「インディーゲームとは何か」を読んで思ったこと

「WHAT ARE INDIE GAMES?(インディーゲームとは何か)」という記事が面白かったので、その記事の紹介と個人的な感想を書いていきます。

インディーゲームの定義

もとの記事ではインディーゲームを以下のように定義しています

Indie games are created by independent game developers, rather than those who work for large development studios or publishers like Sega and Ubisoft.

インディーズゲームは、大規模な開発スタジオやセガユービーアイソフトなどのパブリッシャーで働く人ではなく、独立したゲーム開発者によって作成されます。

It doesn’t matter if they’re 2D or 3D, spider platformers or bird-cake action shooters; as long as a Triple A publisher isn’t forcing you to work through your weekends to meet a holiday deadline, you’re an indie developer.

2Dであろうと3Dであろうと、スパイダープラットフォーマーであろうと、バードケーキアクションシューティングゲームであろうと関係ありません。トリプルAパブリッシャーが休日の締め切りに間に合うように週末を通して働くことを強制していない限り、あなたはインディーズ開発者です。

WHAT ARE INDIE GAMES?

インディーゲームは、ゲーム会社に所属して会社が望むゲームを作るのではなく、そこから「独立」して「自分の作りたいゲームを作る」ことのようです。

特にどのようなゲームジャンルを作るのかは関係ありません。

一人で仕事をしていることがインディーゲームか?

Indie may be short for independent, but it doesn’t mean you have to work alone to consider yourself an indie dev.

インディーズは独立の略かもしれませんが、自分自身をインディーズ開発者とみなすために一人で働かなければならないという意味ではありません。

An indie development studio might hire an entire team of designers, programmers, artists, and sound engineers to help spread the load, whereas a solo dev will have to become a jack of all trades.

インディーズ開発スタジオは、作業を分担するためにデザイナー、プログラマー、アーティスト、サウンドエンジニアのチーム全体を雇うかもしれませんが、ソロ開発者はすべての取引について責任を持つ必要があります。

WHAT ARE INDIE GAMES?

インディーゲーム開発者必ずしも一人で開発する必要はないということですね。例えば Celeste は複数人の開発者によって作られているインディーゲームです。

インディーゲーム開発者は必要に応じて、デザイナー、プログラマー、アーティスト、サウンドエンジニアを雇うことができます。

インディーゲーム開発の長所と短所

会社に所属せずインディーゲームを作ることの長所と短所について以下のようにまとめられています

利点欠点
創造的で自由に作ることができる限られたリソース
クランチカルチャーがないサポート体制はない
手柄はすべて自分のものワークライフバランスをコントールしなければならない
独自のコミュニティを作ることができる自分でマーケティングしなければならない

以下は個人的な感想も織り交ぜたものです。正確な内容は原文を参照してもらえればと思います。

○長所

・創造的で自由に作ることができる

大手が作るゲームは、売上計画を立てるためにある程度売上のメドが立つ(人気ジャンルや版権モノ、続編など)ものに限られます。また利害関係者の意向やスケジュールなどによる制約が多く、自由に作れることはほぼありません。

しかしインディーゲームは、開発者が作りたいものを優先することができます。マイナージャンルであっても、それに長い時間の情熱を注ぎ込み完成させられるのであれば可能です。そして、開発者が納得行くまでゲームを作り込むことができます

・クランチカルチャーがない

会社に所属すると、ゲームを完成させるための長時間労働(残業・休日出勤)を強いられることが多いです(クランチカルチャー)。

もちろんインディーゲームにもイベント出展など締切があって厳しい期間はありますが、それも自分がどこまでやるかは自由で、基本的には都合の良い時間に好きなだけ作業をすることができます。

・手柄はすべて自分のもの

会社に所属した作られたゲームの権利は、開発者ではなくすべて会社に属します。

それに対して、インディーゲーム開発者として作ったゲームの権利は、特別な理由がなければ、すべて開発者が保有する権利となります

・独自のコミュニティを作ることができる

開発中、または開発したゲームのコミュニティを作ったり、クラウドファンディングを自由に行うことができます

○短所

・限られたリソース

ゲーム開発を行うには、最低限自分が生活するためのお金が必要となりますが、それを保証する人はいません。

また開発ツールが有料である場合には購入が必要となりますし、有料のアセットなどでゲームのクオリティを上げる場合に追加の費用がかかります。そしてその予算は通常、自腹で支払うこととなります。

・サポート体制はない

当たり前のことですが、例えば旅行で休暇を取ると、その間に代わりに仕事をしてくれる人はいません。

また旅行中にケガをしたとしても、その療養中の収入の保証はありません

・ワークライフバランス

インディーゲーム開発は無限に働けてしまうので、働きすぎで身体を壊さないようにする必要があります。

例えるならゲーム開発は長距離走のようなものなので、後半で力尽きてしまわないようにバランスの良い働き方を決めて、規律を持って働かなければいけません。

・マーケティング

Steamでは2021年だけで11000ものゲームがリリースされており、その中に埋もれないようにマーケティングを行う…という過酷な競争に参加することとなります。

Steamに限らず、リリース直後の売上が重要で、1週間で売れなければそれ以降売れることはほぼない…という傾向もあるようです。

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インディーゲームはなぜ人気なのか?

