目次
1.はじめに
今回は、タクティクスオウガのような戦術SLGのゲームバランスについて考えてみます。
2.基本はジャンケン
例えば、「歩兵」「弓兵」「騎兵」という3つのユニットがある場合、
- 歩兵は弓兵に強い
- 弓兵は騎兵に強い
- 騎兵は歩兵に強い
という関係を持たせます。
そうすると、プレイヤーは、「こっちには騎兵が来ているから、弓兵を移動させて…」というようにゲームに戦略性を持たせることができます。これが力関係の基本的な考え方となります。
3.力関係を一定にしない
例えば、力関係が次のようなものであったとします。
歩兵 | 弓兵 | 騎兵 | |
歩兵 | 0 | +1 | -1 |
弓兵 | -1 | 0 | +1 |
騎兵 | +1 | -1 | 0 |
この関係は淡白です。なぜなら、各種の兵を同じ数だけ雇うことが、最善の手となってしまうからです。作り手としては、プレイヤーに「今回は兵をどれだけ雇うかな?」と悩ませてあげたいですよね。
そこで、以下のような関係にします。
歩兵 | 弓兵 | 騎兵 | |
歩兵 | 0 | +3 | -6 |
弓兵 | -3 | 0 | +4 |
騎兵 | +6 | -4 | 0 |
騎兵が歩兵に圧倒的に強いですよね。そうなると、騎兵を雇う数は少なくていいですよね。かといって、少なくしすぎると、騎兵が全滅した場合に、歩兵が脅威になってしまいます。
というように、力関係に偏りを持たせると、「うーん、どれだけ騎兵を雇うのがいいのだろう…」と、プレイヤーを悩ませることができます。
そして、騎兵は雇うコストは「高い」ものとします。(お金がかかる)
そうすると、「あああ、騎兵をもうちょっと雇いたいけど、お金がない…」と、プレイヤーをさらに悩ませることができます。
4.ジャンケンの拡張
さらにゲームを面白くするには、ユニットの種類を拡張します。 例えば、モンク・忍者を追加します。
すると、例えばこんな感じになります。
ここで気をつけておかなければならないことは、「拡張」はOKですが、「縮小」はダメ、ということです。
例えば、ゲームリリースの期日に間に合わないということで、図から1つユニットを削るとします。すると、この相関関係のバランスが崩壊してしまい、力関係を再構築する必要が出てきます。そうすると全体のバランスを修正することになり大変ですよね。そのためにも相関関係の「縮小」は絶対避けなければいけません。
5.より高度な拡張
弓兵が歩兵に強くなっていますが、ご容赦を…
ここでは「互角」という関係を使って、2重の輪を作っています。バーバリアンが若干弱めですが、いなくてもいいわけではありません。(バーバリアンがいないと弓兵が強くなりますよね)
このように、拡張によっても、「完全な均衡は取れていないが、必勝の戦略は存在しない」という状態が作れると、ゲームはより面白くなります。
6.おまけ
他にも、属性や地形効果、時間によるステータスの変化、などを利用することにより、より面白いゲームバランスにすることが可能です。
例えば、
- 武器の装備
- 空を飛べるので他のユニットでは移動できないところに移動できる
- 海にいると回避率アップ
- 夜になると変身する
などなど、、、。
こういった要素をどんどん加えていくことにより、面白さはどんどん増していきます。でも基本は、「なんとなく均衡の取れたジャンケン」であることをお忘れなく…。