めの映像コンテンツを作るのに向いたプラットフォームとなります。ゲーム開発者目線で見ると、プロモーション用の映像(PV)を配信するのに向いているプラットフォームです。
収益化条件の難しさ
収益化を目的とした場合に問題となるのが、YouTubeの収益化条件です。YouTubeを収益化するには1000人以上の登録者数が必要となりますが、これを達成できるのは YouTubeで配信をしている人口のおおよそ10~15%程度で狭き門となるようです。
また、収益化するためによく言われることとして、以下の2つのことがあります。
- 毎日投稿する
- コメントにはすべて返信する
またそれを行ったとしても 1000人達成するにはおおよそ 6ヶ月~1年かかるとのことです。
何か特別な才能があったり、もとから知名度がある場合には、もう少し早く達成できることもあるようですが、通常は 6ヶ月~1年 投稿を続ける前提で考えたほうがよさそうです。
それで動画作成のコストですが、私の場合にはおおよそ 1本あたり10時間かかっています。調べたところ他の方もおおよそこれに近い時間をかけて動画を作っているようで、「1本あたり制作時間は10時間」というのが目安になりそうです。
なお、私の作成している動画は「ゲームプログラム解説系」で「音声読み上げソフト」を使っているため、他のジャンル・手法に比べると資料作成などに比較的時間がかかる、ということがあります。例えば「雑談が多いトーク」だったり、「顔出しあり」または「本人の声」を使えばもう少し時間は短縮できるかもしれません。
先程、6ヶ月~1年で収益化、という話をしたのですが、50本の動画を投稿するのが1つの区切りになる、という方もおられます。
仮に 50本の投稿を目指すとした場合、1本あたり10時間かかるとして「10時間x50本=500時間」かければ収益化が見込めるかもしれないとのことです。
ただ 500時間あれば、ちょっとしたゲームであれば 1〜2本作れてしまうことを考えると、そこに十分な時間をかけられるかどうかは難しいところです。
よく見かける「おすすめの電化製品」など商品アピール動画であれば、その商品の良いところや悪いところを語るだけなので動画制作コストは比較的低めですが、開発中のゲームをアピールするために専用の素材を作ったりするのは、本来の目的であるゲーム開発の時間を取られてしまうため、個人的な印象としては費用対効果が低めでマイナス要素が大きいのでは、と思っています。
プロモーションだけが目的であればTwitterのみでも問題ない
そのため、個人的にはプロモーションだけが目的であれば、YouTubeは不要と考えています。というのも、YouTubeは始めたばかりの状態だと、無名の開発者であれば再生数は1桁が普通となります。チャンネル登録者が少ないチャンネルは、YouTubeのシステム上「おすすめ」「関連動画」に表示されることがなく、再生される導線が作られないからです。
(ただし、SNSのフォロワーが多かったり、再生されるための戦略をしっかり練っていたり、イケメンや美人だと再生されやすいようです……)
それに対して、Twitterは「短めのインパクトのある動画」「訴求力のあるイラスト」を作れば、短期間で拡散されやすいです。ですので、個人的にはTwitterのみで十分と考えています。
ただ、YouTubeは長めの動画を投稿しやすい、という特性があるので、長めのPVやゲームをアピールするための長めのプレイ動画をアップロードするのに向いています。
あとこれは思いつきなのですが、Twitterに投稿した短い動画のまとめをYouTubeにアップしていくのであれば、素材作成のコストが少し減らせるので、YouTubeへの投稿頻度を上げることができるかもしれません。
YouTubeでの収益化を目指すのに向いている開発者
個人的に考えるYouTubeに向いているゲーム開発者は
- 話すのが好き。長めの話で人を楽しませることができる
- ゲーム開発者として、すでにそれなりの知名度がある
- 映像として見せられる特技がある(絵が上手い人がイラストの制作過程を動画で見せるなど)
です。
さらに「顔出し」ができれば、動画の編集コストが低く、投稿ペースも増やせるので登録者数を増やしやすいのかな、と思います。というのも「顔出し」できれば、映像素材や音声素材を作る手間が大幅に削減できるので、動画制作コストが減らせます。また、顔出しができれば「ライブ配信」がやりやすいので、動画数や登録者数を増やしやすいメリットもあります。
顔が出せなくても、声が出せて面白い話ができるのであれば、VTuberとしてデビューしても良いかもしれません。思いつきなのですが、自作ゲームで登場するキャラクターをVTuberとして使うと、自作ゲームの良いプロモーションになってよいのかなと思いました。スキルマーケットのココナラ などで外注すれば数万円で Live2D のモデル作成を依頼できそうですし、目パチや口パク程度であればネットの情報を調べれば簡単に作れそうです。
顔出しができなければ作業風景を録画してそのまま配信、というのも1つの方法ですが、何か映像として面白い要素がないとなかなか再生されず、面白い構成を考えたり編集したりと何か工夫が必要となるかもしれません。
SNSの種類による向き不向きですが、
- Twitter: 短い文章を書いたり、映像を作るのが好き
- ブログ: 長めの文章を書くのが好き
- YouTube: 話をするのが好き、長めの映像を作るのが好き
となり、もし文章を書くのが好きであれば、Twitterやブログの方が向いている気がします。
まとめ
かんたんにまとめると以下の通りとなります。
- YouTubeは長めのプロモーションの映像コンテンツを投稿できる
- YouTubeでの収益化には長い時間がかかるので、継続する(動画作成を楽しめる)力がないと大変
- Twitterでもプロモーションは十分に行える
YouTubeは動画編集にかなりの時間を取られ、さらに継続して投稿しないと効果を得られにくいです。そのため多くの人にとっては、Twitterのみで十分なのではないかと思います。
ただ、PVやプレイ動画のまとめ、ファン向けの裏話といった動画をYouTubeにアップするのは、費用対効果が高いので良いのではないかと思います。
もし収益化を目指すのであれば、
- 「開発中のゲームで見てもらいたい部分が多いから、長い動画で見せたい!」
- 「顔出しOK。話をするのが好き」
- 「動画作成が楽しい。動画編集が得意」
- 「投稿するネタがたくさん思いついて止まらない!」
という方であれば、継続して投稿できるのではないかと思っています。
参考
登録者1000人を達成して収益化したい人は以下のリンクが参考になるかもしれません