インディーゲームがなぜ人気なのか…ということについて、個人的に以下の理由があると考えています

  • 一部の会社以外は、会社やシリーズ作品を存続させることが目的となって、より創造的なゲームを作る機会を失っているため
  • インディーゲームは、マイナーなジャンルで一般受けしないゲームジャンルや、ニッチな需要を満たすゲームに挑戦できる

最近のゲーム開発は、ある程度の規模がないと存在感を示すことが難しく、予算が最低でも数億円…というプロジェクトとなりがちです(もちろん、最近は企業がインディー規模のゲームを発売するという例外はあります)

そのために、ある程度の売上が保証されたジャンル、IP(版権)もの、有名タイトルの続編…というどこかで見たことがあるゲームになりがちです。

それに対して、インディーゲームは、基本的には「製作者が作りたいもの」が優先されるので、ニッチだけれども根強いファンが居るゲームジャンルや、規模が小さくシンプルなゲーム性のものであっても、自由に作れます。倫理的に問題があるようなゲームでも出すことができます(その場合、あまりにも話題になりすぎたり売れてしまうと問題になりますが…)

要は企業が作らない(作らなくなった)ようなゲームを作ることができ、そういったゲームを面白いと思う人から、絶大な支持を受けることができる…という可能性があります

インディーゲームを作るにはお金がどれだけ必要か?

ゲームを作る費用の要因には以下のものがあるようです

  • プロジェクトの規模 (プレイ時間、ゲームの複雑さ)
  • アセットの作成 (自作する時間やツールの購入、外注のコスト)。または既存アセットの購入
  • 一人で仕事する場合は、自分の生活費。チームを雇う場合は人件費
  • あなたのコーディング能力(開発期間に影響する)

何がどれだけのお金をかかるかを一概に言うことはできませんが、おおよそこういった要素をどのように扱うかで、開発費が変動します。

インディーゲームを収益化する方法

この記事ではインディーゲームを収益化する方法として、以下の4つがあげられています。

  1. App 内課金:課金ゲーム
  2. 商品:買い切りゲーム?
  3. パートナーシップ:企業とタイアップして収益を得るゲーム?
  4. 広告:広告を表示してそれにより収益を得るゲーム

より詳しくは以下の記事に「インディーゲームを収益化する59の方法」をまとめておきましたので、ひょっとしたら参考になるかもしれません。

インディーゲームの作り方・売り方の記事まとめ

インディーゲーム開発者はどれだけ稼げるのか?

そして、一番気になる情報として、インディー開発者はどれだけ稼げるか…ですね。

上記の記事によると、Steamの開発者44000人を対象に調査を行い、以下の統計が取れたそうです

出展:What can we learn from the 1,600 highest earning indie developers on Steam?
  • 学習者: 1000ドル以下 (57%)
  • 趣味・愛好者: 1000〜1万ドル (20%)
  • インディー: 1万〜10万ドル (13%)
  • フルタイム: 10万〜100万ドル (7%)
  • 成功者: 100万ドル以上 (3%)

インディー開発者として生活していくためには、少なくとも数百万円以上の売上が必要となるので、上位20%あたりに食い込めれば、ゲーム開発だけで生活していけそうです。

そして、上位3%に食い込めれば、億単位の収入を得ることも可能なようです。

なおこちらのページには、インディー開発者を目指すならどういうことをするべきか、という面白い情報があって、成功する開発者は何をしていて、どんなゲームを作っているのか、ということが考察されていますので、まとめておきますね。

成功者は、失敗しても多くのゲームをリリースする

学習者や愛好家は通常、Steamで1〜2ゲームを作っています。そして、それは必ずしも即座に成功するとは限らないので、多くの新しい開発者はあきらめてしまいます。

成功者は、平均して4〜5のゲームをリリースしており、その多くはそれ以上です。彼らのゲームがすべて成功するわけではない。

What can we learn from the 1,600 highest earning indie developers on Steam?

すごく当たり前のことですが、ゲームを多くリリースするほどヒット作品が出やすい…ということですね。

これに似た事例として、アングリーバードの開発スタジオは、ゲームをヒットさせるために51ものゲームを作った…という話は以下の記事に書きました。

個人ゲーム開発者として生活していく方法

成功者は、適切なジャンルを選び、プレイヤーの好みに適応する

成功者は、ストラテジーとシミュレーションゲームを開発する可能性がはるかに高いです(成功者によるゲームの50%はこれらのジャンルのに対し、学習者と愛好家はわずか36%)

また成功者は、カジュアルゲームを開発する可能性が低い(成功者17%に対して愛好家は38%)

これが、ゲームを作る前の市場調査が重要な理由です。あなたのサブジャンルが前もって人気があることを知ることは違いを生みます。

(中略)

人気のあるジャンルやサブジャンルを見るときは、現在のSteamのトップチャートを考慮することも重要です。たとえば、3月現在の2022年のトップグロスゲームを見ると、アクションゲームが信じられないほど成功していることがわかります。最も売れているインディーズゲームの7-10にはアクション要素があります。それらの多くは、コープ/マルチプレイヤー要素も持っています。

一般的なプラットフォームジャンルの好みに加えて、最近のトレンドを考慮する必要があります。

What can we learn from the 1,600 highest earning indie developers on Steam?

Steamプラットフォームは、カジュアルゲームよりもコアゲーマー向けな「ストラテジーゲーム」や「シミュレーションゲーム」が好まれる傾向があります。ただスマートフォン向けであれば、カジュアルゲームが好まれますので、作りたいゲームジャンルが求められているプラットフォームの適切な選択が重要となる、ということですね。